日本政策金融公庫の審査に落ちる理由を認定支援機関が解説

日本政策金融公庫の融資審査に落ちる理由は千差満別ですが、下記の事由に該当するケースが大半を占めます。

さっそく見ていきましょう。

自己資金が足りない

無担保・無保証の新創業融資の場合、自己資金要件が定められています。

総事業費の10分の1の自己資金が必要になります。

創業に際して1000万円の事業費が必要な場合、最低100万円は自分で用意しなければなりません。300万円の総事業費の場合は30万円が必要になります。

この金額はあくまでも最低金額であり、10分の1以上用意できれば、更に融資審査は通りやすくなります。

10分の1という数字はあくまでも制度上の基準額であり、ハリボテ制度くらいに考えておくと良いです。

融資審査の実際の現場では10分の1しか自己資金が用意できない場合、審査はかなり厳しいです。最低でも3分の1は用意しておきたいところです。

業界経験が豊富、事業計画の内容が優れている、優れた国家資格を保有している場合など、一部のケースを除いて自己資金が10分の1では審査が通る可能性はかなり低くなります。

自己資金は多ければ多いほど良いと覚えておいてください。

創業融資ではなく既存企業が新たに日本政策金融公庫に融資申請を行う場合は、自己資金の額はそれほど気にする必要はありません。

自己資金の額よりも現在の売り上げ、利益の額、決算書や残高試算表の内容、業歴などが重要視されます。

滞納がある

創業融資の場合も既存企業の融資申請の場合も、個人(既存企業の場合は代表者名義の銀行口座)の銀行口座の提出を求められます。

4ヶ月~半年ほど遡って明細をチェックされます。もちろん、事業所名義の口座もチェックされますので、家賃や公共料金、年金や国民健康保険などの滞納が見うけれる場合は審査のマイナスになります。

もし何らかの手違いで滞納等をしてしまった場合は、その滞納の日から半年以上は経過してから融資申請を行う方が無難です。

事業計画が杜撰、現実的ではない

専門家のチェックをいれずに素人が手弁当で作ってしまうと突っ込みどころ満載の事業計画書が出来上がります。

融資の現場での事業計画書では、大風呂敷を広げて多額の売り上げや利益を計上する必要はありません。

日本政策金融公庫の担当者はあくまでも「貸出先がきちんと返済できるか」だけを基準に事業計画書をチェックしています。

税引後利益から返済原資をしっかり確保できるということを、日本政策金融公庫に説明できる現実的な事業計画書の作成を心がけましょう。

経歴を偽る

日本政策金融公庫は資格などの保有者にはその資格証明書や試験の合格証などの写しの提出を求めます。

また、経歴についても面談時に細かく質問されますので、経歴書には嘘偽りのない記載が必要になります。

個人のみならず、法人の場合も企業概要書に敬礼記載欄がありますので正確に記載し、痛くもない腹をさぐられないようにしましょう。

カードローン、クレジットカードのキャッシング等を利用している

現在、借り入れが残っているからといって即NGということではありませんが、日本政策金融公庫の印象を悪くするのは確実です。

融資申請時には「他からの借り入れ」があるかどうかを正直に言わなければなりませんが、これが大手銀行、地銀、信用金庫、信用組合からの通常融資であればさほどマイナスにはなりませんし、逆に信用されるケースもあります(厳しい融資審査をすでにクリアしていることを意味し、日本政策金融公庫も与信があると判断しやすい)。

一方、いわゆる消費者金融からの借り入れやカードローン、クレジッドカードのキャッシングなどの場合はマイナスに働きます。

誰でも簡単に借りられるので当然といえば当然です。

新創業融資の場合は自己資金との兼ね合いもありますが、未だ事業経歴もない状態で借り入れが残っている状態では融資実行の可能性はかなり低いと考えておきましょう。

既存企業の場合は、消費者金融等から借りなければならなかった理由を説明し、日本政策金融公庫に納得してもらえるならば、可能性はゼロではなくなります。

また、現在も安定して売り上げが上がっている、自社ビル、自前の土地など担保がある、連帯保証人を用意できる場合も可能性はゼロではありません。

いずれにしても、消費者金融等からの借り入れは返済してからの方が無難ではありますので、申請は完済した後にされることをお勧めします。

過去に金融事故を起こしてブラックリストに載っている

こちらも非常に厳しいですが、可能性はゼロではありません。

日本政策金融公庫は再挑戦支援資金という廃業歴がある人のための制度も設けていますので、制度の対象となる方は、積極的に利用していきましょう。

制度の概要は下記の通りです。

《新たに開業する方または開業後概ね7年以内の方で、次の全てに該当する方》

・廃業歴等を有する個人または廃業歴等を有する経営者が営む法人であること
・廃業時の負債が新たな事業に影響を与えない程度に整理される見込み等であること
・廃業の理由・事情がやむを得ないもの等であること

面談での印象が悪い

こちらも重要です。これまでに見てきたケースすべてをクリアしたとしても、面談で悪印象を与えてしまうと、それだけで融資が不可となることもあります。

最低限のマナーが必要です。殊更にへりくだる必要はありませんが、最低限のマナーは必要です。

稀にいるのが、「日本政策金融公庫は我々の税金で運営しているんだろう。つべこべ言わずに早くお金を貸してくれ」という態度の方。

口には出さなくてもそれが態度に出てしまっている方。印象は最悪です。

面談対応をされる日本政策金融公庫の方は物腰も柔らかく、腰が低い人が多いです。相手も人間ですから無碍に心証を害する必要はまったくありません。

聞かれたことに淡々と誠実に答えていくだけでいいのです。服装も可能であれば業界問わずスーツなどフォーマルな格好が良いでしょう。

最低限のマナーも守れない人にお金は貸してくれないと肝に命じておきましょう。