当記事では、福祉(介護)タクシー事業における苦情処理責任者・担当者、旅客からの苦情処理方法について解説いたします。
苦情処理担当者とは
福祉(介護)タクシー事業の経営許可の審査基準には、許可要件のひとつとして、「利用者等からの苦情の処理に関する体制が整備されていること」とあります。
つまり、苦情処理を行う者を選任する必要があるということになります。
この苦情処理担当者については、特別な資格などは必要ありません。誰でも就任可能です。
近畿運輸局や関東運輸局では、苦情処理責任者・苦情処理担当者を定める必要があるとされていますが、これらも同一人物でOKです。
運行管理者、整備管理責任者、指導主任者などとの兼任も可能です。
旅客からの苦情処理についてはどのような規定があるか
福祉(介護)タクシー事業者の苦情処理の取り扱いについては、旅客自動車運送事業運輸規則に規定があります。
(苦情処理)
第三条 旅客自動車運送事業者は、旅客に対する取扱いその他運輸に関して苦情を申し出た者に対して、遅滞なく、弁明しなければならない。ただし、氏名及び住所を明らかにしない者に対しては、この限りでない。
2 旅客自動車運送事業者は、前項の苦情の申出を受け付けた場合には、次に掲げる事項を営業所ごとに記録し、かつ、その記録を整理して一年間保存しなければならない。
一 苦情の内容
二 原因究明の結果
三 苦情に対する弁明の内容
四 改善措置
五 苦情処理を担当した者旅客自動車運送事業運輸規則第3条
まず、福祉(介護)タクシー事業者が旅客から苦情を受けた場合は、その苦情に対して弁明を行う義務があるということを押さえておいてください。
無視や放置は禁じられています。ただし、苦情を申し出るものが、自分の氏名・住所を明らかにしない者に対しては、弁明義務は課せられていません。
なお、苦情を受けた場合は、その記録をし、その記録簿を1年間保管しておかなければならないことにも注意が必要です。
記録簿には、次の事項を記録します。
- 苦情の内容
- 原因究明の結果
- 苦情に対する弁明の内容
- 改善措置
- 苦情処理を担当した者
なお、『旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について』という通達において、これらの規定の趣旨として、
事業者に、苦情に対する弁明義務に加え、苦情の内容、再発防止に必要と思われる事項を記録させることにより、
- 苦情の多い運転者等を把握し、適切に当該運転者等を指導すること
- 苦情の全般を把握した上で、運転者等の教育を行うこと
- 記録簿として整理することにより、苦情に対する 事業者の対応を場当たり的にさせないこと
等を通じて利用者サービスの向上を求めるものである。
とあります。
要約しますと、「漫然と苦情処理を行うのではなく、旅客からの苦情を、運転者への指導や教育に繋げ、それらを記録することによって再発防止等に努め、さらなるサービスの向上に努めてください」となりますね。
福祉(介護)タクシー事業を行っていれば、顧客からの苦情・クレームが発生してしまうこともあろうかと思います。
苦情が入った場合でも、上記の法令や通達を参考にしていただき、冷静に対処した上で、サービス向上へと繋げていただければと思います。
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