厚生年金とは?社会保険労務士がわかりやすく解説

厚生年金とは?―働く人の生活を支える公的年金制度
日本の社会保障制度の中でも、特に生活に直結し、重要なのが「年金制度」です。その中で、会社員や公務員などの被用者が加入する「厚生年金」は、毎年50兆円を超える規模で給付が行われる非常に大きな制度です。この記事では、厚生年金の基本構造と歴史的背景、現行制度の仕組みについて解説します。
年金制度とは何か?
多くの人は、年金制度を「若いうちに積み立て、老後に受け取る貯蓄」と考えがちですが、年金はあくまで保険制度です。つまり、老後に収入がなくなったときのほか、障害を負ったとき、家計を支えていた家族が亡くなったときなど、生活の大きなリスクに備える仕組みです。
厚生年金制度の歴史
労働者年金から厚生年金へ
1941年に創設された「労働者年金保険法」が厚生年金の始まりです。当初は男子労働者だけが対象でしたが、1944年に「厚生年金保険法」と改称され、女子や事務職員へも対象が拡大されました。
国民皆年金の成立
1959年、厚生年金や共済年金の対象外だった自営業者等を対象に「国民年金法」が制定され、「国民皆年金」が実現。これにより、日本に住むすべての人が何らかの公的年金制度に加入することになりました。
1973年:物価・賃金スライド制の導入
物価上昇に連動して年金額を自動的に引き上げる「物価スライド」、賃金の上昇を反映させる「賃金スライド」が導入され、給付水準が大幅に引き上げられました。
1985年:基礎年金の導入と第3号被保険者制度
年金制度の一体化と財政安定のため、国民年金・厚生年金・共済年金の共通部分として「基礎年金」が導入され、主に専業主婦を対象とした「第3号被保険者制度」も創設されました。
年金制度の構造
日本の年金制度は「3階建て」と言われます:
- 1階部分:全国民共通の「基礎年金」(国民年金)
- 2階部分:サラリーマンや公務員が加入する「厚生年金」
- 3階部分:企業年金や個人年金など任意加入の私的年金
厚生年金の報酬比例部分は、給料に応じた保険料を払い、納付額と加入期間に応じた年金額が支給される仕組みです。
収入の高い人は保険料も高くなりますが、保険料には上限があり、年金額が無制限に上がることはありません。
老齢厚生年金の目的と仕組み
厚生年金の老齢給付(老齢厚生年金)は、定年退職後の長生きによる生活費不足というリスクに対応するものです。平均寿命が延びる中、長期間にわたる生活費の確保は個人の貯蓄だけでは困難です。
厚生年金では、加入者全体で保険料を支え合う「リスクプール」の仕組みにより、個人では予測困難な長寿リスクにも対応可能となっています。
まとめ
厚生年金は、日本の公的年金制度の中核であり、老後の所得保障、障害・遺族補償など多面的な機能を持っています。
保険としての性格から、単なる「積立貯金」とは異なる視点で制度を理解することが重要です。



