創業融資における物件(事務所やテナント等)契約のタイミングとは?認定支援機関がわかりやすく解説

融資申請までには物件を決めておく必要があります。契約までしておく必要はありません。

なぜ、物件を決めておかなければならないか。

その物件の賃料・立地等が決まらない限りは、開業時に必要な総事業費すら求めることができないからです。

契約に必要な保証金・敷金・内装工事費等の数字がある程度具体的にわかっていなければ、開業に必要となる事業の総額を求めることができません。

また、事業計画も立てられません。

例えば、飲食店の場合はその物件の坪数によって席数や回転数も変わってくるでしょうし、賃料によって必要運転資金の額も変わってきますので。

とは言え、融資が下りるかどうか分からない段階で、物件の本契約をしてはなりません。

融資が下りなければ開業すらできないケースだと、契約時に支払った保証金や敷金すべてパーになります・・・。

物件申込のタイミングとその方法については、これがベストというものは無くケース・バイ・ケースではあるのですが、現実的な方法は不動産仲介業者に頼み込んで仮契約だけでも済ませておくことです。

多くの場合、手付金が必要になるでしょうが、その物件を一時的に押さえておくのです。

飲食店舗でかつ人気物件の場合だと、一時的にも押さえておくのは難しいかもしれませんが、そこは交渉力でなんとかキープだけでもしておきたいところです。

不動産業者には、

「現在、日本政策金融公庫に融資の申請をしている段階です。融資が下りればすぐに契約をさせていただきます。もし融資が下りなければ手付は放棄するので、なんとか願いします」

と頼み込んでおきましょう。

ちなみに、日本政策金融公庫の審査の申込及び審査には物件概要書(保証金・敷金・賃料・間取りなどの記載があるもの)の他、契約書(又は仮契約書)なども必要になりますので、予め不動産屋さんから取得しておきましょう。

契約書(又は仮契約書)については、審査の申込の段階では必要ないケースもあります。

支店によって扱いが異なることもありますので、事前に担当者に聞いておくと良いでしょう。

レンタルオフィスやバーチャルオフィスで申込はできるのか?

レンタルオフィスは共同スペースを複数名で利用するタイプのものと、個室タイプのもとのがありますが、前者の場合は審査が不利になるケースもあります。

が、後者の方なら特に問題はありません。

また、バーチャルオフィスなども可能は可能ですが、審査においては多少不利になると言わざるを得ません。

バーチャルオフィスを利用して会社登記を行い、営業を別で行う場合は、事業計画書の中、あるいは面談ではその具体的な営業場所の概要なども伝えておきましょう。

バーチャルオフィスを利用するメリットなども合わせて伝えられると尚良しです。

自治体が提供しているインキュベーションスペースなどは、審査においては有利不利はありません。

逆にインキュベーションスペースの場合、入居時の自治体の審査が結構厳しかったり、事業計画書を求められたりもしますので、有利に働く場合もあります。

公庫ではなく自治体の制度融資などであれば、自治体インキュベーションスペースなども積極的に利用すると良いかもしれません。

あと、家族・友人知人などの会社の一部のスペースを間借りする場合や、自宅を事務所にする場合は、使用承諾書などを求められることが多いので注意しておきましょう。

当然ですが、転貸NG物件、商用利用NG物件の場合は、審査はおりません。

まとめますと、レンタルオフィスでもバーチャルオフィスでも、自治体インキュベーションスペースでも間借りでも、とにかくその場所で開業する必要性を合理的かつ具体的に説明し、融資担当者に納得してもらうことができればOKということになります。

以上、参考になれば幸いです。