DESとは?DES(債務の株式化:デット・エクイティ・スワップ)による資金調達とその注意点

DES(債務の株式化:デット・エクイティ・スワップ)とは?

DESとは、会社への貸付金(会社側から見ると借入金)をその会社に現物出資する事で、会社の資本金を増やすことをいいます。

債権者は出資の対価としてその会社の株式を取得する事で、株主として会社の経営に参加することや利益分配が期待できます。

中小企業では、オーナー=社長であることが多く、社長個人のお金を会社に提供していることも多くあります。

元々返済してもらうつもりはない貸付金であれば、資本金に組み入れることで債務(負債)が無くなり、財務内容を改善することができます。

現物出資により資本金を増加させる場合は、原則裁判所が選任した検査役の調査が必要ですが、DESであれば手続きが簡素化されていますので、検査役の調査や弁護士・税理士等の証明も不要です。

ただし、500万円を超える額を現物出資する場合は、総勘定元帳などの会計帳簿を添付しなければなりません。

現金のやり取りがないため、法務局へ増資手続きに必要な書類を提出することで登記手続きは完了します。

DESを行うための条件

  • 債権者がDESに応じていること
  • 借入金額以下で出資すること
  • 原則借入金の返済期日(弁済期)が経過していること
  • 500万円を超えるは総勘定元帳などの会計帳簿を提出すること

DESに必要な書類

  • 株主総会議事録
  • 取締役会議事録
  • 募集株式の引受けの申込みを証する書面
  • 資本金の額の計上に関する証明書
  • 会計帳簿(500万円を超える場合必要)

DESに必要な書類は、現物出資で増資をする際の書類とほぼ同じです。

株主総会議事録、取締役会を設置している会社であれば取締役会議事録、そして、出資者からの申込書、出資された債権が資本金に計上されたことの会社の証明書です。

出資する金銭債権が500万円以下であれば、債権を証明するための添付書類もいりません。

金銭債権が500万円を超える場合は、債権を特定することができる会計帳簿、具体的には総勘定元帳(借入金元帳など)を提出することになります。

DESの株主総会議事録

株主総会議事録には、出資する債権を特定して明確に記載していなければなりません。

会計帳簿を確認して、一つ一つ個別に「平成◯年◯月◯日付貸付金 金◯万円」と羅列して記載していく方法もありますが、会計帳簿があれば株主総会に別紙として添付することもできます。

「別紙会計帳簿記載の平成◯年◯月◯日から平成◯年◯月◯日現在までの金銭債権◯万円」

と記載すれば個別に記載しなくてよいので、簡単に済みます。

また、社長一人の会社では、帳簿を付けていないことも多くあります。

少しずつ会社に貸し付けたお金が積み重なった場合、社長自身もいつ会社へ貸し付けたかを覚えていないケースもあります。

帳簿がないと債権を特定することができません。かと言って今から帳簿を付け直すこともできません。

このような場合は、会社と「債務承認契約」を行い、債権を特定する方法があります。

債務承認契約とは、お金の貸し借りにおいて契約書を作成していない場合に、債権者と債務者がお互いにいくら債務があるかを承認する契約です。

債務承認契約を行えば、一つ一つ債権を特定する必要はなく、株主総会議事録には

「平成◯年◯月◯日付債務承認契約にもとづく金◯円の金銭債権」

と記載すればよくなります。

DESの注意点

DESで現物出資する場合、債権額は貸付時の額面ではなく「時価評価」されます。

債権額がそのまま株式になるのではありません。

例えば、会社の純資産額がマイナス(債務超過)であった場合、社長からの借入金100万円をDESした場合、会社の財務状況によっては100万円の時価は0円となる可能性があります。

債権の時価(0円)がDESの額面額(100万円)を下回るのに額面額でDESを行うと、その金額(100万円)は債務免除されたもの(債務免除益)として課税対象となる可能性があります。

※税法上の評価方法は顧問税理士さんへご相談ください。

また、純粋に資本金が増加することによって、「法人税の均等割額」が増加したり、「外形標準課税」の対象になりますので、安易に増資を行うと税法上のデメリットがありますので注意が必要です。

経営面としての注意点は、もし債権者がオーナーや身内以外の第三者であった場合、株主構成が変わることになりますので、会社の運営に影響を及ぼすことになります。

第三者が経営者よりも高い持株比率になるような増資であれば、経営者自身も一定の出資をするなど必ず増資後の持株比率も考慮し、手続きも慎重に行うようにしましょう。

DESをお考えの方は、必ず顧問税理士さんに相談されてから手続きを進めるように強くお勧めいたします。

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