
株主名簿とは、その名の通り株式会社の株主を記載している「帳簿」です。
日本の多くの中小企業では、株主と取締役が同一人物であったり、親族のみの同族会社であったりと株主が少なく、株主名簿を作成していない場合や適切に整備されていないケースが多々あります。
設立時に株主としての名前だけを貸していて、その後、その株主がどうなったか分からない。とおっしゃる会社さんもいます。
株主名簿の重要性をあまり感じてらっしゃらないかもしれません。
しかし、株主名簿は誰が株主であるかを特定する大事な書類なのです。
実は大事な株主名簿
現在では、株券を発行しない「株券不発行会社」が原則ですので、「株券を発行する」と定款に定めない限り、株券を発行する必要はありません。
株券不発行会社であれば、当然株券を発行していないわけですから、株主は株券を持っていません。
では、株券がないのにどうやって会社の株主だと証明できるのでしょうか?
株主は、株券がない代わりに株主名簿に氏名等が記載されることで、株主としての地位を主張することができます。
また、会社に対して株主であることの証明書である「株主名簿記載事項証明書」の交付を請求することができます。
別名、株主証明書とも呼ばれています。
この証明書を交付されることで、自分が株主であることを会社に証明してもらうことができるのです。
逆に言えば、株主名簿に記載されていなければ株主としての地位を主張できません。
同じ人がずっと株主でいる保証はなく、例えば株主が死亡した場合、相続が発生するので相続人が新たな株主となります。
新しい株主が権利を主張してきた場合、もし株主名簿を作成していなければ、トラブルにならないとは言い切れないでしょう。
会社法では、株主名簿を作成して本店(会社)に備え置くことが義務付けられています。
そして、株主や債権者から請求があった時は、会社の営業時間中であればいつでも株主名簿を閲覧、謄写(コピー)することに応じなければなりません。
株主名簿も過料の対象になる?
株主名簿の整備違反に対しては、100万円以下の過料の対象になっていることはご存知ですか?
それほど株主名簿は大事な書類なのです。
株主名簿を作成するのに、それほど手間や時間がかかるわけではないと思いますので、きちんと作成、保管しておきましょう。
株主名簿に記載する事項
株主名簿には、記載すべき事項が下記のように定められています。
ただし様式は決まってませんので、会社の実情に合わせて作成することになります。
- 株主の氏名及び住所(株主が法人の場合はその名称と所在地)
- 株主の有する株式の数(種類株式を発行しているときはその記載も)
- 株主が株式を取得した日
- 株券を発行している会社は株券の番号
会社が株主に対して何かしらの通知を出す場合、この株主名簿に記載された住所宛に通知すれば良いことになっていますので、最新の株主名簿を整備しておく必要があります。