
標準報酬月額とは?―社会保険料の基準となる重要な金額
標準報酬月額は、健康保険・厚生年金・介護保険といった社会保険料の金額を決める基準となるもので、従業員が1か月に受け取る報酬額をもとに一定の区分で決定されます。
報酬とは?どこまで含まれる?
社会保険における「報酬」には、基本給だけでなく手当や現物支給の一部も含まれます。
報酬に含まれるものの例
- 基本給、残業手当、通勤手当、住宅手当、家族手当など
- 通勤定期券、食券、社宅(一定条件下)などの現物支給
報酬に含まれないものの例
- 傷病手当金などの公的給付金
- 退職金、解雇予告手当などの一時金
- 実費弁償(出張旅費、交際費など)
標準報酬月額の決まり方と見直しのタイミング
標準報酬月額は、大まかな解説にはなりますが、以下のような方法で決定・改定されます。
資格取得時決定
入社時に、その人の初任給などをもとに決定します。
定時決定(算定)
毎年7月1日時点の在籍者を対象に、4月~6月の報酬平均で見直します。これに基づき9月分の保険料から新しい標準報酬月額が適用されます。
随時改定(月額変更届)
固定的賃金が大きく変動した場合に、3か月間の報酬平均で見直します。
育児休業等終了時改定
育児休業からの復帰により報酬が変動した場合、本人の申し出により改定されます。
産前産後休業終了時改定
産休復帰後に報酬が変わった場合に、申出により改定可能です。
同日得喪の特例(60歳以上の再雇用)
退職と同日に再雇用された場合、標準報酬月額を再設定できる特例があります。
標準報酬月額の具体例
たとえば、報酬月額が290,000円~310,000円未満であれば、標準報酬月額は300,000円になります。この額に保険料率をかけて、実際の保険料が決定されます。
保険料の例(令和7年度:東京都)
健康保険料(介護なし) ⇒ 被保険者負担:14,865円
健康保険料+介護保険料 ⇒ 被保険者負担:17,250円
厚生年金保険料 ⇒ 被保険者負担:27,450円
実務上の注意点
- 毎年の「定時決定」では算定基礎届の提出が必要です。
- 随時改定や産育休後の改定は、必ず届出が必要です。
- 賞与は「標準賞与額」として別途保険料が計算されます。
まとめ
標準報酬月額は、保険料を決定する上で非常に重要な役割を担っています。従業員の報酬が変わった場合には、その都度適切な届出が必要となるため、事業主や人事労務担当者はしっかりと制度のポイントを押さえておくことが求められます。