当記事では、株式会社の役員変更手続きについて解説致します。
株式会社が行う許認可等の申請手続きにおいては、登記事項証明書の添付が求めれることが多くあります。その登記事項証明書には、役員の氏名や就任年月日等が記載されています。
許認可手続きでは、登記事項証明書の記載内容は最新のものである必要があります。
もし、役員に変更があったにも関わらずまだ変更登記手続きを行っていない場合は、速やかに手続を行うようにしましょう。
通常は、許認可申請の前に手続きを終えておく必要がありますので、当記事を参考に速やかに手続きを行って頂ければと思います。
それでは、どうぞご覧ください。
役員変更手続きの概要
株式会社の役員(取締役・監査役等)には任期があり、任期が満了した場合や、役員に変更(追加、退任、辞任、死亡、役員氏名、代表取締役の住所等)が生じた場合は、2週間以内に変更の登記を申請する必要があります。
申請期限である2週間を過ぎると、過料が発生する場合もあります。
辞任などにより、法律、あるいは、定款で定めた役員の員数を欠く場合は、辞任と同時に後任者の就任登記が必要になります。
取締役会設置会社(取締役3名以上、監査役1名以上が最低必要)の役員構成に変更がある場合、例えば、取締役が1名抜けるケースや、監査役が抜けると言った場合には、取締役会設置会社を維持するか、取締役会を廃止するか、その選択を迫られることになります。
前者の場合は、辞める役員の代員を用意しなければならなくなります。後者の場合は、役員変更の手続きとは別に、取締役会廃止の手続きが必要になります。
役員変更をする場合、会社の機関設計により必要書類や手続きの内容が異なります。
役員の任期満了手続きについて
役員の任期満了による変更登記の手続きの流れと必要書類について解説します。
役員を変更した場合、変更の効力が発生したときから2週間以内に本店所在地を管轄する法務局で登記を申請する必要があります。
任期満了で、同じ人間が再任された場合でも変更登記をする必要がありますので、注意が必要です。
任期満了による変更手続きの流れ・フロー
STEP1 | 株主総会の招集 |
---|---|
STEP2 | 株主総会の開催(取締役選任の決議) |
STEP3 | 取締役会の招集(取締役会非設置会社は取締役の招集) |
STEP4 | 取締役会の開催(代表取締役選定の決議) |
STEP5 | 本店所在地を管轄する法務局への登記申請 |
役員の任期満了による変更に必要となる書類
- 役員変更登記申請書
- 別紙(登記すべき事項)
- 株主総会議事録
- 取締役会議事録(取締役会非設置会社は取締役の互選書)
- 役員の就任承諾書
必要な登録免許税
10,000円(資本金の額が1億円を超える場合30,000円)
※登録免許税は、役員1人の金額ではなく、申請1件に対してかかります。一度に何人変更しても申請が1件であれば、10,000円または30,000円となります。
役員の辞任手続きについて
取締役が辞任した場合など、役員構成に変更が生じた場合は、2週間以内に変更登記申請を行う必要があります。
申請期限である2週間を過ぎると、過料が発生する場合もあります。
取締役会設置会社(取締役3名以上、監査役1名以上が最低必要)の役員構成に変更がある場合、例えば、取締役が1名抜けるケースや、監査役が抜けると言った場合には、取締役会設置会社を維持するか、取締役会を廃止するか、その選択を迫られることになります。
前者の場合は、辞める役員の代員を用意しなければならなくなります。後者の場合は、役員変更の手続きとは別に、取締役会廃止の手続きが必要になります。
役員変更をする場合、会社の機関設計により必要書類や手続きの内容が異なります。
下記では、例として役員(取締役)の辞任による変更登記の手続きの流れと必要書類についてご紹介いたします。
1.取締役会非設置会社の役員(取締役)辞任手続き
辞任により新たな取締役が就任、定款には「代表取締役は取締役の互選で選定」される旨の規定がある場合を想定しています。
【取締役会非設置会社】の役員(取締役)辞任による変更手続きの流れ・フロー
取締役を変更した場合、変更の効力が発生したときから2週間以内に本店所在地を管轄する法務局で登記を申請する必要があります。
STEP1 | 株主総会の招集 |
---|---|
STEP2 | 株主総会の開催(取締役選任の決議) |
STEP3 | 取締役の招集(代表取締役の変更がある場合必要) |
STEP4 | 取締役の過半数の一致(代表取締役選任の決議) |
STEP5 | 本店所在地を管轄する法務局への登記申請 |
【取締役会非設置会社】の役員(取締役)辞任の必要書類
- 変更登記申請書
- 別紙(登記すべき事項)
- 株主総会議事録
- 互選書(代表取締役の変更がある場合必要)
- 定款(代表取締役の変更がある場合必要)
- 辞任届
- 就任承諾書
- 印鑑証明書
- 印鑑届書(代表取締役の変更がある場合必要)
2.取締役会設置会社の役員(取締役)辞任手続き
辞任により新たな取締役が就任する場合で、代表取締役は取締役会の決議により選任するケースを想定しています。
【取締役会設置会社】の役員(取締役)辞任による変更手続きの流れ・フロー
STEP1 | 株主総会の招集 |
---|---|
STEP2 | 株主総会の開催(取締役選任の決議) |
STEP3 | 取締役会の召集(代表取締役の変更がある場合必要) |
STEP4 | 取締役会の決議(代表取締役選任の決議) |
STEP5 | 本店所在地を管轄する法務局への登記申請 |
【取締役会設置会社】の役員(取締役)辞任の必要書類
- 変更登記申請書
- 別紙(登記すべき事項)
- 株主総会議事録
- 取締役会議事録(代表取締役の変更がある場合必要)
- 辞任届
- 就任承諾書
- 代表取締役の印鑑証明書(代表取締役の変更がある場合必要)
- 取締役の本人確認証明書※
- 印鑑届書(代表取締役の変更がある場合必要)
※取締役会設置会社で「平取締役」として就任する場合は、本人確認証明書が必要です。
《新しく就任する役員の「本人確認証明書」の例》
- 印鑑証明書
- 住民票記載事項証明書(住民票の写し)
- 住基カード(住所が記載されているもの)のコピー※
- 運転免許証等のコピー※
※裏面もコピーし、本人が「原本と相違がない。」と記載して、記名押印する必要があります。
3.役員(取締役及び監査役)辞任のみの手続きの場合
役員の入れ替わりがなく、役員が辞任するだけの場合、株主総会の議事録は登記申請手続きをする際には不要です。
- 変更登記申請書
- 別紙(登記すべき事項)
- 辞任届
必要な登録免許税
10,000円(資本金の額が1億円を超える場合30,000円)
※登録免許税は、役員1人の金額ではなく、申請1件に対してかかります。一度に何人変更しても申請が1件であれば、10,000円または30,000円となります。
役員の追加・加入・就任手続きについて
取締役を追加した場合など、役員構成に変更が生じた場合は、2週間以内に変更登記申請を行う必要があります。
申請期限である2週間を過ぎると、過料が発生する場合もあります。
取締役、監査役については氏名のみ、代表取締役は氏名と住所が登記されています。取締役の加入・追加は、登記上は「就任」となります。株主総会で選任された日が就任日となります。
平取締役を追加する場合はその者の「氏名」のみ登記、代表取締役を追加する場合はその者の「氏名・住所」が登記されます。
役員変更をする場合、会社の機関設計により必要書類や手続きの内容が異なります。
下記では、例として役員の追加による変更登記の手続きの流れと必要書類についてご紹介いたします。
1.取締役会非設置会社の役員(取締役)追加手続き
新たな取締役が就任、定款には「代表取締役は取締役の互選で選定」される旨の規定がある場合を想定しています。
【取締役会非設置会社】の役員(取締役)追加による変更手続きの流れ・フロー
役員を変更した場合、変更の効力が発生したときから2週間以内に本店所在地を管轄する法務局で登記を申請する必要があります。
STEP1 | 株主総会の招集 |
---|---|
STEP2 | 株主総会の開催(取締役選任の決議) |
STEP3 | 取締役の招集(代表取締役の変更がある場合必要) |
STEP4 | 取締役の過半数の一致(代表取締役互選の決議) |
STEP5 | 本店所在地を管轄する法務局への登記申請 |
【取締役会非設置会社】の役員(取締役)追加の必要書類
- 変更登記申請書
- 別紙(登記すべき事項)
- 株主総会議事録
- 互選書(代表取締役に変更がある場合)
- 定款(代表取締役に変更がある場合)
- 就任承諾書
- 印鑑証明書
- 印鑑届書(代表取締役に変更がある場合)
2.取締役会設置会社の役員(取締役)追加手続き
新たな取締役が就任、代表取締役は取締役会の決議により選任するケースを想定しています。
【取締役会設置会社】の役員(取締役)追加による変更手続きの流れ・フロー
STEP1 | 株主総会の招集 |
---|---|
STEP2 | 株主総会の開催(取締役選任の決議) |
STEP3 | 取締役会の招集(代表取締役の変更がある場合必要) |
STEP4 | 取締役会の決議(代表取締役互選の決議) |
STEP5 | 本店所在地を管轄する法務局への登記申請 |
【取締役会設置会社】の役員(取締役)追加の必要書類
- 変更登記申請書
- 別紙(登記すべき事項)
- 株主総会議事録
- 取締役会議事録(代表取締役に変更がある場合)
- 就任承諾書
- 代表取締役の印鑑証明書(代表取締役の変更がある場合必要)
- 取締役の本人確認証明書※
- 印鑑届書(代表取締役に変更がある場合)
取締役会設置会社で「平取締役」として就任する場合は、本人確認証明書が必要です。
《新しく就任する役員の「本人確認証明書」の例》
- 印鑑証明書
- 住民票記載事項証明書(住民票の写し)
- 住基カード(住所が記載されているもの)のコピー※
- 運転免許証等のコピー※
※裏面もコピーし、本人が「原本と相違がない。」と記載して、記名押印する必要があります。
必要な登録免許税
10,000円(資本金の額が1億円を超える場合30,000円)
※登録免許税は、役員1人の金額ではなく、申請1件に対してかかります。一度に何人変更しても申請が1件であれば、10,000円または30,000円となります。
役員が死亡した場合
「取締役会設置会社」では、法律により、最低3人の取締役と1人の監査役が必要です。「取締役会非設置会社」では、定款の定めにより役員の員数が定められています。
死亡などにより、法律、あるいは、定款で定めた役員の員数を欠く場合は、後任者の就任登記と同時に申請しなければなりません。
取締役会設置会社で死亡により取締役の人数が3人を下回り、取締役を追加しない場合は、取締役会設置会社の定めの廃止、株式の譲渡制限に関する規定の変更などの登記申請をする必要があります。
役員変更をする場合、会社の機関設計により必要書類や手続きの内容が異なります。
下記では、例として役員(取締役)の死亡による変更登記の手続きの流れと必要書類について、3つのパターンに分けてご紹介いたします。
パターン1.取締役会非設置会社の役員(取締役)死亡手続き
死亡により新たな取締役が就任、定款には「代表取締役は取締役の互選で選定」される旨の規定がある場合を想定しています。
【取締役会非設置会社】の役員(取締役)死亡による変更手続きの流れ・フロー
役員を変更した場合、変更の効力が発生したときから2週間以内に本店所在地を管轄する法務局で登記を申請する必要があります。
STEP1 | 株主総会の招集 |
---|---|
STEP2 | 株主総会の開催(取締役選任の決議) |
STEP3 | 取締役の招集(代表取締役の変更がある場合必要) |
STEP4 | 取締役の過半数の一致(代表取締役互選の決議) |
STEP5 | 本店所在地を管轄する法務局への登記申請 |
【取締役会非設置会社】の役員(取締役)死亡の必要書類
- 変更登記申請書
- 別紙(登記すべき事項)
- 株主総会議事録
- 互選書(代表取締役の変更がある場合)
- 定款(代表取締役の変更がある場合)
- 死亡届(死亡の記載のある戸籍謄本等)
- 就任承諾書
- 印鑑証明書
- 印鑑届書(代表取締役の変更がある場合)
パターン2.取締役会設置会社の役員(取締役)死亡手続き
死亡により新たな取締役が就任する場合で、代表取締役は取締役会の決議により選任するケースを想定しています。
【取締役会設置会社】の役員(取締役)死亡による変更手続きの流れ・フロー
STEP1 | 株主総会の招集 |
---|---|
STEP2 | 株主総会の開催(取締役選任の決議) |
STEP3 | 取締役会の招集(代表取締役の変更がある場合必要) |
STEP4 | 取締役会の決議(代表取締役互選の決議) |
STEP5 | 本店所在地を管轄する法務局への登記申請 |
【取締役会設置会社】の役員(取締役)死亡の必要書類
- 変更登記申請書
- 別紙(登記すべき事項)
- 株主総会議事録
- 取締役会議事録(代表取締役の変更がある場合)
- 死亡届(死亡の記載のある戸籍謄本等)
- 就任承諾書
- 代表取締役の印鑑証明書(代表取締役の変更がある場合)
- 取締役の本人確認証明書※
- 印鑑届書(代表取締役の変更がある場合)
取締役会設置会社で「平取締役」として就任する場合は、本人確認証明書が必要です。
- 印鑑証明書
- 住民票記載事項証明書(住民票の写し)
- 住基カード(住所が記載されているもの)のコピー※
- 運転免許証等のコピー※
※裏面もコピーし、本人が「原本と相違がない。」と記載して、記名押印する必要があります。
パターン3.役員(取締役及び監査役)死亡のみの手続きの場合
役員の入れ替わりがなく、役員の死亡による変更登記を行うだけの場合、株主総会の議事録は登記申請手続きをする際には不要です。変更に必要となる書類は下記になります。
- 変更登記申請書
- 別紙(登記すべき事項)
- 死亡届(死亡の記載のある戸籍謄本等)
必要な登録免許税
10,000円(資本金の額が1億円を超える場合30,000円)
※登録免許税は、役員1人の金額ではなく、申請1件に対してかかります。
一度に何人変更しても申請が1件であれば、10,000円または30,000円となります。