行政手続き(許認可・登記等)や資金調達の際に定款を求められた場合はどうする?
株式会社の「定款」は商号・目的・本店所在地・公告方法・機関設計・株式などについて、会社の根本規則を定めている大変重要な書類です。
定款は法律によって本店所在地及び支店に備付けが義務付けられており、会社の営業時間内に株主や債権者から閲覧等の請求があれば、これに応じなければなりません。
銀行や役所から定款の提出を求められたにも関わらず、「定款を紛失してしまい、今は手元にありません・・・」これでは、会社の信用も地に落ちてしまいますね。
会社の変更登記手続きには、法務局への添付書類として定款が必要となる場合も多いです。
この場合、手続きを進めることすらできません。
法人が許認可申請を行う際に、添付書類として定款を求められる場合も数多くあります。
許認可申請に定款の提出を求められない許認可はほぼほぼ無いと言っても過言ではありません。
許認可業種を営まれている会社さんにとっては、許認可を取得できるか否かは死活問題です。
資金調達時おいても、会社の根本規則でもある定款がすぐに出てこないような会社は融資審査においても大きなマイナスポイントになってしまうでしょう。
ただ、対処法がないわけではありません。
ご安心ください。
ここから、株式会社の定款を紛失してしまった場合の4つの対処法を解説していきます。
この4つのいずれかで、解決可能です。では、見ていきましょう。
【対処法1】設立時に定款認証を受けた「公証役場」に問い合わせてみる
設立時に定款認証を受けた公証役場が分かっている場合は直接公証役場に問い合わせてみましょう。
なお、定款認証の方法は2通りあり、紙の定款で認証を受けた場合と、電子化した定款で認証を受けた場合とで手続きの方法が異なります。
紙の定款で認証を受けた場合
認証を受けた公証役場へ連絡していただき、交付申請をすることで、「原始定款」を入手できます。
定款の認証番号や認証した公証人の名前が分かれば、割とスムーズに交付してもらえます。
定款認証を受けた公証役場・定款の認証番号・認証した公証人の氏名などは、定款認証手数料支払い時の領収証に記載されていることが多いです。
手続きは、公証役場によって多少異なりますので、詳細の手続きは確認してください。
※認証後20年以上経っている場合、公証役場によっては保存していないこともあります。
※「原始定款」とは、会社を設立した際に公証役場で認証を受けた設立時の定款です。
電子定款で認証を受けた場合
設立時に行政書士や司法書士などの専門家に依頼し、電子定款で認証を受けた場合、「同一情報の提供の請求」という手続きを法務省のオンラインシステムで行う必要があります。
この場合、設立時に電子定款の依頼をした専門家に問い合わせてみてください。
これらはあくまでも、設立時の原始定款の請求になります。設立時の定款内容しか確認できませんので、設立時から定款変更や法務局で変更登記手続きをしている場合には注意が必要です。設立時から定款変更等を繰り返している場合は、対処法2以降をご覧ください。
【対処法2】 過去に取引を行った専門家に問い合わせてみる
株式会社の設立を司法書士・行政書士・税理士などの専門家に依頼していた場合、その専門家が定款を保管している場合があります。
顧問税理士がいれば、コピーなどを持っている可能性は高いです。
また、これまでに定款変更等を専門家に頼んでいる場合も、その当時の定款を保管していると思われますので、問い合わせてみましょう。
【対処法3】法務局の閲覧制度を利用する
設立後、5年以内であれば登記申請書及びその附属書類(定款等の添付書類)を閲覧できます。
あくまでも閲覧ですので、コピー等は取れませんが、写真などにおさめることはOKとのことです。
写真におさめることで定款の内容は把握できます。詳しくは、管轄登記所に一度お尋ねください。
【対処法4】 定款を再作成する
対処法1~3でも解決できない場合は、定款を再作成するしかありません。
まず、法務局で「登記事項証明書(履歴事項全部証明書)」を入手し、最新の登記事項を確認します。
登記事項証明書には、定款の一部が記載されていますので、それを元に定款を再製して株主総会で承認を受けます。
設立時の定款から現在までに定款変更を行っている場合は、過去の株主総会議事録・取締役会議事録(又は取締役決定書)等を探しだしてきてその内容も反映させます。
なお、新たに作成した定款は、公証人に認証してもらう必要はありません。
定款再作成手続きの流れ・フロー
定款を再作成する際の手続きの流れは下記の通りです。定款の再作成は定款変更となりますので、株主総会にて定款変更の決議が必要となります。
一人株式会社の場合は、すぐにでも定款再作成の手続きに着手できますが、株主が複数名いる場合は、株主総会を開き、定款変更決議を経なければなりません。
- 株主総会の招集
- 株主総会の開催(定款変更案を株主に諮る)
- 定款変更を決議(公証役場での認証は要りません)
- 新定款を会社にて保管
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