障害者総合支援法に規定されている自立支援給付の介護給付、9つのサービスをわかりやすく解説

はじめに

今回は、障害者総合支援法に規定されている自立支援給付のうち、介護給付について見ていきます。

自立支援給付とは?という方は、下記ページを参考にしてください。

それではさっそく見ていきましょう。

介護給付とは

障害者等が障害福祉サービス等のサービスを受けた場合、自立支援給付費が支給されます。介護給付費は、自立支援給付費の中に含まれています。

自立支援給付費には、

  • 介護給付費
  • 訓練等給付費
  • 特定障害者特別給付費
  • 地域相談支援給付費
  • 計画相談支援給付費
  • 自立支援医療費
  • 療養介護医療費
  • 基準該当療養介護医療費
  • 補装具費及び高額障害福祉サービス等給付費 etc

が規定されており(障害者総合支援法第6条)、

更に、介護給付費として、

  1. 居宅介護
  2. 重度訪問介護
  3. 同行援護
  4. 行動援護
  5. 療養介護(医療に係るものを除く。)
  6. 生活介護
  7. 短期入所
  8. 重度障害者等包括支援
  9. 施設入所支援

上記9つの障害福祉サービスが規定されています(障害者総合支援法第28条)。

今回は、この介護給付費について、一つひとつポイント解説していきます。

障害者総合支援法に規定されている用語定義を見ていくとわかりやすいので、条文を引用しつつ、解説していきます。

※用語定義に出てくる厚生労働省令とは、障害者総合支援法施行規則をさします。

①居宅介護

障害者総合支援法第5条第2項

この法律において「居宅介護」とは、障害者等につき、居宅において入浴、排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。

居宅介護とは、障害者等に対して、居宅において入浴や、排せつ、食事の介護、その他厚生労働省令で定める便宜を行うことを言います。

厚生労働省令で定める便宜とは

厚生労働省令(障害者総合支援法施行規則)第1条の3には、「入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助とする」とあります。

つまり、

居宅介護とは、障害者等の居宅において、障害者等に対し、

  • 入浴、排せつ及び食事等の介護
  • 調理、洗濯及び掃除等の家事
  • 生活等に関する相談及び助言
  • その他の生活全般にわたる援助

上記のサービスを行うことを言います。

具体的には、身体介護、家事援助、通院等介助、通院等乗降介助などを行います。

②重度訪問介護

障害者総合支援法第5条第3項

この法律において「重度訪問介護」とは、重度の肢体不自由者その他の障害者であって常時介護を要するものとして厚生労働省令で定めるものにつき、居宅又はこれに相当する場所として厚生労働省令で定める場所における入浴、排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜及び外出時における移動中の介護を総合的に供与することをいう。

重度訪問介護とは、重度の肢体不自由者その他の障害者であって常時介護を要するものとして厚生労働省令で定める者に対して、居宅や病院等における入浴、排泄や食事の介護等のほか、外出時においての移動中の介護を行います。

厚生労働省令で定める者とは

厚生労働省令(障害者総合支援法施行規則)第1条の4には、「重度の肢体不自由者又は重度の知的障害若しくは精神障害により行動上著しい困難を有する障害者であって、常時介護を要するものとする」とあります。

厚生労働省令で定める場所とは

厚生労働省令(障害者総合支援法施行規則)第1条の4の2で定める場所とは、重度訪問介護を受ける障害者が入院又は入所をしている下記の施設を言います。

  • 病院
  • 診療所
  • 助産所
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院

厚生労働省令で定める便宜とは

厚生労働省令(障害者総合支援法施行規則)第1条の3には、「入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助とする」とあります。

つまり、

重度訪問介護とは、

重度の肢体不自由者又は重度の知的障害若しくは精神障害により行動上著しい困難を有する障害者であって、常時介護を要する者に対して、居宅や病院等において、

  • 入浴、排せつ及び食事等の介護
  • 調理、洗濯及び掃除等の家事
  • 生活等に関する相談及び助言
  • その他の生活全般にわたる援助
  • 外出時においての移動中の介護

を総合的に行うサービスを言います。

③同行援護

障害者総合支援法第5条第4項

この法律において「同行援護」とは、視覚障害により、移動に著しい困難を有する障害者等につき、外出時において、当該障害者等に同行し、移動に必要な情報を提供するとともに、移動の援護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。

同行援護とは、視覚障害によって移動が著しく困難となっている障害者等に対して、移動・外出時に同行し、必要な援助を行います。

厚生労働省令で定める便宜とは

厚生労働省令(障害者総合支援法施行規則)第1条の5には、「視覚障害により、移動に著しい困難を有する障害者等につき、外出時において、当該障害者等に同行して行う移動の援護、排せつ及び食事等の介護その他の当該障害者等の外出時に必要な援助とする」とあります。

つまり、

同行援護とは、

視覚障害により移動に著しい困難を有する障害者等に対して、外出時において同行し、

  • 移動の援護
  • 排泄・食事等の介護
  • その他の当該障害者等の外出時に必要な援助

を行うサービスを言います。

④行動援護

障害者総合支援法第5条第5項

この法律において「行動援護」とは、知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する障害者等であって常時介護を要するものにつき、当該障害者等が行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護、外出時における移動中の介護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。

行動援護とは、知的障害や精神障害によって行動するのに著しい困難が生じる障害者等であって、常時介護を必要とするものに対して、行動の援護、移動中の介護等を行います。

厚生労働省令で定める便宜とは

厚生労働省令(障害者総合支援法施行規則)第2条には、「知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する障害者等であって常時介護を要するものにつき、当該障害者等が行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護、外出時における移動中の介護、排せつ及び食事等の介護その他の当該障害者等が行動する際に必要な援助とする」とあります。

つまり、

行動援護とは、

知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する障害者等であって常時介護を要するものに対して、

  • 行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護
  • 外出時における移動中の介護
  • 排泄・食事等の介護
  • 当該障害者等が行動する際に必要な援助

を行うサービスを言います。

⑤療養介護

障害者総合支援法第5条第6項

この法律において「療養介護」とは、医療を要する障害者であって常時介護を要するものとして厚生労働省令で定めるものにつき、主として昼間において、病院その他の厚生労働省令で定める施設において行われる機能訓練、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び日常生活上の世話の供与をいい、「療養介護医療」とは、療養介護のうち医療に係るものをいう。

療養介護とは、医療を要する障害者であって常時介護を要する者に対して、主として昼間に、病院において行われる機能訓練、療養管理、看護、医学的管理下における介護、日常生活上の世話を行うことを言います。

厚生労働省令で定めるものとは

厚生労働省令(障害者総合支援法施行規則)第2条の2には、「病院において、機能訓練、療養上の管理、看護及び医学的管理の下における介護その他必要な医療並びに日常生活上の世話を要する障害者であって、常時介護を要するものとする」とあります。

つまり、

療養介護とは、

病院において、機能訓練、療養上の管理、看護及び医学的管理の下における介護その他必要な医療並びに日常生活上の世話を要する障害者であって、常時介護を要するものに対して、主として昼間に、

  • 機能訓練
  • 療養上の管理
  • 看護
  • 医学的管理の下における介護
  • 日常生活上の世話

を行うサービスを言います。

⑥生活介護

障害者総合支援法第5条第7項

この法律において「生活介護」とは、常時介護を要する障害者として厚生労働省令で定める者につき、主として昼間において、障害者支援施設その他の厚生労働省令で定める施設において行われる入浴、排せつ又は食事の介護、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。

生活介護とは、常時介護を必要とする障害者等に対して、主として昼間に、障害者支援施設等で日常生活の介護、創作的活動や生産活動の機会の提供等を行うことを言います。

厚生労働省令で定める者とは

厚生労働省令(障害者総合支援法施行規則)第2条の4には、「障害者支援施設等において、入浴、排せつ及び食事等の介護、創作的活動及び生産活動の機会の提供その他の支援を要する障害者であって、常時介護を要するものとする」とあります。

厚生労働省令で定める施設とは

厚生労働省令(障害者総合支援法施行規則)第2条の5には、「障害者支援施設その他の次条に定める便宜を適切に供与することができる施設とする」とあります。

厚生労働省令で定める便宜とは

厚生労働省令(障害者総合支援法施行規則)第2条の6には、「入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事、生活等に関する相談及び助言その他の必要な日常生活上の支援並びに創作的活動及び生産活動の機会の提供その他の身体機能又は生活能力の向上のために必要な支援とする」とあります。

つまり、

生活介護とは、

障害者支援施設等において、入浴、排せつ及び食事等の介護、創作的活動及び生産活動の機会の提供その他の支援を要する障害者であって、常時介護を要する者に対して、

  • 入浴、排せつ、食事等の介護
  • 調理、洗濯、掃除等の家事
  • 生活等に関する相談・助言
  • 必要な日常生活上の支援
  • 創作的活動・生産活動の機会の提供
  • 身体機能又は生活能力の向上のために必要な支援

を行うサービスを言います。

⑦短期入所

障害者総合支援法第5条第8項

この法律において「短期入所」とは、居宅においてその介護を行う者の疾病その他の理由により、障害者支援施設その他の厚生労働省令で定める施設への短期間の入所を必要とする障害者等につき、当該施設に短期間の入所をさせ、入浴、排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。

短期入所とは、障害者等に障害者支援施設の短期間の入所をさせて、日常生活の介護等を行うことを言います。

厚生労働省令で定める施設とは

厚生労働省令(障害者総合支援法施行規則)第5条には、「障害者支援施設、児童福祉法第七条第一項に規定する児童福祉施設その他の次条に定める便宜の供与を適切に行うことができる施設とする」とあります。

厚生労働省令で定める便宜とは

厚生労働省令(障害者総合支援法施行規則)第6条には、「入浴、排せつ及び食事の介護その他の必要な支援とする」とあります。

つまり、

短期入所とは、

居宅において障害者等の介護を行う者の病気やその他の理由によって、障害者支援施設、児童福祉施設等への短期間の入所を必要とする障害者等に対して、当該施設に短期間の入所をさせて、

  • 入浴、排せつ及び食事の介護
  • その他の必要な支援

を行うサービスを言います。

⑧重度障害者等包括支援

障害者総合支援法第5条第9項

この法律において「重度障害者等包括支援」とは、常時介護を要する障害者等であって、その介護の必要の程度が著しく高いものとして厚生労働省令で定めるものにつき、居宅介護その他の厚生労働省令で定める障害福祉サービスを包括的に提供することをいう。

重度障害者等包括支援とは、常時介護を要する障害者等であって、その介護の必要の程度が著しく高い者に対して、居宅介護その他のサービスを包括的に提供することを言います。

厚生労働省令で定める障害者等とは

厚生労働省令(障害者総合支援法施行規則)第6条の2には、「常時介護を要する障害者等であって、意思疎通を図ることに著しい支障があるもののうち、四肢の麻痺及び寝たきりの状態にあるもの並びに知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有するものとする」とあります。

厚生労働省令で定める障害福祉サービスとは

厚生労働省令(障害者総合支援法施行規則)第6条の3には、「居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、生活介護、短期入所、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、自立生活援助及び共同生活援助とする」とあります。

つまり、

重度障害者等包括支援とは、

常時介護を要する障害者等であって、意思疎通を図ることに著しい支障があるもののうち、四肢の麻痺及び寝たきりの状態にあるもの並びに知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する者に対して、

  • 居宅介護
  • 重度訪問介護
  • 同行援護
  • 行動援護
  • 生活介護
  • 短期入所
  • 自立訓練
  • 就労移行支援
  • 就労継続支援
  • 就労定着支援
  • 自立生活援助
  • 共同生活援助

上記のサービスを、包括的に提供するサービスを言います。

⑨施設入所支援

障害者総合支援法第5条第10項

この法律において「施設入所支援」とは、その施設に入所する障害者につき、主として夜間において、入浴、排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。

施設入所支援とは、施設に入所している障害者等に対して、主として夜間において、日常生活の介護等を行うことを言います。

厚生労働省令で定める便宜とは

厚生労働省令(障害者総合支援法施行規則)第6条の3には、

次の各号のいずれかに該当する障害者に対して行う入浴、排せつ及び食事等の介護、生活等に関する相談及び助言その他の必要な日常生活上の支援とする。

  1. 生活介護を受けている者
  2. 自立訓練、就労移行支援又は第六条の十第二号の就労継続支援B型(以下この号において「訓練等」という。)を受けている者であって、入所させながら訓練等を実施することが必要かつ効果的であると認められるもの又は地域における障害福祉サービスの提供体制の状況その他やむを得ない事情により、通所によって訓練等を受けることが困難なもの

とあります。

つまり、

施設入所支援とは、

  • 生活介護を受けている者
  • 自立訓練、就労移行支援または就労継続支援B型を受けている者であって、入所させながら訓練等を実施することが必要かつ効果的であると認められる者
  • 地域における障害福祉サービスの提供体制の状況その他やむを得ない事情により、通所によって訓練等を受けることが困難な者

上記の者に足して、

  • 入浴、排せつ及び食事等の介護
  • 生活等に関する相談及び助言
  • その他の必要な日常生活上の支援

を行うサービスを言います。

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行政書士津田拓也プロフィール

行政書士法人MOYORIC(モヨリック)では、障害福祉事業の開業をお考えの方に向けて、障害福祉サービス事業所の指定申請、法人設立のほか、経営革新等認定支援機関による融資サポートを行っております。

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