賃金台帳

賃金台帳とは

労働者を雇用している使用者は、「賃金台帳」というものを作成しなければなりません。

雇用している人数や、正社員、パート、アルバイト、日雇い労働者等の雇用形態に関わらず、賃金を支払った場合には、作成を行う必要があります。

この賃金台帳の作成等については、罰則付きの義務として、労働基準法に定められています。

給与明細とは違うの?

「うちは給与明細は労働者に交付しているから大丈夫」

と勘違いをしてしまっている使用者さんは多いのですが、注意が必要です。

給与明細とは似て非なるものです。給与明細について、労働基準法上には、なんの定めもありません(給与明細については、所得税法にその根拠があり、作成・交付が義務付けられています)。

労働基準法に規定があり、作成・保管しておく義務があるのは、給与明細ではなく、賃金台帳です。

実際に給与明細と賃金台帳の記載項目で重複する部分は多いのですが、根拠法令は異なります。

賃金台帳の記載事項

それでは、賃金台帳について、労働基準法ではどのように定められているのでしょうか?

(賃金台帳)
第108条 使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。

  1. 賃金計算の基礎となる事項
  2. 賃金の額
  3. その他厚生労働省令で定める事項

上記の事項を記載したものが賃金台帳です。これらの記載項目は、賃金の支払を行う都度、賃金台帳に記入しなければならないとされています。

※なお、賃金台帳の「賃金」の意味ですが、ここでは、「賃金」=「世間一般でいうお給料」と考えてもらっても大丈夫です(厳密には異なりますが)。

これだけ見てもまだイマイチよく分からないですよね。

詳しくは厚生労働省令(労働基準法施行規則)に載っています。

第54条 使用者は、法第108条の規定によつて、次に掲げる事項を労働者各人別に賃金台帳に記入しなければならない。
1 氏名
2 性別
3 賃金計算期間
4 労働日数
5 労働時間数
6 法第33条若しくは法第36条第1項の規定によつて労働時間を延長し、若しくは休日に労働させた場合又は午後10時から午前5時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時)までの間に労働させた場合には、その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数
7 基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
8 法第24条第1項の規定によつて賃金の一部を控除した場合には、その額
② 前項第6号の労働時間数は当該事業場の就業規則において法の規定に異なる所定労働時間又は休日の定をした場合には、その就業規則に基いて算定する労働時間数を以てこれに代えることができる。
③ 第1項第7号の賃金の種類中に通貨以外のもので支払われる賃金がある場合には、その評価総額を記入しなければならない。
④ 日々雇い入れられる者(1箇月を超えて引続き使用される者を除く。)については、第1項第3号は記入するを要しない。
⑤ 法第41条各号のいずれかに該当する労働者及び法第41条の2第1項の規定により労働させる労働者については第1項第5号及び第6号は、これを記入することを要しない。

特に確認してもらいたい部分を黒字にしています。

賃金台帳における記載記載項目は、賃金計算期間における労働日数・労働時間数・時間外労働や休日労働、深夜労働を行った場合はその時間数など。

その他、賃金から控除するものがあればその控除項目と金額などです。例えば、所得税や住民税、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)・雇用保険料などを控除する場合です。

賃金台帳の様式

賃金台帳の様式については、厚生労働省のHPにもアップされていますので、参考にしてください。文字で見るよりもイメージしやすいと思います。

※この厚生労働省の様式は、必要な事項の最小限度を記載すべきことを定めているものですので、横書きや縦書きその他異なる様式を使ってもOKとされています。

なお、賃金台帳の保管義務の期間ですが5年とされています(当分の間は3年間)。

冒頭でも申し上げましたが、賃金台帳の作成等は使用者の義務です。作成していない場合には罰金等の刑に処せられる可能性もありますので、注意してください。

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