訪問介護

訪問介護事業所の運営規程とは

訪問介護事業所は、法令等により、運営規程を定めなければならないとされています。

運営規程には、訪問介護の事業の運営についての重要事項を定めます。

詳細は【指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準】というものに定められています。

(運営規程)
第29条 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに、次に掲げる事業の運営についての重要事項に関する規程(以下この章において「運営規程」という。)を定めておかなければならない。
1 事業の目的及び運営の方針
2 従業者の職種、員数及び職務の内容
3 営業日及び営業時間
4 指定訪問介護の内容及び利用料その他の費用の額
5 通常の事業の実施地域
6 緊急時等における対応方法
7 虐待の防止のための措置に関する事項
8 その他運営に関する重要事項

東京都の例

東京都が運営規程例として掲げている雛形がありますので、参考にしてください。

東京の運営規程例では、黄色の網掛け部分に適宜入力していく形になっていますので、作成に関してはそこまで難しいものにはなっていません。

運営規程の内容は簡単なものになっているかもしれませんが、それよりも、運営規程に書かれていることを適切に実行できるかの方が重要ということです。

運営規程と説明義務

なお、訪問介護事業者は、訪問介護サービスの提供の開始にあたっては、あらかじめ、利用申込者又はその家族に対して、運営規程の概要、訪問介護員等の勤務の体制その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行わなければなりません。

また、当然ではありますが、訪問介護サービスの提供の開始にあたっては、利用申込者の同意を得ておく必要があります。

(内容及び手続の説明及び同意)
第八条 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者又はその家族に対し、第二十九条に規定する運営規程の概要、訪問介護員等の勤務の体制その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行い、当該提供の開始について利用申込者の同意を得なければならない。

運営規程と掲示義務

運営規程は、事業の見やすい場所に掲示をしておかなければなりません。全文ではなく概要でも良いとされていますが、大した文量でもないので、全文を掲示しておかれると良いでしょう。掲示をするスペースがない場合は、事業所に備え付け、いつでも関係者が見れる状態にしておくことで、掲示義務に代えることが可能になっています。

(掲示)
第32条 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所の見やすい場所に、運営規程の概要、訪問介護員等の勤務の体制その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を掲示しなければならない。
2 指定訪問介護事業者は、前項に規定する事項を記載した書面を当該指定訪問介護事業所に備え付け、かつ、これをいつでも関係者に自由に閲覧させることにより、同項の規定による掲示に代えることができる。

訪問介護事業所は統合的なサービスの提供を行わなければならない

訪問介護事業所は、訪問介護事業の運営にあたっては、下記の通り、特定の援助に偏ることがないようにしなければなりません。

(介護等の総合的な提供)
第29条の二 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の事業の運営に当たっては、入浴、排せつ、食事等の介護又は調理、洗濯、掃除等の家事(以下この条において「介護等」という。)を常に総合的に提供するものとし、介護等のうち特定の援助に偏することがあってはならない。

東京都の条例等に同様の規定が置かれています。

なお、東京都の条例要領には、訪問介護事業所が通院等乗降介助を行う場合についての記述もあります。

通院等のための乗車又は降車の介助を行う指定訪問介護事業者についても、身体介護又は生活援助を総合的に提供しなければならない。また、指定訪問介護事業所により提供しているサービスの内容が、身体介護のうち特定のサービス行為に偏ったり、生活援助のうち特定のサービス行為に偏ったり、通院等のための乗車又は降車の介助に限定されたりしてはならないこととしたものである。

東京都のHPにも、「通院等乗降介助のみに特化した指定訪問介護サービスはできません」と明確に記載されています。

身体介護・生活援助・通院等乗降介助、どれか一つに偏ったサービスの提供はNGとされていますので、注意が必要です。

なお、通院等乗降介助を行うには、介護タクシーの許可が必要です。介護タクシーの許可については、下記ページを参考にしてください。

福祉(介護)タクシーとは?道路運送法にはどのように規定されているのか?を行政書士がわかりやすく解説