当記事では、福祉(介護)タクシー事業者にはなれない者として道路運送法に規定されている「欠格事由」について、詳細解説致します。
一般「旅客」自動車運送事業の欠格事由はどのように規定されているか
そもそも福祉(介護)タクシーとは?という方は、まずは下記記事をご覧ください。
上記記事でも解説していますが、福祉(介護)タクシー事業は一般「旅客」自動車運送事業のうち、一般「乗用」旅客自動車運送事業に分類されています。
一般「乗用」旅客自動車運送事業のうち、事業の内容を福祉に関する事業に限定している許可が福祉(介護)タクシー事業となります。
当記事で解説する「道路運送法の第7条に規定されている欠格事由」は、一般「旅客」自動車運送事業に関するものとなりますので、当然ながら、福祉(介護)タクシー事業をはじめようとするものにも当てはまることになります。
それでは、どのように規定されているのかを見てみましょう。
道路運送法第7条(欠格事由)
国土交通大臣は、次に掲げる場合には、一般旅客自動車運送事業の許可をしてはならない。
一 許可を受けようとする者が一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過していない者であるとき。
二 許可を受けようとする者が一般旅客自動車運送事業又は特定旅客自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から五年を経過していない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しを受けた法人のその処分を受ける原因となつた事項が発生した当時現にその法人の業務を執行する役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。第六号、第八号、第四十九条第二項第四号並びに第七十九条の四第一項第二号及び第四号において同じ。)として在任した者で当該取消しの日から五年を経過していないものを含む。)であるとき。
三 許可を受けようとする者と密接な関係を有する者(許可を受けようとする者(法人に限る。以下この号において同じ。)の株式の所有その他の事由を通じて当該許可を受けようとする者の事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として国土交通省令で定めるもの(以下この号において「許可を受けようとする者の親会社等」という。)、許可を受けようとする者の親会社等が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として国土交通省令で定めるもの又は当該許可を受けようとする者が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として国土交通省令で定めるもののうち、当該許可を受けようとする者と国土交通省令で定める密接な関係を有する法人をいう。)が、一般旅客自動車運送事業又は特定旅客自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から五年を経過していない者であるとき。
四 許可を受けようとする者が、一般旅客自動車運送事業又は特定旅客自動車運送事業の許可の取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条の規定による通知があつた日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に第三十八条第一項若しくは第二項又は第四十三条第八項の規定による事業の廃止の届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から五年を経過していないものであるとき。
五 許可を受けようとする者が、第九十四条第四項の規定による検査が行われた日から聴聞決定予定日(当該検査の結果に基づき一般旅客自動車運送事業又は特定旅客自動車運送事業の許可の取消しの処分に係る聴聞を行うか否かの決定をすることが見込まれる日として国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣が当該許可を受けようとする者に当該検査が行われた日から十日以内に特定の日を通知した場合における当該特定の日をいう。)までの間に第三十八条第一項若しくは第二項又は第四十三条第八項の規定による事業の廃止の届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から五年を経過していないものであるとき。
六 第四号に規定する期間内に第三十八条第一項若しくは第二項又は第四十三条第八項の規定による事業の廃止の届出があつた場合において、許可を受けようとする者が、同号の通知の日前六十日以内に当該届出に係る法人(当該事業の廃止について相当の理由がある法人を除く。)の役員であつた者で、当該届出の日から五年を経過していないものであるとき。
七 許可を受けようとする者が営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者である場合において、その法定代理人が前各号(第三号を除く。)又は次号のいずれかに該当する者であるとき。
八 許可を受けようとする者が法人である場合において、その法人の役員が前各号(第三号を除く。)のいずれかに該当する者であるとき。
全部で8つです。何がなんだか分かりませんね^^;
1つひとつ、見ていきましょう。
第7条第1号に定められている欠格事由(懲役刑等)
1年以上の懲役や禁錮刑に処せられて執行が終わった後、または、執行を受けることがなくなった日から5年が経過していない者は、福祉(介護)タクシー事業者とはなれません。
第7条第2号に定められている欠格事由(許可の取消を受けた者等)
許可を受けようとする者が一般旅客自動車運送事業又は特定旅客自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から5年を経過していない者(※)であるときは、福祉(介護)タクシー事業者とはなれません。
※ 当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しを受けた法人のその処分を受ける原因となった事項が発生した当時、現にその法人の業務を執行する役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下、第7条第6号、第8号においても同じです)として在任した者で、当該取消しの日から5年を経過していない者も含みます。
第7条第3号に定められている欠格事由(許可の取消しを受けたその親会社等)
許可を受けようとする者(※1)と密接な関係を有する者(※2)が、一般旅客自動車運送事業又は特定旅客自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から5年を経過していない者であるときは、福祉(介護)タクシー事業者とはなれません。
※1 許可を受けようとする者とは
許可を受けようとする者とは、法人のみを言い、個人は含まれません。
※2 許可を受けようとする者と密接な関係を有する者とは
- 許可を受けようとする者の親会社等(許可を受けようとする者の株式の所有その他の事由を通じて当該許可を受けようとする者の事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として国土交通省令で定めるもの)
- 許可を受けようとする者の親会社等が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として国土交通省令で定めるもの
- 当該許可を受けようとする者が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として国土交通省令で定めるもの
上記の者のうち、当該許可を受けようとする者と国土交通省令で定める密接な関係を有する法人を言います。
第7条第4号に定められている欠格事由(行政手続法による通知と事業廃止の届出等)
許可の取り消し処分にかかる上記行政手続法第15条の規定による通知があった日から、その処分をする日、または、処分をしないことを決定する日までの間に、自ら事業の廃止の届出をした者で、その廃止の届出の日から5年を経過していない者は、福祉(介護)タクシー事業者となることはできません。
行政手続法第15条の規定による通知とは
第十五条 行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
一 予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項
二 不利益処分の原因となる事実
三 聴聞の期日及び場所
四 聴聞に関する事務を所掌する組織の名称及び所在地
道路運送法第38条第1項・第2項
一般旅客自動車運送事業者(路線定期運行を行う一般乗合旅客自動車運送事業者を除く。)は、その事業を休止し、又は廃止しようとするときは、その30日前までに、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
2 路線定期運行を行う一般乗合旅客自動車運送事業者は、その事業を休止し、又は廃止しようとするときは、その6月前(利用者の利便を阻害しないと認められる国土交通省令で定める場合にあつては、その30前)までに、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
道路運送法第43条第8項
8 特定旅客自動車運送事業者は、事業の管理を委託し、又は事業を休止し、若しくは廃止したときは、その日から30日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。事業の管理の委託又は事業の休止について届出をした事項を変更したときも同様とする。
第7条第5号に定められている欠格事由(立入検査等と事業廃止の届出等)
道路運送法第94条第4項
4 国土交通大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員をして自動車、自動車の所在する場所又は道路運送事業者、自家用有償旅客運送者その他自動車を所有し、若しくは使用する者若しくはこれらの者の組織する団体の事務所その他の事業場(道路運送事業、自家用有償旅客運送の業務又は自動車の管理に係るものに限る。)に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査し、又は関係者に質問させることができる。
立入検査が行われた日から、聴聞決定予定日(※)までの間に、自ら事業の廃止の届出をした者で、その廃止の届出の日から5年を経過していない者は、福祉(介護)タクシー事業者となることはできません。
※ 聴聞決定予定日とは
立入り検査の結果に基づいて、一般旅客自動車運送事業や特定旅客自動車運送事業の許可の取消しの処分に係る聴聞を行うか否かの決定をすることが見込まれる日として、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣が当該許可を受けようとする者に、当該検査が行われた日から10日以内に特定の日を通知した場合における当該特定の日をいう。
第7条第6号に定められている欠格事由(第4号関係)
許可を受けようとする者が、第4号に係る法人であって、その法人が受けた通知の日の前60日以内に、その法人の役員であった者で、当該届出の日から5年を経過していない者は、福祉(介護)タクシー事業者となることはできません。
第7条第7号に定められている欠格事由(未成年者の法定代理人)
許可を受けようとする者が未成年の場合、その法定代理人(親など)が、第1号、第2号、第4号、第5号、第6号、第8号に該当する者である場合は、福祉(介護)タクシー事業者にはなることができません。
第7条第8号に定められている欠格事由(法人役員等)
許可を受けようとする者が個人ではなく法人である場合であって、その法人の役員が第1号、第2号、第4号、第5号、第6号、第7号に該当する者である場合は、福祉(介護)タクシー事業者にはなることができません。
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