起業直後の社長のための雇用保険ガイド:基礎のキソ

雇用保険とは?起業したての社長がまず押さえるべき制度
雇用保険は、従業員が失業したり、育児や介護などで働けない期間の生活を支える制度です。
加えて、能力開発や雇用の安定といった「失業を防ぐ仕組み」も組み込まれており、起業初期からの理解が不可欠です。
特に注意が必要なのは、対象の従業員を雇った瞬間から「雇用保険に加入させる義務がある」という点です。
スタートアップ企業では、制度の存在自体を知らずに手続きを忘れてしまうケースもありますが、これは法違反となり、さかのぼっての保険料徴収や行政指導の対象になることもあります。
「知らなかった」では済まされない重要な制度として、まずはこの雇用保険をしっかり押さえておきましょう。
雇用保険の歴史と背景
- 1947年:失業保険法が制定(戦後の大量失業対策)
- 1974年:雇用保険法が制定。単なる失業対策から、職業訓練・再就職支援へ拡張
- 1994年:育児休業給付が創設され、所得保障の範囲が広がる
- 2024〜2025年:育児時短就業給付の創設など、働き方の多様化に対応した給付制度に
加入対象(被保険者)
原則として労働者を雇用する事業は強制適用事業となり、そこに雇用される労働者は雇用保険に加入します。
除外されるのは
- 週所定労働時間が20時間未満
- 学生アルバイト(一定例外あり)
被保険者区分は以下の4種類
- 一般被保険者
- 65歳以上の高年齢被保険者
- 短期雇用特例被保険者(季節労働者)
- 日雇労働被保険者
雇用保険の給付内容
① 求職者給付(失業給付)
離職前賃金の50〜80%が支給されます(賃金が低い人ほど給付率は高く設定)。
給付日数は、年齢・被保険者期間・離職理由により、90〜360日の範囲で決定。
② 就職促進給付
再就職手当など、早期就職者に対する支援があります。
③ 育児休業給付
原則67%(180日以降は50%)ですが、出生直後の一定期間内に、夫婦ともに14日以上育休取得した場合は、最大28日間は80%が支給されます。
さらに、2025年4月から「育児時短就業給付」が創設され、2歳未満の子を育てるため短時間勤務をした場合、賃金の10%を支給。
④ 教育訓練給付
自ら指定講座を受講した場合、最大80%が給付されます(2025年10月からは、休暇取得者に対する休業給付金も追加)。
⑤ 雇用継続給付
高年齢雇用継続給付や介護休業給付も支給対象。介護休業は対象家族1人あたり通算93日まで。
雇用保険二事業(事業主向け助成)
① 雇用安定事業
雇用調整助成金、特定求職者雇用開発助成金など。
② 能力開発事業
公共職業訓練や、事業主による社員教育への助成制度(人材開発支援助成金)があります。
起業初期に押さえるべきポイント
- 従業員を雇ったら、労働保険の成立手続きと雇用保険被保険者資格取得届を速やかに提出
- 週20時間以上のいわゆる非正規の労働者も対象になるため、厳密な勤務時間管理が必要
- 保険料は給与計算時に控除し、期限内に納付(年に一度の年度更新申告)
- 育休・介護休業取得者が出たら速やかに給付申請
まとめ
雇用保険は、単なる「失業保険」ではなく、労働者の生活・再就職・能力向上・育児介護の支援までをカバーする包括的制度です。
起業直後からしっかり仕組みを理解し、適切な運用を行うことで、トラブル防止だけでなく企業の信頼構築にもつながります。



