福祉タクシーの営業区域はどのように定められているのか?行政書士がわかりやすく解説

当記事では、福祉タクシーの営業区域について詳細解説していきます。福祉タクシーに興味があるという方はぜひ参考にしてください。

道路運送法と営業区域

道路運送法の第5条には、一般「旅客」自動車運送事業の「許可申請」に関する事項が定められています。

福祉タクシーは、一般「旅客」自動車運送事業のうち、一般「乗用」旅客自動車運送事業(タクシー事業)に分類されます。

この一般「乗用」旅客自動車運送事業のうち、さらに「福祉輸送」に限定して許可を付すものがいわゆる「福祉タクシー」と呼ばれるものになります。

そもそも福祉タクシーとは?という方は、まずはこちらのページを参考にしていただくと理解が深まるかと思います。

道路運送法第5条に話を戻しましょう。

道路運送法第5条には次のような規定があります。

道路運送法第5条(許可申請)

第五条 一般旅客自動車運送事業の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 経営しようとする一般旅客自動車運送事業の種別
三 路線又は営業区域、営業所の名称及び位置、営業所ごとに配置する事業用自動車の数その他の一般旅客自動車運送事業の種別(一般乗合旅客自動車運送事業にあつては、路線定期運行(路線を定めて定期に運行する自動車による乗合旅客の運送をいう。以下同じ。)その他の国土交通省令で定める運行の態様の別を含む。)ごとに国土交通省令で定める事項に関する事業計画
2 前項の申請書には、事業用自動車の運行管理の体制その他の国土交通省令で定める事項を記載した書類を添付しなければならない。
3 国土交通大臣は、申請者に対し、前二項に規定するもののほか、当該申請者の登記事項証明書その他必要な書類の提出を求めることができる。

三の部分を見て頂ければ分かると思いますが、営業区域と記載があります。

一般「旅客」自動車運送事業の許可を取る場合、申請書には必ず営業区域を記載することになっているのです。

当然、福祉タクシーも一般「旅客」自動車運送事業の中の1つとなりますからこの条文の適用を受けます。

では、この営業区域についての決まりごとはあるのかどうか。見てみましょう。

道路運送法施行規則と営業区域

営業区域についての詳細は、一般「旅客」自動車運送事業の営業区域については、道路運送法ではなく、道路運送法施行規則にその規定が置かれています。

道路運送法施行規則第5条(営業区域)

第五条の営業区域は、輸送の安全、旅客の利便等を勘案して、地方運輸局長が定める区域を単位とするものとする。

一般「旅客」自動車運送事業の営業区域は、地方運輸局長が定める区域とされています。

つまり、一般「乗用」旅客自動車運送事業である福祉タクシーの営業区域も地方運輸局長が定めているということになりますね。

なお、地方運輸局長が福祉タクシーの営業区域を定めるに当たって、その基準が通達に定められており、その通達がこちらです。

一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)の許可等の取扱いについて(平成18年国自旅第169号)

(1)営業区域
原則として、都道府県(北海道は運輸支局の管轄区域、沖縄県は島しょ)単位とする。ただし、都道府県(北海道は運輸支局の管轄区域をいう。以下同じ。)の境界に接する市町村(東京都特別区または政令指定都市にあっては区をいう。以下同じ。) に営業所を設置する場合にあっては、山岳、河川、海峡等地形・地勢的要因による隔たりがなく、経済事情等に鑑み同一地域と認められる隣接都道府県の隣接する市町村(東京都特別区又は政令指定都市にあっては区をいう。以下「隣接市町村」と いう。)であって、地方運輸局長が適当と認める場合には、隣接市町村を含む区域を営業区域とすることができる。なお、隣接市町村を含む区域を設定した後に、合併等により、当該市町村の区域が変更された場合は、従前の区域を営業区域とする。

色々と書かれていますが、原則として、福祉タクシーの営業区域は、「都道府県」単位ということが、わかります。

北海道の場合は、土地が広いのでと都道府県単位ではなく、「運輸支局の管轄区域」単位。

沖縄県は「島しょ」単位。

なお、福祉タクシーの「営業所」は、営業区域内に置かなければならないことになっています。

つまり、どこで福祉タクシー事業を営業するかについては、どの都道府県に営業所を設置するかによって自ずと決まるということになります。

もし、営業区域をその他の都道府県にまで広げたいという場合は、その他の都道府県にも営業所を設置しなければならなくなりますので、注意が必要です。

参考までに、関東運輸局、近畿運輸局の営業区域に関する定めについても掲載しておきます。

関東運輸局長が定める福祉タクシーの営業区域

「都県」単位とされています。関東には都と県しかないので、このような表現になっています。

東京都内に営業所を置く場合は、東京都内が営業区域。神奈川県、千葉県等も同様の考え方となります。

近畿運輸局長が定める福祉タクシーの営業区域

「府県」単位とされています。近畿には京都府、大阪府があるので、このような表現になっています。

兵庫県内に営業所を置く場合は、兵庫県内が営業区域。大阪府、京都府等も同様の考え方となります。

営業区域をまたぐ輸送を行う場合は?

営業区域、ここでは都道府県をまたぐ旅客の輸送を行う場合はどうなるのでしょうか。

営業区域の具体的取り扱いについては、道路運送法第20条に規定があります。

道路運送法第20条(禁止行為)

第二十条 一般旅客自動車運送事業者は、発地及び着地のいずれもがその営業区域外に存する旅客の運送(路線を定めて行うものを除く。第二号において「営業区域外旅客運送」という。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 災害の場合その他緊急を要するとき。
二 地域の旅客輸送需要に応じた運送サービスの提供を確保することが困難な場合として国土交通省令で定める場合において、地方公共団体、一般旅客自動車運送事業者、住民その他の国土交通省令で定める関係者間において当該地域における旅客輸送を確保するため営業区域外旅客運送が必要であることについて協議が調つた場合であつて、輸送の安全又は旅客の利便の確保に支障を及ぼすおそれがないと国土交通大臣が認めるとき。

緑色の部分を見てください。

福祉タクシーは一般「旅客」自動車運送事業者でもありますので、この条文の規定が適用されます。

つまり、東京都に営業所を置く福祉タクシー事業者の場合は、出発地、到着地のいずれかが東京都内になければならないということになります。

東京都で旅客をピックアップして、神奈川県内まで輸送することは問題ありません。

逆も然りで、神奈川県内で旅客をピックアップして、東京都内まで輸送することは問題ありません。

ただし、東京都に営業所を置く福祉タクシー事業者が、千葉県で旅客をピックアップして神奈川県まで輸送することは禁止されています。

営業所を大阪府や兵庫県に置く場合も、上記と同様の考え方になります。