
貨物軽自動車運送事業とは、どのような事業を言うのでしょうか?
当ページでは、どのような手続きをすれば開業できるのか。黒ナンバーが交付されるのか。について、見ていきたいと思います。
貨物軽自動車運送事業とは
貨物軽自動車運送事業は、貨物自動車運送事業法という法律に規定が置かれています。
貨物自動車運送事業法では、
「貨物軽自動車運送事業」とは、
とされています。
簡単に説明しますと、「荷主さんの依頼を請けて、有料で、軽自動車等を使って、荷物を運送(配達)する事業」となります。
大事なポイントは、軽自動車でなければならないということです。
いわゆる普通自動車で、貨物の運送事業を行おうとする場合は「許可」が必要になります。
軽自動車の場合と比べて手続きも煩雑で、許可を取るための要件も厳しくなっています。
一方、軽自動車等を使った貨物軽自動車運送事業を始めるには、許可は不要です。
役所に届出をするだけで、事業を開始できます。
また、普通自動車やトラックなどを使って行う貨物運送事業の許可を取得するためには「法令試験」に合格しなければなりませんが、貨物軽自動車運送事業については、法令試験もありません。
なお、貨物軽自動車運送事業は法人、個人どちらでも開業が可能です。
事業形態としては、個人事業主の方が圧倒的に多いですが、法人で届出、開業することも可となっています。
届出の流れ
貨物軽自動車運送事業の届出の流れは次のとおりです。
- 運輸支局へ貨物軽自動車運送事業経営届出書などの必要書類を提出する
- 届出が受理されたら、事業用自動車等連絡書をもらう
- 軽自動車検査協会で車検証・ナンバープレートの発行を受ける
わずか3ステップの手続きではありますが、「運輸支局」と「軽自動車検査協会」は別の場所にありますので、それぞれの窓口で手続きが必要になります。
対象自動車
- 軽自動車:排気量660cc以下の4輪、3輪自動車
- オートバイ:排気量125cc超の軽二輪(250ccまで)、小型二輪(250cc以上)
(道路運送車両法)
※当ページでは、オートバイによる貨物軽自動車運送事業の手続き解説は割愛いたします。また別ページで解説していきたいと思います。
注意点
貨物「4ナンバー」である必要があります(車検証の用途に「貨物」と記載されていること)。
そして、原則として乗車定員は2名以下であることも必要です。
ボックスタイプやトラックタイプのどちらでもOKです。
乗用「5ナンバー」の場合、「構造変更」により車検証の用途を「貨物」に変更可能であれば、利用可となります。
事前に軽自動車検査協会において、「構造変更検査」を受けておく必要があります。
自動車の用途については下記ページでも解説しておりますので、参考にしてください。
届出の要件
①営業所・休憩睡眠施設
営業所と休憩施設が自己所有か賃貸で準備できること。広さの要件などはありません。
②自動車の数
1台以上の車両を準備できることが必要です。ローン支払中の車やリース車でも届出は可能ですが、車検証の「使用者」欄が届出者になっている必要があります。
③運転手と運行管理責任者
運転手は運転免許証のみ、運送業の経験や資格などは不要です。
また、運転手とは別に運行管理責任者を置かなければなりませんが、資格は不要で、兼任も可能です。
つまり、「個人事業主=運転手=運行管理責任者」すべて一人で可能ということになります。
なお、自己名義の黒ナンバーが10台以上になるときは「整備管理者」の選任が必要にりますが、開業時に10台以上で届出を行うケースは稀ですので、特段気にする必要はありませんね。
④自動車車庫
車庫については要件が多いので、しっかりと確認をしておいてください。
- 営業所と併設または営業所から2km以内の車庫が自己所有か賃貸で準備できること
- 車庫の面積は一般的な大きさ(2m×5m程度)あればOK
- 使用権限があること
※自己保有の場合は登記簿謄本、賃貸の場合は概ね契約期間が1年以上の賃貸借契約書(1年に満たない場合は、契約期間満了時に自動的に更新されること)。
ただし、届出時には登記簿謄本や賃貸借契約書の提出は求めらておらず、宣誓書を添付する形をとります。 - 都市計画法等関係法令に抵触しないこと
※宣誓書を添付します。
運賃・料金について
貨物軽自動車運送事業経営届と同時に運賃料金設定届出書・運賃料金表を提出します。
運輸支局へ提出する必要書類
- 貨物軽自動車運送事業経営届出書
- 運賃料金設定届出書
- 運賃料金表
- 事業用自動車等連絡書
- 車検証コピー(新車の場合は完成検査証)
- 標準運送約款を使用する場合は、添付不要(届出書の記載に当たってその旨を記載)
軽自動車検査協会へ提出する必要書類
- 車検証原本
- ナンバープレート2枚
- 事業用自動車等連絡書(運輸支局の経由印が押されているもの)
- ローンやリース車など車検証の所有者が第三者の場合は申請依頼書
- 中古車を購入する場合など車検証が自己名義になっていない場合は住民票と申請依頼書
届出にかかる費用は?
運輸支局への貨物軽自動車運送事業経営届には、登録免許税などはかかりません。無料です。
軽自動車検査協会ではナンバープレート代等が別途がかかります。