労災

労災保険料とは

労災保険料は100%会社(事業主)負担です。

全額会社負担ですので、従業員個人が負担することはありません。

労災保険は会社単位(正確には事業所単位)で加入するため、その保険料は年度を単位として保険料1年分をまとめて納付する仕組みになっています。

では、実際労災保険料はいくらかかるのでしょうか?

労災保険料は、従業員へ支払う賃金総額に労災保険率を乗じた金額です。

労災保険料=「賃金総額(1年間)」×「労災保険率」

全ての従業員に支払った賃金の総額ですので、従業員が10人いるなら10人に支払った賃金の総額に労災保険率を乗じた金額が労災保険料として算出されます。

賃金は給与とも呼ばれていますが、基本給や賞与、手当などを含めた「労働の対価として支払われるもの」は全て賃金の中に含められます。

なお、事業主本人や会社の役員など労災保険に加入できない人に支払った報酬等は除きます。

<賃金に含めるものの例>

  • 基本給
  • 賞与
  • 通勤手当
  • 残業手当
  • 休日手当
  • 家族手当
  • 住宅手当
  • 休業手当
  • 社会保険料(労働者の負担分を事業主が負担する場合)
  • 雇用保険料(労働者の負担分を事業主が負担する場合) etc

退職金や傷病手当金、結婚祝金などは賃金の総額に含める必要はありません。

労災保険率は事業の種類ごとに、2.5/1000から88/1000までに分かれています。

林業、鉱業、建設業など労災の危険性が高い事業では、保険率が高くなっているのが特徴です。

★厚生労働省「労災保険率表」

労災保険料の計算例

では実際に、どのように保険料を計算するかみてみましょう。

例えば、「卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」では、保険率は「3/1000(0.3%)」です(令和4年度現在)。

小売業を営んでいて、従業員に支払う1年間の賃金が300万円の場合、労働保険料は、3,000,000×(3/1000)=9,000円となります

労災保険料の申告・納付方法

労災保険料は、年度(4月1日から翌年3月31日)を単位として、概算保険料を計算して納付する前払い制です。

年度中に従業員に支払う賃金の「予想額」から、その年度の労働保険料を申告します。

そして翌年度の年度更新の際に確定した労働保険料を申告して精算する仕組みです。

<まとめ:労災保険料の基本>

  • 労災保険料は100%会社(事業主)負担
  • 労災保険料は「賃金総額(1年間)」×「労災保険率」で決まる
  • 労災保険率は事業種別により異なる
  • 年度(4月1日から翌年3月31日)分の概算保険料をまとめて前納する(一定の場合に分納可)

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