福祉(介護)タクシーの運賃・料金、運送約款の「公示」について行政書士がわかりやすく解説

一般「旅客」自動車運送事業の運賃・料金と運送約款の「公示」について

当記事では、福祉(介護)タクシー事業者に求められる運賃・料金と運送約款の「公示」について詳細解説致します。

そもそも福祉(介護)タクシーとは?という方は、まずは次のページをご覧ください。

上記記事でも解説していますが、福祉(介護)タクシー事業は一般「旅客」自動車運送事業のうち、一般「乗用」旅客自動車運送事業に分類されています。

一般「乗用」旅客自動車運送事業のうち、事業の内容を福祉に関する事業に限定している許可が福祉(介護)タクシー事業となります。

つまり、福祉(介護)タクシーの運賃・料金と運送約款の公示について知るためにも、まずは、一般「乗用」旅客自動車運送事業の運賃及び料金と運送約款の公示について道路運送法その他の法令にはどのような規定があるのかを理解しておく必要があるということになります。

それでは、さっそく道路運送法に規定されている一般「乗用」旅客自動車運送事業の運賃・料金と運送約款の公示について見ていきましょう。

運賃・料金

福祉(介護)タクシーの運賃・料金についての詳細は下の記事で解説しています。

運送約款

次に、運送約款について見ていきましょう。

道路運送法には、「運送約款」について次のような規定が置かれています。

道路運送法第11条(運送約款)

一般旅客自動車運送事業者は、運送約款を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 国土交通大臣は、前項の認可をしようとするときは、次の基準によつて、これをしなければならない。
 一 公衆の正当な利益を害するおそれがないものであること。
 二 少なくとも運賃及び料金の収受並びに一般旅客自動車運送事業者の責任に関する事項が明確に定められているものであること。
3 国土交通大臣が一般旅客自動車運送事業の種別に応じて標準運送約款を定めて公示した場合(これを変更して公示した場合を含む。)において、当該事業を経営する者が、標準運送約款と同一の運送約款を定め、又は現に定めている運送約款を標準運送約款と同一のものに変更したときは、その運送約款については、第一項の規定による認可を受けたものとみなす。

重要な部分は緑文字の部分です。

一般旅客自動車運送事業者は、運送約款を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならないとされています。

また、その認可にあたっては、下記の基準によって行わなければならないとしています。

  • 公衆の正当な利益を害するおそれがないものであること
  • 少なくとも運賃及び料金の収受並びに一般旅客自動車運送事業者の責任に関する事項が明確に定められているものであること

なお、この認可については、国土交通大臣が定めた「標準運送約款」と同一の内容の運送約款を定めた場合は、認可を受けたものとみなされることになっています。

国土交通大臣が告示している標準運送約款はこちらです。

運送約款の認可申請と記載事項

運送約款の認可申請とその記載事項については道路運送法施行規則に規定が置かれています。

運送約款の認可申請

道路運送法施行規則第11条(運送約款の認可申請)

法第11条第1項の規定により、一般旅客自動車運送事業の運送約款の設定又は変更の認可を申請しようとする者は、次に掲げる事項を記載した運送約款設定(変更)認可申請書を提出するものとする。
 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
 二 事業の種別
 三 設定又は変更しようとする運送約款(変更の認可申請の場合は、新旧の運送約款(変更に係る部分に限る。)を明示すること。)
 四 変更の認可申請の場合は、変更を必要とする理由

一般旅客自動車運送事業の運送約款の認可申請については、次の事項を記載した認可申請書を提出することによって行います。

  1. 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
  2. 事業の種別
  3. 設定又は変更しようとする運送約款(変更の認可申請の場合は、新旧の運送約款(変更に係る部分に限る。)を明示すること。)
  4. 変更の認可申請の場合は、変更を必要とする理由

運送約款と記載事項

次に、運送約款に記載する事項についてどのように規定があるのでしょうか。見てみましょう。

道路運送法施行規則第12条(運送約款の記載事項)

法第11条第1項の規定による一般旅客自動車運送事業の運送約款に定める事項は、次のとおりとする。
 一 事業の種別
 二 運賃及び料金の収受又は払戻しに関する事項
 三 運送の引受けに関する事項
 四 運送責任の始期及び終期
 五 免責に関する事項
 六 損害賠償に関する事項
 七 その他運送約款の内容として必要な事項

運送約款の作成にあたっては、次の事項の記載が無ければなりません。さきほど見た国土交通大臣が告示している「標準運送約款」も同じ記載がありますので、お時間のある方は見比べてみてください。

  1. 事業の種別
  2. 運賃及び料金の収受又は払戻しに関する事項
  3. 運送の引受けに関する事項
  4. 運送責任の始期及び終期
  5. 免責に関する事項
  6. 損害賠償に関する事項
  7. その他運送約款の内容として必要な事項

運賃・料金、運送約款の公示の方法

一般「乗用」旅客自動車運送事業者の運賃・料金、運送約款の公示の方法については、旅客自動車運送事業運輸規則に記載があります。

旅客自動車運送事業運輸規則第4条(運賃及び料金等の実施等)

一般旅客自動車運送事業者は、運賃及び料金並びに運送約款を営業所に公示した後でなければ、これを実施してはならない。
2 一般乗用旅客自動車運送事業者は、地方運輸局長が定めるところにより、事業用自動車(運送の引受けが営業所のみにおいて行われるものを除く。)に運賃及び料金に関する事項を公衆及び事業用自動車を利用する旅客に見やすいように表示しなければならない。
3 一般乗用旅客自動車運送事業者は、運賃又は料金が対時間制による場合を除き、地方運輸局長が定めるところにより、運賃及び料金の額を事業用自動車内において事業用自動車を利用する旅客に見やすいように表示しなければならない。

一般「乗用」旅客自動車運送事業者は、運賃・料金、運送約款を営業所において公示しなければなりません。また、運賃及び料金に関する事項を公衆及び事業用自動車を利用する旅客に見やすいように表示しなければなければなりません。

更に、運賃及び料金の額を事業用自動車の車内においても利用する旅客に見やすいように表示しなければなりません。

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行政書士津田拓也プロフィール

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