介護タクシーとリフト点検

点呼とは?

当ページでは、介護(福祉)タクシー事業者が行う乗務前、乗務後点呼について、専門の行政書士が解説をいたします。

介護(福祉)タクシー事業者は、道路運送法上の「一般旅客自動車運送事業」のうち、「一般乗用旅客自動車運送事業」に分類されています。介護(福祉)タクシー事業者もれっきとしたタクシー事業者ですので、乗務前、乗務後の点呼は必須です。

点呼の方法は?対面による点呼が原則。

点呼についての詳細は、旅客自動車運送事業運輸規則という規則に規定があります。

それでは、見ていきましょう。

まずは、旅客自動車運送事業運輸規則第24条第1項です。

(点呼等)
第二十四条 旅客自動車運送事業者は、乗務しようとする運転者に対して対面(運行上やむを得ない場合は電話その他の方法。次項において同じ。)により点呼を行い、次の各号に掲げる事項について報告を求め、及び確認を行い、並びに事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示を与えなければならない。
ただし、輸送の安全及び旅客の利便の確保に関する取組が優良であると認められる営業所において、旅客自動車運送事業者が点呼を行う場合にあっては、当該旅客自動車運送事業者は、対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定めた機器による点呼を行うことができる。
一 道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第47条の2第1項及び第2項の規定による点検の実施又はその確認
二 酒気帯びの有無
三 疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無

介護(福祉)タクシー事業者は、運転者に対して、対面で点呼を行わなければなりません。

点呼の際は、

  1. 道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第47条の2第1項及び第2項の規定による点検の実施又はその確認
  2. 酒気帯びの有無
  3. 疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無

上記について、運転者から報告を求め、また、確認を行います。と同時に、事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示を与えなければならないとされています。

事業用自動車の日常点検整備を行ったかどうか、酒気を帯びていないかどうか、体調不良等で安全運転ができそうな状態ではないかどうか、などを対面で確認します。

やむを得ない場合は対面点呼じゃなくても良い?

なお、「運行上やむを得ない場合」は、電話その他の方法でも良いとされていますが、運行上やむを得ない場合とは、どういう場合を言うのでしょうか。

「運行上やむを得ない場合」とは、遠隔地で乗務が開始又は終了するため、乗務前の点呼又は乗務後の点呼が乗務員が所属する営業所において対面で実施できない場合等を言います。

この場合は、対面ではなく、電話その他の方法での点呼もOKとされています。

電話以外の「その他の方法」としては、携帯電話、業務無線等が挙げられています。

なお、電話以外のその他の方法の場合でも、運転者と直接対話できるものでなければならず、電子メール、FAXなど、一方的な連絡方法は点呼には該当しませんので、注意が必要です。

単に、車庫と営業所が離れている場合、早朝・深夜等において点呼執行者が営業所に出勤していない場合などは、上記の運行上やむを得ない場合には該当せず、原則通り、対面で点呼を行う必要があります。

輸送の安全及び旅客の利便の確保に関する取組が優良であると認められる営業所は、その他の方法もOK

輸送の安全及び旅客の利便の確保に関する取組が優良であると認められる営業所が、旅客自動車運送事業者が点呼を行う場合にあっては、対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定めた機器による点呼を行うことができます。

輸送の安全及び旅客の利便の確保に関する取組が優良であると認められる営業所とは

次のすべてに該当する旅客自動車運送事業者の営業所を言います。

  • 開設されてから3年を経過していること
  • 過去3年間所属する旅客自動車運送事業の用に供する事業用自動車の運転者が自らの責に帰する自動車事故報告規則(昭和26年運輸省令第104号。以下「事故報告規則」という。)第2条に規定する事故を発生させていないこと
  • 過去3年間自動車その他の輸送施設の使用の停止処分、事業の停止処分又は警告を受けていないこと

国土交通大臣が定めた機器とは

当該営業所で管理する機器であってそのカメラ、モニター等によって、運行管理者等が運転者の酒気帯びの有無、疾病、疲労、睡眠不足等の状況を随時確認でき、かつ、当該機器により行おうとする点呼において、当該運転者の酒気帯びの状況に関する測定結果を、自動的に記録及び保存するとともに当該運行管理者等が当該測定結果を直ちに確認できるものを言います。

参考:対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示(令和5年国土交通省告示第266号)

アルコール検知器について

点呼時に「酒気帯びの有無」の確認を行う必要がありますが、確認は目視等で行うほか、アルコール検知器も使用して行う必要があります。

旅客自動車運送事業運輸規則の該当条文を見てみましょう。


4 旅客自動車運送事業者は、アルコール検知器(呼気に含まれるアルコールを検知する機器であつて、国土交通大臣が告示で定めるものをいう。以下同じ。)を営業所ごとに備え、常時有効に保持するとともに、第一項及び第二項の規定により酒気帯びの有無について確認を行う場合には、運転者の状態を目視等で確認するほか、当該運転者の属する営業所に備えられたアルコール検知器を用いて行わなければならない。

「目視等で確認」とは、運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子等で確認することをいうとされています。

点呼を終えたら点呼記録簿への記入と保存が必要

旅客自動車運送事業運輸規則において、ここまで見てきた点呼を行ったあとに、記録簿への記入が義務付けられています。この記録簿は、1年間保存しておかなければなりません。


5 旅客自動車運送事業者は、第一項から第三項までの規定により点呼を行い、報告を求め、確認を行い、及び指示をしたときは、運転者ごとに点呼を行つた旨、報告、確認及び指示の内容並びに次に掲げる事項を記録し、かつ、その記録を一年間保存しなければならない。
一 点呼を行つた者及び点呼を受けた運転者の氏名
二 点呼を受けた運転者が乗務する事業用自動車の自動車登録番号その他の当該事業用自動車を識別できる表示
三 点呼の日時
四 点呼の方法
五 その他必要な事項

福祉(介護)タクシー事業と「運行管理者」について行政書士がわかりやすく解説

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行政書士津田拓也プロフィール

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