当記事では、福祉(介護)タクシー事業者が選任しなければならない指導主任者について解説いたします。
指導主任者とは
指導主任者とは、福祉(介護)タクシー事業者が選任する「運転者」に対して、営業区域の地理や、福祉(介護)タクシーの利用者に対する応接に関する指導監督等を総括処理する者を言います。
なお、近畿運輸局(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県を管轄)、関東運輸局(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県、茨城県、栃木県、山梨県を管轄)が公表している審査基準では、福祉(介護)タクシー事業者の指導監督体制について、次のように規定されています。
- 運転者として選任しようとする者に対し、運輸規則第36条第2項に定める指導を行うことができる体制が確立されていること。
- 運転者に対して行う営業区域内の地理及び利用者等に対する応接に関する指導監督に係る指導要領が定められているとともに、当該指導監督を総括処理する指導主任者が選任されていること。
これらは福祉(介護)タクシーの経営許可を受けるための必須条件です。
指導主任者については、特別な資格などは必要ありません。一人で開業する場合や、少人数で開業する場合は、運行管理者等と兼任とされる方が多いです。
運転者に対する指導の内容にはどんなものがある?
旅客自動車運送事業規則において、
福祉(介護)タクシー事業者は、事業用自動車の運転者として新たに雇い入れた者に対して、
- 主として運行する路線又は営業区域の状態
- 上記の路線又は営業区域の状態に対処することができる運転技術
- 法令に定める自動車の運転に関する事項
上記の事項に関し、適切な指導監督をしなければならないとされています。
また、福祉(介護)タクシー事業者は、その事業用自動車が非常信号用具、非常口又は消火器を備えているときは、その自動車の運転者に対して、これらの器具の取扱いについても、適切な指導を行わなければなりません。
その他、福祉(介護)タクシー事業者は、事業用自動車の運転者に対する営業区域内の地理並びに旅客及び公衆に対する応接に関して必要な事項について、適切な指導監督を怠ってはなりません。
なお、これらの指導、監督、特別な指導は雇入れ後少なくとも10日間行わなければならず、また、適性診断を受診させた後でなければ、運転者として選任してはならないとされています。
福祉(介護)タクシー事業者は、新たに運転者を雇い入れた場合等には(一部の例外を除いて)、指導、監督、特別な指導や適性診断を受けさせる必要がありますので、忘れずに行うようしてください。
これらの指導監督については、国土交通省がマニュアルを発行していますので、参考にしてください。
(概要編)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/taxi_gaiyohen.pdf
(本編)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/taxi_gaiyohen.pdf
指導要領とは?
旅客自動車運送事業規則では、指導要領に関して次のような規定が設けられています。
第四十条 一般乗用旅客自動車運送事業者は、前条に規定する事項についての指導監督に関し、少なくとも指導監督の内容、期間及び組織に関する事項が明確にされている指導要領を定めなければならない。
旅客自動車運送事業規則第40条
前述の通り、福祉(介護)タクシー事業者は、事業用自動車の運転者に対し、営業区域内の地理並びに旅客及び公衆に対する応接に関し必要な事項について適切な指導監督を怠ってはならないとされており、その指導監督について、「指導監督の内容、期間及び組織に関する事項が明確にされている指導要領を定めなければならない。」とされています。
なお、指導要領による指導監督を行ったときは、
- 指導監督を行った日時、場所
- 指導監督の内容
- 指導監督を行った者
- 指導監督を受けた者
上記を記録し、その記録を一年間保存しておかなければなりません。
指導主任者の仕事とは?
指導主任者は、上記の指導要領による指導監督に関する事項を、総括処理することとされています。
指導主任者に関する届出について
指導主任者を選任した場合には、次の届出が必要になります。届出先は営業所の所在地を管轄する運輸監理部長又は運輸支局長となります。
- 届出者の氏名又は名称及び住所
- 選任の年月日
- 指導主任者の氏名及び生年月日
- 指導主任者の兼職の有無(兼職が有る場合は、その職名及び職務内容)
その他、指導主任者が転任、退職その他の理由により、指導主任者でなくなった場合には、指導主任者でなくなった旨とその理由も届出なければなりませんので、注意してください。
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