創業融資を受けるメリットって?自己資金だけで開業するよりも成功する確率は高い

はじめに

「借金するのが怖い」
「どうせ融資なんて下りっこないでしょ?」
「もし下りるとしても、手続きが面倒…」

創業融資の申込みを行えば、高い確率で融資が受けられる状況であるにも関わらず、上記のような理由で創業融資を受けずに開業してしまう方、非常に多いです。

自己資金のみで開業する人は、創業融資を受けて開業する人に比べて、失敗する可能性が高いということをご存知でしたか?

自己資金のみで開業する場合、どうしても手元資金は薄くなります。※手元資金とは、事業に使える現預金です。

開業後すぐに大きな売上が上がるような事業であればよいのかもしれませんが、そんな事業は極一部。

資金豊富な大企業や事業家が第二、第三創業といった形で開業するのとはわけが違います。

多くの場合は、開業資金が1千万円以下の小さな事業体です。そんな小さな事業でも、キャッシュさえ潤沢に持っておけば、どれだけ売り上げが落ちても、倒産はしません。

どれだけ借金があっても、どれだけ赤字損失を出したとしても、キャッシュさえあれば、倒産はしないし、事業は継続できるということです。

事業は、支払いができなくなったとき、倒産します。

「借金が怖い」
「借金自体、悪いものだ」

と、これから経営者となるあなたがそのような考え方をお持ちなのであれば、早急に考えを改める必要があります。

一方、自己資金だけで開業することには拘らず、積極的に資金調達を行い、適切な起業資金を確保した上で開業する人は成功する確率が極めて高くなります。

必要な時期に適切な設備投資、広告投資、人材確保が可能になるからです。

仮に事業がうまく行かずに赤字に転落してしまったとしても、創業融資を受けて資金には余裕がありますので、即廃業ということにもなりません。

一時的に売り上げが落ちても現金があるので支払いが滞ることはありません。

例え、コロナのような自然災害が発生し営業ができなくなった場合でも、現金さえあればなんとかその場を凌ぐことができます。

コロナの場合は長期戦なので、どれだけキャッシュを持っていても、飲食業界などですと、なかなかに厳しいのですが・・・・。

自己資金のみでの開業に拘ったばかりに早期に市場から退場させられるケースは枚挙にいとまがありません。

創業融資資金でテコの原理、レバレッジ経営が可能に

資金調達によって手元資金に余裕を持たせておくことのメリットは他にもあります。

借入金によるレバレッジを効かせて事業投資を行うことによって、事業成長スピードが格段に上がります。

レバレッジとは「てこの作用」を言います。

小売店を例にして、具体的に見てみましょう。

【商品A(原価500円)を1,000円で売る場合】

自己資金のみ100万円で開業。

100万円で商品Aを2,000個を仕入れて完売。200万円の売り上げ、利益は100万円。

【商品A(原価500円)を1000円で売る場合】

自己資金100万円+日本政策金融公庫から400万円の融資を受けて開業。

500万円で10,000個を仕入れて完売。1,000万円の売り上げ、利益は500万円。

※借り入れによるレバレッジ効果を分かりやすく説明するために販売のための人件費や広告費などは省いています。

両者ともに半年で完売したとします。

資金調達を行った場合とそうでない場合とでは、わずか半年で売上800万円、利益で400万円もの金額の差が出ています。

「借入をすれば利子も払わなければならないではないか?」
「400万円の利益が出たとしても400万円の借金が残っているのではないか?」

と思われましたか?

心配は要りません。

日本政策金融公庫の「新創業融資」は、低金利でかつ長期貸付です。

400万円の利益が出た場合でも大半はキャッシュが手元に残っています。

得た利益と残ったキャシュを使って再度同じ商品を仕入れることもできますし、新たな設備投資をして新規事業に取り組みことだってできます。

これだけの商品を一度に仕入れてもし商品が売れ残ったら、借金だけが残ってしまうリスクもありますが、それは経営者の手腕にかかっています。

売る自信がないのであればこれだけのレバレッジをかけてリスクを取らなければ良いだけの話です。

もし全て完売ができたとするならな、前者と後者では、わずか半年の間にこれだけの差が出てしまうこともまた事実なのです。

借り入れは覚悟の印でもある

心理面、事業に対するモチベーションの点でも借入はプラスに働きます。

「事業に失敗すれば借金だけが残ってしまう。失敗は絶対にできない」

というように、覚悟を持ってビジネスに取り組むことができます。もとい、取り組まざるを得ません。

心理的圧迫がありますからね。

これも意外と重要なのです。

「自己資金だけで開業した場合は、この100万円なくなったらそれでいいか」で済む話ですが、事業としては失敗です。

日本政策金融公庫も同じことを言っている

その他、日本政策金融公庫の統計資料にも、次のような記述があります。

起業関心層(経営経験がなく、現在起業に関心がある人)が起業に踏み切れない大きな理由は、自己資金不足と失敗時のリスクの大きさである。
しかし起業家(2011年以降に自分で事業を始め、現在も経営している人)の実態をみると、自己資金だけで起業することにこだわらず、資金調達先の幅を広げて適正な起業費用を希望どおり調達した起業家のほうが良好な業績をあげている。

資金調達先の幅を広げて適正な起業費用を希望どおり調達した起業家のほうが良好な業績をあげている。とありますね。

実際に起業家に資金を貸し付けている日本政策金融公庫の統計調査がこのように言っているのですから、まず間違いはないでしょう。

借金は悪ではありません。むしろ、事業を継続、発展させていくために必要なことだと言えます。

あなたが本当に起業して成功を納めたいと考えているのであれば、「借入はリスクがあるから」と恐れることなく、勇気を持って積極的に資金調達を行い、ビジネスにレバレッジを効かせて成長スピードを上げて行く必要があるのです。

日本政策金融公庫と付き合っておくメリット・正しい付き合い方とは?

ここまで見てきた新創業融資ですが、残念ながら簡単に通る類の融資ではありません。

融資が実行されるのは、20%程度とも言われています。

つまり5人中4人は融資を断られることになります。金利1~2%台で固定金利、長期返済が可能など良いこと尽くめの融資ですから、審査が簡単に通らないのは当然と言えば当然です。

しかしながら、この20%の壁を超えて無事初回融資を成功させ、その上で毎月の返済を遅れることなくきっちりと続けておくことのメリットは非常に大きいです。

追加融資が下りやすくなる

返済実績をコツコツと積み上げることによって、既に日本政策金融公庫との信頼関係は築けているわけですから、初期融資以降は驚くほど簡単に融資審査が通りやすくなります。

もちろん融資申請時の業績にもよりますが、大幅な赤字や債務超過にでも陥っていない限りは、融資の審査も簡易で、初回融資の際に提出させられる数々の書類も不要になります。

決算書や試算表を提出するだけで審査が通るケースも珍しくありません。

初回融資時よりも融資実行までのスピードも格段に早いです。既に与信審査は終えており、かつ、返済実績もありますから、日本政策金融公庫内部の審査も簡略化されるわけですね。

融資の申込みをしてから2~3週間程度で融資が実行される(会社口座に資金が振り込まれる)こともあります。

事業経営においてスピーディーに融資が下りるということは、とても大きなアドバンテージであるいうことはご理解頂けるかと思います。

事業拡大のチャンスが訪れ多額の設備投資資金が必要になることもあれば、急な環境変化で資金繰りが悪化して、運転資金が必要になることも多々あります。

コロナ特別融資然りです。

公庫との信頼関係があれば、金利1%~の低利融資を迅速に受けられるわけです。

さらに、返済実績を積めば積むほど、融資枠も広がっていきます(もちろん会社の業績が良い場合に限ります)。

初回融資がわずか100万円だったものが、2回目は300万円の追加融資、3回目500万円、4回目1000万円と徐々に取引金額が大きくなっていくのです。

初回融資で1000万円借りるよりも返済実績を築いた上で1000万円を借りる方が簡単なのは言うまでもありませんね。

実際に弊社も日本政策金融公庫から融資を受けていますが、業績が順調な中での追加融資は驚くほどに簡単で、審査もスピーディーでした。

初回に提出が必要な企業概要書や事業計画書も不要でした。決算書や確定申告書を提出して担当者と簡単な面談をして終了です。

※弊社の初回融資申請時のレポートもありますので、よろしければご覧ください。

長きに渡る事業経営の中で、簡単に、かつスピーディに融資をしてくれる金融機関が身近に存在している。

これほど心強いことはありませんよね。

ゆえに、一度日本政策金融公庫から融資を受けたら、何が何でも返済を滞らせてはいけません。ただの一度でも返済が遅れたり、滞ったりしてしまった場合、これまで築き上げてきた信用がすべてパーになってしまう。くらいの心づもりで返済を続けて行ってください。

まずは初回融資を確実に成功させ、返済実績をコツコツ作り、融資枠を徐々に大きく広げていく。

これが日本政策金融公庫との正しい付き合い方と言えるでしょう。