訪問看護

当記事では、訪問看護ステーションの指定を受けるための人員要件の一つである「管理者」について解説いたします。

訪問看護ステーションってそもそもどんな事業なのかを知りたいという方は下記ページもご確認ください。

介護保険法における「訪問看護」とは?訪問介護との違いは?社会保険労務士がわかりやすく解説

管理者とは?

訪問看護ステーションの管理者については、厚労省の「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」という省令に規定があります。

(管理者)
第61条 指定訪問看護事業者は、指定訪問看護ステーションごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を置かなければならない。ただし、指定訪問看護ステーションの管理上支障がない場合は、当該指定訪問看護ステーションの他の職務に従事し、又は同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事することができるものとする。
2 指定訪問看護ステーションの管理者は、保健師又は看護師でなければならない。ただし、やむを得ない理由がある場合は、この限りでない。
3 指定訪問看護ステーションの管理者は、適切な指定訪問看護を行うために必要な知識及び技能を有する者でなければならない。

管理者となるための資格

まず、訪問看護ステーションの管理者は、次の者でなければなりません。

  • 保健師
  • 看護師

「訪問介護」の場合は管理者に資格要件などは設けられていませんが、訪問看護の管理者となるためには、上記の資格も必要です。訪問介護員や介護福祉士等ではなれませんので、注意が必要です。

※健康保険法の指定訪問看護ステーションのみ「助産師」も管理者となる資格を有します。

なお、やむを得ない理由がある場合は保健師や看護師以外のものでもOKとされていますが、そのやむを得ない理由とは次の事由に該当する場合を言います。

管理者の長期間の傷病又は出張等のやむを得ない理由があり、かつ、指定訪問看護ステーションの管理をする者が、利用者の療養生活の質の向上に関し相当の知識、経験及び熱意を有し、過去の経歴等を勘案して指定訪問看護ステーションの管理者としてふさわしいと認められる者であるものとして地方厚生(支)局長の承認を受けた場合に限られるものであること。ただし、この場合においても、可能な限り速やかに常勤の保健師、助産師又は看護師の管理者が確保されるように努めなければならないものであること。

見ての通り、極めて限定的と言えます。ですので、基本は保健師・看護師の有資格者としておくことが無難です。

管理者に求めれる技能等

管理者は資格を持っているだけでは足りず、適切な訪問看護を行うために「必要な知識及び技能を有する者」でなければならないとされています。具体的には、次のとおりです。

管理者は、医療機関における看護、訪問看護又は健康増進法第17条第1項の規定による保健指導(健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)第7条による改正前の老人保健法(昭和57年法律第80号)第19条に規定する訪問看護等を含む。)の業務に従事した経験のある者であること。さらに、管理者としての資質を確保するために関連機関が提供する研修等を受講していることが望ましい。

訪問看護の管理者は、医療機関において看護、訪問看護又は健康増進法に規定されている保健指導の業務経験が必要です。さらに、関連機関が提供する研修等を受講していることが望ましいとされています。

管理者は専従かつ常勤でなければならない

訪問看護の管理者は、管理者の専従し、かつ常勤でなければなりません。専従とは、管理者の業務に専ら従事することを言います。常勤とは、営業時間中は常に勤務をしているということです。非常勤の管理者は認められません。

ただし、訪問看護ステーションの管理上支障がない場合は、当該指定訪問看護ステーションの他の職務に従事し、又は同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事することができます。

具体的には、「当該訪問看護ステーションの看護職員としての職務に従事する場合」などです。

訪問看護の管理者が、看護職員として従事する場合はOKということになります。

兼務の要件等は、管轄自治体によっては扱いが異なることも多いので、管理者の選任等を行う場合は、事前に窓口に確認をされておくと良いでしょう。