福祉(介護)タクシー事業の「運行管理者」について行政書士がわかりやすく解説

道路運送法に規定されている「運行管理者」とは

当記事では、福祉(介護)タクシーと運行管理者について詳細解説致します。

まず、道路運送法には「運行管理者」に関してどのように規定されているのでしょうか。

さっそく見てみましょう。

道路運送法第23条(運行管理者)

一般旅客自動車運送事業者は、事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務を行わせるため、国土交通省令で定める営業所ごとに、運行管理者資格者証の交付を受けている者のうちから、運行管理者を選任しなければならない。
2 前項の運行管理者の業務の範囲及び運行管理者の選任に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。
3 一般旅客自動車運送事業者は、第一項の規定により運行管理者を選任したときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。これを解任したときも同様とする。

福祉(介護)タクシー事業者は一般「旅客」自動車運送事業者でもありますから、原則として、営業所ごとに、運行管理者を選任しなければなりません。

※そもそも福祉(介護)タクシーとは?という方は、下記記事をご参考ください。

上記記事でも解説していますが、福祉(介護)タクシー事業は一般「旅客」自動車運送事業のうち、一般「乗用」旅客自動車運送事業に分類されています。

一般「乗用」旅客自動車運送事業のうち、事業の内容を福祉に関する事業に限定している許可が福祉(介護)タクシー事業となります。

運行管理者の業務の範囲と運行管理者の選任について

次に、第23条の第2項を見てみましょう。

国土交通省令とありますが、これは「旅客自動車運送事業運輸規則」をさします。

旅客自動車運送事業運輸規則には運行管理者の業務の範囲と選任について、どのように規定がなされているのでしょうか。

旅客自動車運送事業運輸規則第47条の9(運行管理者等の選任)

旅客自動車運送事業者は、次の表の第1欄に掲げる事業の種別に応じ、それぞれ同表の第2欄に掲げる営業所ごとに同表の第3欄に掲げる種類の運行管理者資格者証(以下「資格者証」という。)を有する者の中から、同表の第4欄に掲げる数以上の運行管理者を選任しなければならない。

条文上、実際には次の画像のような形で規定されています(画像をクリックすると大画面表示されます)。

(出典:e-gov法令検索)

ここに示されている表には、一般「乗用」旅客自動車運送事業の他にも、一般「乗合」旅客自動車運送事業、一般「貸切」旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業が掲載されているのですが、当記事では、福祉タクシに該当する一般「乗用」旅客自動車運送事業のみ解説します。

一般「乗用」旅客自動車運送事業の運行管理者はどのように規定されているか

上の表をまとめると、

一般「乗用」旅客自動車運送事業については、事業用自動車5両以上の運行を管理する営業所である場合に、旅客自動車運送事業運行管理者資格者証か一般乗用旅客自動車運送事業運行管理者資格者証を持っている者を、1名以上選任しなければならない。

となります。

つまり、

一般「乗用」旅客自動車運送事業でもある福祉(介護)タクシー事業者においては、5両以上の事業用自動車を使用して事業を行う場合は、旅客自動車運送事業運行管理者資格者証、または、一般乗用旅客自動車運送事業運行管理者資格者証を持っている者の運行管理者の選任が必要になりますが、使用する事業用自動車が4両以下の場合には、旅客自動車運送事業運行管理者資格者証、または、一般乗用旅客自動車運送事業運行管理者資格者証を持っていない者でも構わない(4両以下は資格は必要ない)。

ということになります。

大規模な福祉(介護)タクシー事業者以外は5両以上の事業用自動車を使いませんので、大半の福祉(介護)タクシー事業者においては、一定の資格を有する者の運行管理者の選任は不要ということになりますね。

統括運行管理者とは

なお、一つの営業所において複数の運行管理者を選任する事業者は、それらの業務を統括する運行管理者である「統括運行管理者」を選任しなければならないとされていますが、多くの福祉(介護)タクシー事業者には当てはまらないことが多いかと思いますので、ここでは詳細の説明は割愛させていただきます。

運行管理者の業務とは

運行管理者の業務についても、旅客自動車運送事業運輸規則に規定されているのですが、そのすべてを解説するとかなりの文量となってしまいますので、ここでは条文のみ掲載しておきます。

旅客自動車運送事業運輸規則第48条(運行管理者の業務)

(1)旅客自動車運送事業の運行管理者は、次に掲げる業務を行わなければならない。

1 第15条の規定により車掌を乗務させなければならない事業用自動車に車掌を乗務させること。

2 第20条の場合において、同条の措置を講ずること。

3 第21条第1項の規定により定められた勤務時間及び乗務時間の範囲内において乗務割を作成し、これに従い運転者を事業用自動車に乗務させること。
3の2 第21条第2項の休憩に必要な施設及び睡眠又は仮眠に必要な施設並びに同条第三項の睡眠に必要な施設を適切に管理すること。

4 第21条第4項の乗務員を事業用自動車に乗務させないこと。
4の2 乗務員の健康状態の把握に努め、第21条第5項の乗務員を事業用自動車に乗務させないこと。

5 第21条第6項の場合において、交替するための運転者を配置すること。
5の2 第21条第7項の場合において、同項の措置を講ずること。

6 事業用自動車の運転者に対し、第24条の点呼を行い、報告を求め、確認を行い、指示を与え、記録し、及びその記録を保存し、並びにアルコール検知器を常時有効に保持すること。

7 事業用自動車の運転者に対し、第25条の記録をさせ、及びその記録を保存すること。

8 第26条の規定により記録しなければならない場合において、運行記録計を管理し、及びその記録を保存すること。

9 第26条の規定により記録しなければならない場合において、運行記録計により記録することのできない事業用自動車を運行の用に供さないこと。
9の2 第26条の2各号に掲げる事項を記録し、及びその記録を保存すること。

10 一般乗合旅客自動車運送事業の運行管理者にあつては、第27条第1項の運転基準図を作成して営業所に備え、これにより事業用自動車の運転者に対し、適切な指導をすること。

11 路線定期運行を行う一般乗合旅客自動車運送事業の運行管理者にあつては、第27条第2項の運行表を作成し、これを事業用自動車の運転者に携行させること。

12 一般貸切旅客自動車運送事業の運行管理者にあつては、第28条の調査をし、かつ、同条の規定に適合する自動車を使用すること。

12の2 一般貸切旅客自動車運送事業の運行管理者にあつては、第28条の2の運行指示書を作成し、かつ、これにより事業用自動車の運転者に対し適切な指示を行い、事業用自動車の運転者に携行させ、及びその保存をすること。

13 第35条の規定により選任された者その他旅客自動車運送事業者により運転者として選任された者以外の者に事業用自動車を運転させないこと。
13の2 第37条の乗務員台帳を作成し、営業所に備え置くこと。

14 一般乗用旅客自動車運送事業の運行管理者にあつては、事業用自動車の運転者が乗務する場合には、次号の規定により運転者証を表示するときを除き、第37条第3項の乗務員証を携行させ、及びその者が乗務を終了した場合には、当該乗務員証を返還させること。

15 一般乗用旅客自動車運送事業の運行管理者にあつては、タクシー業務適正化特別措置法第13条の規定により運転者証を表示しなければならない事業用自動車に運転者を乗務させる場合には、当該自動車に運転者証を表示し、その者が乗務を終了した場合には、当該運転者証を保管しておくこと。

16 事業用自動車の乗務員に対し、第38条(第5項を除く。)の指導、監督及び特別な指導を行うとともに、同条第一項の記録及び保存を行うこと。
16の2 事業用自動車の運転者に第38条第2項の適性診断を受けさせること。

17 第43条第2項の場合において、当該自動車に非常信号用具を備えること。

18 前条第3項の規定により選任された補助者に対する指導及び監督を行うこと。

19 法第25条ただし書(法第43条第5項において準用する場合を含む。)の場合を除き、旅客自動車運送事業用自動車の運転者の要件に関する政令(昭和三十一年政令第二百五十六号)の要件を備えない者に事業用自動車を運転させないこと。

20 自動車事故報告規則第5条の規定により定められた事故防止対策に基づき、事業用自動車の運行の安全の確保について、従業員に対する指導及び監督を行うこと。

(2) 前項の運行管理者は、法第78条第3号の許可を受けて公共の福祉を確保するためやむを得ず地域又は期間を限定して自家用自動車を用いて旅客の運送を行う場合においては、前項(第13号、第15号及び第19号を除く。)の規定に準じて当該自家用自動車の運行の安全の確保に関する業務を行わなければならない。

(3) 統括運行管理者は、前2項の規定による運行管理者の業務を統括しなければならない。

旅客自動車運送事業運輸規則とは

旅客自動車運送事業運輸規則は、旅客自動車運送事業の適正な運営の確保、輸送の安全、旅客の利便を図ることを目的として定められている省令です。

福祉(介護)タクシーの許可を受ける際に受験し合格しなければならないとされている「法令試験」でも道路運送法や施行規則と並んで出題法令となっていますので、この省令は、福祉(介護)タクシーを行うに当たっては避けては通れないものとなります。

※関東運輸局管轄の福祉(介護)タクシー許可については、法令試験は省略されています。

運行管理者となるには

運行管理者資格については、道路運送法第23条に規定されています。

道路運送法第23条(運行管理者資格者証)

国土交通大臣は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、運行管理者資格者証を交付する。
1 運行管理者試験に合格した者
2 事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務について国土交通省令で定める一定の実務の経験その他の要件を備える者

1の運行管理者試験に合格した者については、そのままですね。運行管理者試験に合格した者は、運行管理者になれます。なお、運行管理者は国家資格です。

2の国土交通省令で定める一定の実務の経験その他の要件を備える者については、福祉(介護)タクシー事業に限定して言うと、

  • 一般「乗用」旅客自動車運送事業の事業用自動車の運行の管理に関し5年以上の実務の経験を有していること
  • その間に運行の管理に関する講習を5回以上受講していること等

上記のいずれも満たしている者が運行管理者となり得ます。

運行管理者試験の試験範囲

運行管理者試験の試験範囲は旅客自動車運送事業運輸規則に規定が置かれています。

旅客自動車運送事業運輸規則第48条の10(試験方法)/span>

試験は、次に掲げる事項について筆記の方法又は電子計算機その他の機器を使用する方法で行う。
一 次に掲げる法令についての専門的知識
 イ 道路運送法
 ロ 道路運送車両法
 ハ 道路交通法
 ニ 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)
 ホ イからニまでに掲げる法律に基づく命令
二 その他運行管理者の業務に関し必要な実務上の知識及び能力

出題される法令には、道路関係法令の他、労働基準法も含まれています。運行管理のほか、労務管理に関する知識も求められています。

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行政書士津田拓也プロフィール

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