ストレッチャー

患者等搬送事業者(民間救急)とは

患者等搬送事業者(民間救急)とは、転院・入退院・通院などの「緊急性がない場合」に限って搬送を行う民間の搬送事業者を言います。

民間「救急」という名前が付いていますが、消防署が行っている救急事業とはまったく異なります。

「緊急性がない場合」とは、おおざっぱに説明しますと、救急車を呼ぶほどまではないが、ストレッチャーや車椅子に乗ったままの状態で病院等へ行きたい場合などです。

神戸市の患者等搬送事業指導要綱が参考になりますので、見てみましょう。

「患者等搬送事業」とは,患者等を医療機関への入退院,通院及び転院並びに社会福祉施設等への送迎に際し,ストレッチャー又は車椅子等を固定できる自動車(以下「患者等搬送用自動車」という。)を用いて搬送を実施する事業をいう。

上記の「患者等搬送事業」がいわゆる「民間救急」と呼ばれているものになります。

民間救急を行うには、自治体消防局から認定を受けなければなりません。例えば、神戸市で民間救急を行いたい場合は、神戸市消防局救急課に認定の申請を行います。

介護(福祉)タクシー等の許可が必要

民間救急の認定を受けるには、大前提として、まずは介護(福祉)タクシー等の許可を取得しておく必要があります。

神戸市の認定基準においても、次のように規定されています。

(認定対象の事業者)
第 20 条 認定の対象となる事業者は,道路運送法(昭和26年法律第183号)に定める次の各号の者をいう。
(1) 一般乗用旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(2) 一般貸切旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(3) 特定旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(4) 自家用有償旅客運送の登録を受けた者

※介護(福祉)タクシー、特定旅客自動車運送事業、自家用有償旅客運送登録については、下記ページでも解説をしておりますので、参考にしてください。

福祉(介護)タクシーの種類はいくつあるの?許可や登録の種類について行政書士がわかりやすく解説

患者等搬送事業者(民間救急)の認定要件

通常の介護(福祉)タクシーであれば第二種運転免許以外に特別な資格は不要(セダンなどの一般車両を使用する場合は除きます)ですが、民間救急を行う場合には、あらかじめ一定の講習等を受ける修了しておく必要があります。

たとえば、神戸市では、民間救急の乗務員等の要件として、
「乗務員は満18歳以上の者で、次のいずれかに該当する者」である必要があるとされています。

  1. 消防機関の行う講習を修了している(患者等搬送乗務員適任証を取得している)
  2. 講習を修了した者と同等以上の応急処置技術等を有する

講習の内容や日程は自治体によって異なりますので、詳細については、各窓口で確認をされると良いかと思います。

また、神戸市では、車両についても要件が設けられています。

民間救急車両は、ストレッチャー、車いすを固定する設備や簡易な救急資器材等を設け、救急車と間違えられない外観(サイレン無・赤色灯無)である必要があります。

救急車と間違えられない外観については、当然ですね^^;消防署の救急車と民間救急の車両の区別が付かないと、利用者や市民は困惑してしまいます。

さらに、実際に民間救急を行う際には、患者等搬送乗務員適任証を取得した乗務員が乗務することが必要です。ストレッチャー使用であれば1台につき2名以上となります(車いす専用なら1台につき1名以上)。

細かな要件は自治体によって異なりますので、各窓口で詳細の確認は必ず行うようにしてください。

まとめ

民間救急を行うには、

  1. 大前提としてまずは介護タクシー等の許可を行うこと
  2. 乗務員は一定の講習を修了している者であること
  3. 車両等にも様々な要件が設けられていること

この3点が大きなポイントとなります。

民間救急に関しては、下記ページも参考になるかと思いますので、ご興味のある方はご覧ください。

福祉(介護)タクシーが対象としている旅客の範囲は?患者等搬送事業者とは?行政書士がわかりやすく解説

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