営業所

当記事では、福祉(介護)タクシーの経営許可を受けるための要件のひとつである「営業所」について解説いたします。

営業所とは

福祉(介護)タクシーの営業所の要件については、全国の各運輸局長が「審査基準」というものを公表しており、そこに詳細が載っています。

今回は近畿運輸局の審査基準を例に挙げて解説していきたいと思います。

営業所をどの都道府県におくかによって、管轄の運輸局は変わります。近畿運輸局の管轄は、大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県となります。これらの都府県に営業所を置く場合は、近畿運輸局が管轄となります。

なお、関東運輸局の管轄は、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県、茨城県、栃木県、山梨県となっています。

それでは、この審査基準の中で「営業所」とはどのように定義づけされているのか、まずは見てみましょう。

営業所とは、「配置する事業用自動車に係る運行管理及び利用者への営業上の対応を行う事務所」とされています。

難しいように見えますが、簡単に言うと、

福祉(介護)タクシー事業の運行管理と、利用者(お客様)への営業上の対応を行う場所

ということになります。

では次にこの営業所の要件について見てましょう。

営業所の要件

審査基準では、営業所の要件は次のように定められています。

  1. 営業所区域内にあること。複数の営業区域を有するものにあっては、それぞれの営業区域内にあること
  2. 申請者が、土地、建物について3年以上の使用権限を有するものであること
  3. 建築基準法(昭和25年法律第201号)に抵触しないこと
  4. 都市計画法(昭和43年法律第100号)に抵触しないこと
  5. 消防法(昭和23年法律第186号)に抵触しないこと
  6. 農地法(昭和27年法律第229号)に抵触しないこと
  7. 事業計画を的確に遂行するに足る規模のものであること

営業所区域内にあること。複数の営業区域を有するものにあっては、それぞれの営業区域内にあること

これは、例えば、福祉(介護)タクシー事業を大阪府内ではじめる場合は、大阪府内に営業所を設ける必要があるということです。

複数の営業区域を有する場合とは、例えば、福祉(介護)タクシー事業を兵庫県と大阪府ではじめる場合は、兵庫県内、大阪府内にそれぞれ営業所がなければならないということになります。

なお、営業区域については別の記事で解説をしていますので、参考にしてください。

福祉(介護)タクシーの営業区域はどのように定められているのか?行政書士がわかりやすく解説

申請者が、土地、建物について3年以上の使用権限を有するものであること

営業所の土地・建物それぞれについて、3年以上の使用権限を有している必要があるということになりますが、自己所有の物件の場合はそこまで問題にはなりません。

営業所として申請する土地・建物を賃貸する場合に注意が必要になってきます。3年以上の契約は珍しいですからね。

なので、この3年という期間については、特別な規定が設けられています。

審査基準とは別で公示されている「細部取扱」にて、賃貸借契約期間が3年未満であっても契約書にいわゆる「自動更新条項」が入っていると認められる場合に限って、OKとするとされています。

つまり、1年の賃貸借契約期間でも、その契約書の条項の中に「自動更新される旨が読み取れるのであれば要件を満たしたことにしてあげる」ということになりますね。

なお、当然ですが、この賃貸借契約は「事業用」としての利用が可能である必要があります。貸主や物件オーナーが事業用利用を認めていない物件はNGです。許可云々の問題ではなく、賃貸借契約違反となってしまいます。

建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令の規定に抵触しないこと

これらが最も重要と言っても過言ではありません。ただし、審査基準ではこのように規定されているだけで、実際に抵触していないことの証明書などが求められているわけではありません。

手続き上は、許可申請時に宣誓書という簡単な書類の中で、関係法令に抵触していない旨を宣誓するだけでOKなのですが、もし、宣誓したにも関わらず、審査中あるいは許可後に関係法令に抵触していることが判明した場合は、許可がされず、許可がされた後も許可の取り消しになることがあります。

営業開始後に許可が取り消されるということは、営業そのものができなくなるということです。目も当てられませんね。

ですから、ここの要件はおろそかになりがちですが、絶対にクリアしておく必要があります。

我々行政書士が依頼を頂戴して申請を行う場合は、事前に現地調査、役所調査など行い要件がクリアされていることが確認できてから申請を行いますが、一般の方が申請する場合、あまり深く考えず調査も行わず、宣誓書の提出だけで済ませてしまうケースもあります。

急がば回れで、ここの調査をおろそかにせず、関係法令に抵触していなことの確認は必ず行っておかれることをお勧めします。

調査の方法ですが、市区町村役場や法務局などに直接出向く、用途地域などについてはインターネットで公表されている自治体もありますので、インターネットで確認するなどの方法があります。

弊社に手続きの代行依頼をいただく場合は、弊社にて調査の代行をいたしますので、これらの手間は省いていただけます。

事業計画を的確に遂行するに足る規模のものであること

福祉(介護)タクシーの経営許可申請時に、事業計画書も提出しなければなりませんが、この事業計画書には、福祉(介護)タクシーで使う車の数や運転者の人数なども記載しなければなりません。

福祉(介護)タクシーの営業所について、この事業計画を的確に遂行するに不足のない規模のものであること、としか定められていません。営業所の具体的な広さや、どんな設備が必要といったことまでは審査基準や細部取扱には記載がなされていません。

ですので、誰の目からみても明らかに狭すぎる営業所などは、審査が通らない、あるいは補正の対象になるといったケースも出てくるかもしれません。

ここは具体的な数値などはなく行政の裁量で判断されることになりますので、常識的に見て福祉(介護)タクシーの営業所としての広さが確保されていれば、大きな指摘が入ることは無いかと思われます。

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