日本政策金融公庫のマル経融資とは?小規模事業者経営改善資金って?認定支援機関がわかりやすく解説

マル経融資とは

マル経融資は、正式には「小規模事業者経営改善資金」と言います。

日本政策金融公庫が行っている公的融資制度の一つです。

創業時等の融資とは異なり商工会議所に入会している事業者を対象としているのが特徴です。

日本政策金融公庫のHPにはマル経融資について次の記載があります。

商工会議所や商工会などの経営指導を受けている小規模事業者の商工業者が、経営改善に必要な資金を無担保・無保証人でご利用できる制度です。

この制度を利用して融資を受けるには、前述の通り、大前提として商工会議所に加入していなければなりません。

商工会議所とは

商工会議所とは、一度はその名を聞いたことがあるかと思いますが、簡単に言うと経営・法務・財務など中小企業の経営について支援をしてくれる団体です。

公的な事業を行っていますが、公的機関ではありません。商工会議所は商工会議所法という法律に基づいて設立された「特別認可法人」です。

都道府県の各地域に置かれいますので、その区域内で事業を行っているのであれば、法人・個人事業を問わず入会できます。

商工会議所には経営支援専門員が配置されています。

中小企業向けの経営相談、資金調達等の融資相談や記帳指導等のサービスも無料で受けることができます。

経営セミナー、交流会等も積極的に行われており、経営者との情報交換や交流の場としても活用されています。

地域の商工会議所によって異なりますが、加入金が数千円、年会費は従業員数が10名未満であれば年間15,000円程度です。

加入金と年会費は必要ですが、その全額を損金または必要経費に算入することができますので、マル経融資を考えていなくても加入するだけのメリットはあります。

マル経融資の概要

マル経融資は経営改善のための運転資金や設備資金として2,000万円を融資限度額として、審査で認められた資金が融資されます。

返済期間は運転資金で7年(据置1年以内)、設備資金(据置2年以内)で10年以内と返済期間が比較的長めに設定されています。

保証人や担保も不要です。

信用保証協会の保証も不要である事に加えて、なんといっても、低利(令和3年2月1日現在:年利1.21%)である事が大きな魅力です。

融資対象者・要件

マル経融資の対象者と利用要件は次の通りです。

  • 従業員が20人以下の法人または個人事業主であること(商業・サービス業は従業員が5人以下)
  • 最近1年以上、同一商工会議所の区域内で事業を行っていること
  • 商工会議所の経営・金融指導を受けて事業改善に取り組んでいること(6ヶ月以上の指導を受けているという要件を設けている商工会議所もあります)
  • 確定申告を行い、税金(所得税、法人税、事業税、県・市民税)を完納していること
  • 商工業者であり、日本政策金融公庫の融資対象業種を営んでいること(

※多くの業種が対象となりますが、銀行業、競輪競馬・パチンコ等の娯楽業、取立業などは非対象業種となります。

多くの融資制度も同様ですが、税金の滞納はNGとなっていますので、注意が必要です。

融資条件

  • 融資限度額:2,000万円
  • 返済期間:運転資金7年以内、設備資金10年以内
  • 保証人:不要
  • 担保:不要
  • 年利:1.21%(特利F:令和3年2月1日現在)
  • その他:利用にあたっては商工会議所会頭、商工会会長等の推薦が必要

必要書類《法人の場合》の例

  • 前期、前々期の決算書と確定申告書
  • 決算後6ヶ月以上経過している場合は最近の試算表
  • 税金(所得税、法人税、事業税、県・市民税)の領収書又は納税証明書
  • 登記簿謄本(3ヶ月以内のもの)
  • 設備資金を申込む場合はその見積書、契約書、カタログ等
  • 現在の借入金に関する書類

※申込先の商工会議所によって異なります。

必要書類《個人事業の場合》の例

  • 前年、前々年の決算書と確定申告書
  • 決算後6ヶ月以上経過している場合は最近の試算表
  • 税金(所得税、事業税、県・市民税)の領収書又は納税証明書
  • 設備資金を申込む場合はその見積書、契約書、カタログ等
  • 現在の借入金に関する書類

※申込先の商工会議所によって異なります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

すでに商工会議所会員の方も、そうでない方も、マル経融資が活用できるのであれば積極的に活用されると良いでしょう。

無担保・無保証も魅力ですが、マル経融資の魅力はなんといってもその低さにあります。

まだ商工会議所には入会していないという方は、マル経融資の活用を考えているのであれば、会費はかかりますが速やかに入会されることをお勧め致します。

マル経融資のほかにも様々な支援プログタムが用意されていますので、自社の管轄区域内の商工会議所HPを参考されると良いかと思います。

なお、マル経融資は1年以上事業を行っている方が対象となりますので、創業時に利用することはできません。

創業時に融資を考えている場合は、同じ日本政策金融公庫が行っている「新創業融資」や「新規開業資金」を利用することになります。

新創業融資や新規開業資金についての詳細は、下記ページを参考にしてもらえればと思います。