日本政策金融公庫融資面談時の3つの注意点&担当者から質問されやすい5つの事項を認定支援機関が解説

当記事では、日本政策金融公庫融資申請時の面談において押さえておきたいポイントを、経済産業省認定の認定支援機関が詳細解説しています。

融資の可能性を少しでもアップさせるためにも、ぜひご覧いただければと思います。

はじめに

日本政策金融公庫融資申請時の面談において、重要なこと。

「担当者に融資OKと判断させるだけの材料をいかに与えることができるか」

融資担当者の心を掴み、担当者を味方に付ける。このくらいの心持ちで面談には臨みましょう。

面談では、変にへりくだったり、下手に出る必要はまったくありません。融資担当者からの質問には、自信を持って、真摯に、誠実に応対しましょう。

誰だってそうだと思いますが、初対面の人間に横柄な態度を取る人、逆に、オロオロと自信無さげにしゃべるような人に、お金を貸したいとは思わないでしょう。

当記事では、認定支援機関である弊社が、日本政策金融公庫の創業融資申請時の面談を成功に導くためのポイントを解説していきます。

これらのポイントを事前知識として頭に叩き込んだ上で、面談に臨むことによって、融資実行の可能性を格段に飛躍させることができます。

ぜひとも参考にして頂いて、融資を勝ち取っていただきたいと思います。

それでは、さっそく見ていきましょう。

融資面談の仕組み

日本政策金融公庫の融資担当者は、面談の結果を、融資を担当している部署に稟議書という書類を使って報告します。

当然ですが、担当者が全ての決定権を握っているわけではありませんので、この稟議書の出来不出来が融資の可否を決定するといっても過言ではありません。

融資面談3つの注意点

融資申請に必要な書類(事業計画書等)がしっかりと作れても、その後に行われる面談で担当者に悪印象を与えてしまってはいけません。融資は遠のきます。

融資は、書類と面談の2つでの出来次第で決まります。

車の両輪のような関係です。どちらか一方だけが良くてもだめなのです。ですから、面談では、NG行動絶対に取らないようにしてください。

次に掲げる3つの注意点を頭に入れて面談に臨んでください。

①聞かれたことだけ明確に答える

担当者からの事業計画の内容に関する質問に関しては、的確にハキハキと答えられるように、しっかりと準備しておきましょう。

ここでトンチンカンな回答をしているようではかなりのマイナス評価となってしまいます。

担当者は事業計画書をもとに面談を進めていきます。

事業計画書の作成を専門家に依頼しているという人も、事業計画の内容について、専門家とすり合わせを行っておく必要があります。

基本的には面談は融資担当者からの質問に答えていく形で進行していきますが、その質問への返答の中で、アピールできるポイントがある場合は、積極的にアピールしていきましょう。

事業計画書に直接記載していないアピールポイントがあるのであれば、それとなく自然な形でアピールしておくと良いでしょう。

嘘はNG

嘘は絶対にNGです。融資担当者は融資のプロです。嘘は見抜きます。

ただ、融資担当者に聞かれていないことまで、こちら側からベラベラと話す必要もありません。

ボロがでて逆にマイナスになってしまう可能性があります。多くしゃべったからといってプラスになることはありません。

融資担当者からの質問に対して、的確かつ端的に答えることが重要です。

②身だしなみにも気をつける

面談での服装については特に決まりはありません。が、面談においては申請者の人間性も見られています。

第一印象は非常に重要です。

お金を借りる側ですので、あまりにもラフな格好で面談を受けるのはどうかと思います。

少しでも良い印象を持ってもらうためにも身だしなみなどは最低限の努力は行っていきましょう。

スーツは普段着用しないお仕事の方でも、このときばかりはスーツでも良いかもしれません。

仕立ての良いスーツである必要はありませんが、清潔感は必要です。清潔な服装は相手に対するマナーです。

逆に言えば、服装くらいのことで、マイナスイメージを与えてしまってはもったいない。

面談の目的はあくまでも融資を引き出すことにあるのですから、ラフな格好をしてマイナス印象を与える可能性があるくらいなら、最初から「面談はスーツでと」決めておけばそれで問題ありません。

③面談は本人だけで行く

面談に専門家などと同行して挑む人もいますが、これはNGです(融資担当者から専門家の同席を求められた場合は別です)。

融資の面談には、起業家であるあなた(申請者)が単独で受けるのが大原則。

事業計画書等の作成を専門家に依頼している場合でも、事業計画の内容を頭にしっかりと叩き込んでから、面談には臨みましょう。

担当者は専門家ではなく申請者本人の話が聞きたと思っています。

融資担当者からの質問にしどろもどろになってしまっている本人を横目に、同席している専門家がフォローをしたところで、評価は上がりません。

公庫の担当者はあなたの経営者としての「資質」と「人柄」を見ています。自分の言葉で、事業に対する熱意と情熱、覚悟を伝えましょう。

なお、共同出資・経営の場合、例えば3人で起業するケースなどでも、申請者となる代表者1人での面談が原則となります。

融資契約はあくまでも申請者本人と公庫の2者が当事者となりますので。

面談で聞かれやすい5つの事項

面談では実際どのようなことが聞かれるのでしょうか。見ていきましょう。

①なぜ開業しようと思ったのか?

開業動機を聞かれます。開業動機は事業計画書にも記載しますので、その内容を自分の言葉で、熱意を持って答えるようにしましょう。

前向きな開業動機が吉

後ろ向きな発言、例えば、「人間関係が嫌になり退職したので、仕方なく、開業することにしました」、「転職をしたかったが、就職先が見つからなかったので、仕方なく、開業することにしました」などはNGです。

前向きな開業動機でなければなりません。あくまでもこれは一例ですが、例えばこんな感じです。

「○○に対して、〇〇で培ってきた技術を使って、〇〇を行い、〇〇のような成果を上げたい。そして、事業が軌道に乗れば従業員も雇って、雇用を創出してきたい」

あなたの事業に対する熱意と想いを適格かつ簡潔に話しましょう。これまでに培ってきた経験、知識、仕事に対する姿勢なども合わせて伝えることができれば尚良しです。

②自己資金の確認

日本政策金融公庫では新規開業者の融資にあたり、自己資金の確認はほぼ間違いなく行われます。

自己資金の金額そのものの確認のみならず、通帳の履歴からどのような経緯で自己資金を作ってきたのかといった流れまで確認されます。

大体6ヶ月から1年位は遡って見られます。

見せ金と思われるような不審な入金があればその場で質問されます。

単なる口座間の金銭の移動の場合でも注意が必要です。

もし指摘される恐れがあるときは、それが不審ではないことを証明する資料をあらかじめ準備しておくとよいでしょう。

資料を見せて担当者が納得できればそれでOK。担当者が上司に決済を上げる際にも貴重な資料になります。

なお、税金や家賃、水道光熱費など公共料金の支払いを同じ通帳で行っている場合は、送れずに期日までに支払いをしておきましょう。

通帳の履歴から公共料金等の支払いがあきらかに遅れている、あるいは滞納が続いていると判断された場合、お金にルーズでだらしないという印象を与えます。

自己資金の確認は良くも悪くも通帳が全てです。

自身の金銭的真面目さ、誠実さをアピールする為にも、近い将来融資を考えているという方は、今日からでも遅くはありません。

ツッコミどころのないきれいな通帳作りをスタートさせましょう。

通帳明細であれやこれやと詮索されることがなければ、面談もスムーズに終わります。

③事業がうまくいかなった場合の対策

誰もが自分の会社を軌道に乗せようと一生懸命頑張るかと思いますが、その努力とは裏腹に業績が伸び悩んでしまうことも当然想定されます。

こういった状況になった場合の対策方法などを聞かれた時、明確に答えられるように準備しておかなければなりません。

リスク管理も経営者の仕事です。

自分の会社の特徴からどのような問題が考えられ、どう対処していくかは、担当者も気になるところなのです。

事業計画書にも経営不振に陥った時の対策方法などといった項目はありませんので、面談対策として個別に準備しておく必要があります。

④どのように収益を上げるのか?

貸し手にとって一番気になるところです。

売上の見込みがなければお金を返済していくことは不可能ですので、「なぜ売れるのか?」の根拠を客観的に説明できるように準備しておきましょう。

その他、ビジネスモデルUSP(ユニークセリングポジション)も端的に分かりやすく説明します。

これらは事業計画書にも記載しますので、その内容に問題がなければそこまで細かく聞かれることはないかと思いますが、細かな部分まで聞かれてもハキハキと答えられるように、事業計画書の内容を頭に叩き込んでおきましょう。

事業計画書に記載している数字の根拠については、必ず答えられるようにしておく必要があります。

例えば、飲食業であれば、客単価、回転数、営業日数などの基本的な数字は最低限押さえておきましょう。

売上見込み額については、その裏付けとなる資料なども用意しておくと尚良しです。

③にも共通する部分ではありますが、事業計画どおりに収益が上がらなかった場合の保全策、対応策を尋ねてくる場合もあります。

金融機関は貸したお金が返ってこなくなることだけは避けたいわけですから、当然といえば当然です。

例えば、小売製造業の場合ですと、

「A商品がだめな場合はB商品の開発を現在進行系で進めているので、B商品を補填していくことで対応できます」

と返答したり、

飲食店の場合ですと、

「Aメニューの売れ行きがよくなかった場合はテイクアウトや移動販売を行い、売上を確保することも考えています」

と返答すれば担当者も安心してくれます。

⑤営業場所についての確認

自宅以外の場所で、事業を開始する場合は賃貸借契約書の写しが必要になります。

担当者から質問されるとすれば、事務所使用禁止の規制があるのにもかかわらず、そこを勝手に事務所として申請している場合などにそれについての追及があります。

自宅以外で事業を始められる方は、この辺りを注意しておかなければいけません。

まとめ

以上、いかがでしたでしょうか。

融資を成功させる為には、

「準備・準備・準備」です。

大事なところなので、3回も言いました^^v

面談に関しては、当ページで解説していることだけ確認して実践して頂くだけでもかなりのポイントアップになると思います。

融資を受けるための事業計画と面談は車の両輪です。どちらか一つでも欠けてしまうと融資は下りません。

事業計画書の作成も面談も、全ては如何に「準備」をするかで決まるのです。

日本政策金融公庫は国民の税金を資源として活動を行っています。杜撰な事業計画しか立てられない、事前に面談のシミュレーションすら行わない。

当たり前の「準備」すら出来ない人に、国民の血税であるお金を貸すわけがありません。

しっかり準備さえしておけば、過度に恐れる必要はないのですが、とはいえ、「融資は決して簡単ではない」ということも頭の片隅に置きつつ、面談に望むようにしましょう。