障害者総合支援法に規定されている相談支援とは?わかりやすく解説

当記事では、障害者総合支援法に規定されている相談支援について解説していきます。

それでは、さっそく見ていきましょう。

障害者総合支援法における「相談支援」とは?3つの相談形態が定められている

障害者総合支援法に用語が定義されていますので、まずは確認してみましょう。

法第5条第18項

この法律において「相談支援」とは、基本相談支援地域相談支援及び計画相談支援をいい、「地域相談支援」とは、地域移行支援及び地域定着支援をいい、「計画相談支援」とは、サービス利用支援及び継続サービス利用支援をいい、「一般相談支援事業」とは、基本相談支援及び地域相談支援のいずれも行う事業をいい、「特定相談支援事業」とは、基本相談支援及び計画相談支援のいずれも行う事業をいう。

障害者総合支援法における「相談支援」とは、

①基本相談支援
②地域相談支援
③計画相談支援

この3つを言います。

この3つが大分類になります。

ここから、更に枝分かれしていきます。

上記の②地域相談支援

地域移行支援
地域定着支援

の2つに分かれます。

更に、

上記の③計画相談支援

サービス利用支援
継続サービス利用支援

の2つに分かれます。

また、大分類の相談支援(①基本相談支援②地域相談支援③計画相談支援)の組み合わせの仕方によって、更に2つに分類されます。

一般相談支援事業①基本相談支援②地域相談支援の両方を行う事業)
特定相談支援事業①基本相談支援③計画相談支援の両方を行う事業)

①基本相談支援についても、法律内にて用語の定義がなされていますので、以下で確認してみましょう。

障害者総合支援法における「基本相談支援」とは

法第5条第19項

この法律において「基本相談支援」とは、地域の障害者等の福祉に関する各般の問題につき、障害者等、障害児の保護者又は障害者等の介護を行う者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行い、併せてこれらの者と市町村及び第二十九条第二項に規定する指定障害福祉サービス事業者等との連絡調整(サービス利用支援及び継続サービス利用支援に関するものを除く。)その他の厚生労働省令で定める便宜を総合的に供与することをいう。

基本相談支援は、障害福祉の様々な問題について、障害者等(障害者の方やそのご家族、介護者等)からの相談に応じ、必要な情報提供と助言を行います。

また、障害福祉サービス事業者等との連絡調整等も行います。

※指定障害福祉サービス事業者等とは、下記の事業を行う者となります。

  • 指定障害福祉サービス事業者
  • 指定障害者支援施設
  • のぞみの園

地域相談支援の「地域移行支援」とは

法第5条第20項

この法律において「地域移行支援」とは、障害者支援施設、のぞみの園若しくは第一項若しくは第六項の厚生労働省令で定める施設に入所している障害者又は精神科病院(精神科病院以外の病院で精神病室が設けられているものを含む。第八十九条第六項において同じ。)に入院している精神障害者その他の地域における生活に移行するために重点的な支援を必要とする者であって厚生労働省令で定めるものにつき、住居の確保その他の地域における生活に移行するための活動に関する相談その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。

地域移行支援とは、施設や精神科病院等に入所している障害者等が、地域生活に移行するための住居の確保その他の地域における生活に移行するための活動に関する相談、その他の便宜を供与することを言います。

地域相談支援の「地域定着支援」とは

法第5条第21項

この法律において「地域定着支援」とは、居宅において単身その他の厚生労働省令で定める状況において生活する障害者につき、当該障害者との常時の連絡体制を確保し、当該障害者に対し、障害の特性に起因して生じた緊急の事態その他の厚生労働省令で定める場合に相談その他の便宜を供与することをいう。

地域定着支援とは、居宅で単身等で生活する障害者について、常に連絡を取り合える体制を確保し、かつ、その障害者の障害の特性に起因して生じた緊急の事態等に、緊急訪問、緊急対策等の各種支援を行うことを言います。

計画相談支援の「サービス利用支援」とは

法第5条第22項

この法律において「サービス利用支援」とは、第二十条第一項若しくは第二十四条第一項の申請に係る障害者等又は第五十一条の六第一項若しくは第五十一条の九第一項の申請に係る障害者の心身の状況、その置かれている環境、当該障害者等又は障害児の保護者の障害福祉サービス又は地域相談支援の利用に関する意向その他の事情を勘案し、利用する障害福祉サービス又は地域相談支援の種類及び内容その他の厚生労働省令で定める事項を定めた計画(以下「サービス等利用計画案」という。)を作成し、第十九条第一項に規定する支給決定(次項において「支給決定」という。)、第二十四条第二項に規定する支給決定の変更の決定(次項において「支給決定の変更の決定」という。)、第五十一条の五第一項に規定する地域相談支援給付決定(次項において「地域相談支援給付決定」という。)又は第五十一条の九第二項に規定する地域相談支援給付決定の変更の決定(次項において「地域相談支援給付決定の変更の決定」という。)(以下「支給決定等」と総称する。)が行われた後に、第二十九条第二項に規定する指定障害福祉サービス事業者等、第五十一条の十四第一項に規定する指定一般相談支援事業者その他の者(次項において「関係者」という。)との連絡調整その他の便宜を供与するとともに、当該支給決定等に係る障害福祉サービス又は地域相談支援の種類及び内容、これを担当する者その他の厚生労働省令で定める事項を記載した計画(以下「サービス等利用計画」という。)を作成することをいう。

サービス利用支援とは、障害者等に対して、サービス利用等利用計画案を作成し、サービスの支給決定等がなされた場合には、障害福祉サービス事業者等との連絡調整その他の便宜を供与するとともに、サービス等利用計画を作成することをいいます。

計画相談支援の「継続サービス利用支援」とは

法第5条第23項

この法律において「継続サービス利用支援」とは、第十九条第一項の規定により支給決定を受けた障害者若しくは障害児の保護者(以下「支給決定障害者等」という。)又は第五十一条の五第一項の規定により地域相談支援給付決定を受けた障害者(以下「地域相談支援給付決定障害者」という。)が、第二十三条に規定する支給決定の有効期間又は第五十一条の八に規定する地域相談支援給付決定の有効期間内において継続して障害福祉サービス又は地域相談支援を適切に利用することができるよう、当該支給決定障害者等又は地域相談支援給付決定障害者に係るサービス等利用計画(この項の規定により変更されたものを含む。以下同じ。)が適切であるかどうかにつき、厚生労働省令で定める期間ごとに、当該支給決定障害者等の障害福祉サービス又は当該地域相談支援給付決定障害者の地域相談支援の利用状況を検証し、その結果及び当該支給決定に係る障害者等又は当該地域相談支援給付決定に係る障害者の心身の状況、その置かれている環境、当該障害者等又は障害児の保護者の障害福祉サービス又は地域相談支援の利用に関する意向その他の事情を勘案し、サービス等利用計画の見直しを行い、その結果に基づき、次のいずれかの便宜の供与を行うことをいう。
一 サービス等利用計画を変更するとともに、関係者との連絡調整その他の便宜の供与を行うこと。
二 新たな支給決定若しくは地域相談支援給付決定又は支給決定の変更の決定若しくは地域相談支援給付決定の変更の決定が必要であると認められる場合において、当該支給決定等に係る障害者又は障害児の保護者に対し、支給決定等に係る申請の勧奨を行うこと。

継続サービス利用支援とは、サービス等利用計画の見直しを行い、その結果に基づき、次のいずれかの便宜の供与を行うことをいいます。

  1. サービス等利用計画の見直しを行い、その結果に基づき、次のいずれかの便宜の供与を行うこと
  2. 新たな支給決定若しくは地域相談支援給付決定又は支給決定の変更の決定若しくは地域相談支援給付決定の変更の決定が必要であると認められる場合において、当該支給決定等に係る障害者又は障害児の保護者に対し、支給決定等に係る申請の勧奨を行うこと

一般相談支援事業とは

ここまで見てきた通り、基本相談支援を軸として、①基本相談支援②地域相談支援(地域移行支援・地域定着支援)の両方を行う事業が一般相談支援事業となります。

特定相談支援事業とは

ここまで見てきた通り、基本相談支援を軸として、①基本相談支援③計画相談支援(サービス利用支援・継続サービス利用支援)の両方を行う事業が特定相談支援事業となります。

計画相談支援給付費(自立支援給付費)とは

計画相談支援給付費とは、指定特定相談支援事業者がサービス等利用計画案の作成や計画の見直しを行った場合に、計画相談支援の提供を受けた障害者等に支給される費用のことをいいます。

指定一般相談支援事業とは

都道府県から指定を受けた一般相談支援事業者を言います。

都道府県から指定を受けた指定一般相談支援事業者は、基本相談支援と地域相談支援を行います。広く障害者が社会生活を営む上での問題について相談を受け付けています。

指定特定相談支援事業者とは

市町村から指定を受けた特定相談支援事業者を言います。

市町村から指定を受けた指定特定相談支援事業者は、基本相談支援と計画相談支援を行います。障害福祉サービスの利用手続きの相談やサービス等利用計画案の作成も行っています。

サービス等利用計画案とは

障害者等が障害福祉サービスの利用申請を行う際に求められる書類です。市町村は、サービス等利用計画案の提出があった場合には、支給要否の決定を行うものとされています。

サービス等利用計画案の様式は、市町村によって異なります。

例えば、東京都世田谷区の場合では、日常生活において障害者本人が困っていること、本人の希望、総合的課題、目標、サービス種別等を記載します。

また、兵庫県神戸市の場合は、障害者及びそのご家族等の生活に対する意向や援助方針、総合的な支援方針、モニタリングの期間、障害者本人のニーズ、目標、達成時期、福祉サービス・その他社会資源等を記載します。

市町村が行う地域生活支援事業の必須事業としての相談支援事業は、法律にはどのように規定されているか

最後に、市町村が行う地域生活支援事業の必須事業として、相談支援事業はどのように規定されているかを見ておきましょう。

市区町村が行う地域生活支援事業は、「必須事業」と「任意事業」に分かれており、必須事業の中に「相談支援事業」が含まれています。

地域生活支援事業についての詳細は下記ページを参考にしてください。

市区町村が行う地域生活支援事業の相談支援事業とは、障害者総合支援法第77条第3項には、次のように規定されています。

法第77条第3項

障害者等が障害福祉サービスその他のサービスを利用しつつ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、地域の障害者等の福祉に関する各般の問題につき、障害者等、障害児の保護者又は障害者等の介護を行う者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言その他の厚生労働省令で定める便宜を供与するとともに、障害者等に対する虐待の防止及びその早期発見のための関係機関との連絡調整その他の障害者等の権利の擁護のために必要な援助を行う事業(次号に掲げるものを除く。)

市町村は、障害者等や、その保護者・介護者などからの相談に応じて、必要な情報の提供や助言を行います。

更に、障害者等に対する虐待防止とその早期発見のための関係機関との連絡調整なども行います。

厚生労働省令で定める便宜とは

厚生労働省令(障害者総合支援法施行規則)には、「厚生労働省令で定める便宜」について、次の通り規定されています。

法施行規則第65条の10

訪問等の方法による障害者等、障害児の保護者又は介護者に係る状況の把握、必要な情報の提供及び助言並びに相談及び指導、障害者等、障害児の保護者又は介護者と市町村、指定障害福祉サービス事業者等、医療機関等との連絡調整その他の障害者等、障害児の保護者又は介護者に必要な支援とする。

具体的な業務内容

具体的には次のような業務を行うこととされています。

  1. 福祉サービスの利用援助(情報提供、相談等)
  2. 社会資源を活用するための支援(各種支援施策に関する助言・指導等)
  3. 社会生活力を高めるための支援
  4. ピアカウンセリング
  5. 権利の擁護のために必要な援助
  6. 専門機関の紹介 等

その他、

  1. 基幹相談支援センター等機能強化事業
  2. 住宅入居等支援事業(居住サポート事業)

等も行います。

基幹相談支援センターについての詳細は下記ページを参考にしてください。

指定特定相談支援事業者又は指定一般相談支援事業者への委託

市町村が行う相談支援事業は、必要に応じて、複数市町村による共同実施、運営については常勤の相談支援専門員が配置されている指定特定相談支援事業者又は指定一般相談支援事業者への委託が可能となっています。

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行政書士津田拓也プロフィール

行政書士法人MOYORIC(モヨリック)では、障害福祉事業の開業をお考えの方に向けて、障害福祉サービス事業所の指定申請、法人設立のほか、経営革新等認定支援機関による融資サポートを行っております。

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