増資
増資って何ですか?
資本金を増やすことを「増資」といいます。事業を拡大したい、体外的な信用面や融資を受けるのに資本金を増額したい場合等に現金で増やしたり、不動産等の現物を出資することで増やすことができます。
現金が無くても増資はできますか?
現金以外の財産を出資することで増資できます。例えば不動産や車などを出資することができます。
ただし現物出資の場合は原則として、その価額が正当であるという弁護士や税理士等の評価証明が必要となります。
弁護士や税理士等の評価証明は必ず必要ですか?
不動産や車等を現物出資する場合、原則弁護士や税理士等の評価証明が必要です。
ただし「現物出資財産の総額が500万円を超えない場合」は証明が不要です。
『総額』なので、例えば車1台が500万円以下でも5台出資して合計金額が500万円を超えれば証明が必要になります。
増資に掛かる期間はどのくらい掛かりますか?
既存の株主に出資してもらう場合、株主総会で募集事項の決定から申込期日までの期間が2週間以上必要です。
申込期日以降に出資額を払込しますので、2週間プラスα期間が掛かります。
ただし株主全員から同意を得られる場合は、この2週間を短縮することができますので、それよりも短い期間での手続きが可能です。
一般的に株主が取締役を兼ねていたり、お身内の方が株主であることが多いので、ほとんどの場合、期間を短縮して手続きを行うことができます。
増資手続きの流れを教えてください。
増資手続きの大まかな流れは次のようになります。

  1. 株主総会で募集事項を決定する
  2. 株主に対して募集事項通知する
  3. 株主から株式の引き受けの申込を受ける
  4. 株主が出資金額を払い込む
  5. 増資手続に必要な書類を作成する
  6. 法務局へ変更登記の申請を行う
増資の登録免許税はいくら掛かりますか?
増加する資本金額の1,000分の7と決められています。ただし最低3万円必要です。
例えば、100万円増資する場合→100万円×1,000分の7=7,000円→3万円以下なので登録免許税は3万円。
500万円増資する場合→500万円×1,000分の7=35,000円→登録免許税は35,000円。となります。
有限会社ですが増資できますか?
もちろんできます。手続きの内容は株式会社とほぼ同様になります。
ただし、有限会社の場合、会社の「発行可能株式総数」と「発行済株式の総数」とが同じ数になっている事が多くあります。この場合、増資手続きと同時に「発行可能株式総数」を増やす手続きが必要です。
いくらでも増資できますか?
増資額に制限はありませんが、会社にはその会社が発行する株式の限度数(発行可能株式総数)が決められていますので、その限度を超えて増資することはできません。
例えば会社の「発行可能株式総数」が100株で会社設立時に80株で設立した場合、20株を限度に増資することができます。
1株1万円であれば20万円までとなります。「発行可能株式総数」を超えて増資したい場合は、別途「発行可能株式総数」を増やす手続きが必要になります。
「発行可能株式総数」を増やすにはどうしたらいいですか?
定款の記載事項なので、定款変更の手続きが必要です。
株主総会で特別決議を行い、法務局へ発行可能株式総数の変更登記申請を行います。登録免許税は3万円掛かります。増資手続きと同時に変更することも可能です。
株主割当と第三者割当の手続きに違いはありますか?
既存の株主から出資を受けて資本金を増やすことを「株主割当」といいます。
これに対して、株主以外の第三者から出資を受けて資本金を増やすことを「第三者割当」といいます。既存の株主から出資を受けるのか、株主以外の第三者から出資を受けるのかの差はありますが、増資の手続き自体には大きな差はありません。
1株の金額を変えることはできますか?
非上場会社の株式評価は基本的に時価発行となりますが、1株あたりの金額を変えて発行することもできます。
会社設立時に1株1万円で発行した株式を増資する際に1株5万円で発行しても構いませんし、1株5,000円で発行することもできます。
しかしながら、増資をすることとは別に税務面での注意点があります。
株主割当増資であれば、既存株主の持株割合に応じて新株が割り当てられるため、原則として課税は生じませんが、第三者割当増資の場合は課税が生じることがあります。
時価を下回る株価で発行することを「有利発行」といいますが、税務上の評価よりも安価に取得できるため、新株主となる人に税金が発生する場合があります。
税務上の評価(時価)以外で増資を行うと株主の持分割合が変わるため、その差額に対して課税が生じることになるのです。
第三者割当増資を行う場合の1株あたりの金額は、事前に顧問税理士さんへ相談するようにしてください。
資本金を1,000万円にすると消費税を払わないといけないのですか?
以前は会社を設立した際に資本金が1,000万円以上だと設立初年度より消費税の納税義務があり、資本金が1,000万円以下であれば、設立2期目までは消費税を納める必要がありませんでした。
しかし法改正により現在は資本金が1,000万円以下であっても「前事業年度開始の日から6ヶ月間の課税売上高が1,000万円を超える」場合には、消費税を納めなければなりません。
この課税売上高に代えて給与等支払額により判定することもできます。ですので、一概に資本金が1,000万円以下だから消費税は納めなくていいという訳ではありません。
また、資本金が1,000万円を超えると県民税・市民税の均等割額が増えます。資本金を1,000万円以上にする場合は、事前に税理士または管轄の税務署へご相談されることをお勧めいたします。