福祉(介護)タクシーの運賃・料金について道路運送法にはどのように規定されているのか?行政書士がわかりやすく解説

一般「乗用」旅客自動車運送事業の運賃・認可について

当記事では、福祉(介護)タクシーの運賃・料金について詳細解説致します。

そもそも福祉(介護)タクシーとは?という方は、まずは次のページをご覧ください。

上記記事でも解説していますが、福祉(介護)タクシー事業は一般「旅客」自動車運送事業のうち、一般「乗用」旅客自動車運送事業に分類されています。

一般「乗用」旅客自動車運送事業のうち、事業の内容を福祉に関する事業に限定している許可が福祉(介護)タクシー事業となります。

つまり、福祉(介護)タクシー事業の運賃・料金について知るためには、まずは、一般「乗用」旅客自動車運送事業の運賃・料金についてどのような規定が置かれているのかを理解しておく必要があるということになります。

それでは、さっそく道路運送法に規定されている一般「乗用」旅客自動車運送事業の運賃・認可について見ていきましょう。

道路運送法第9条の3(一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金)

一般乗用旅客自動車運送事業を経営する者(以下「一般乗用旅客自動車運送事業者」という。)は、旅客の運賃及び料金旅客の利益に及ぼす影響が比較的小さいものとして国土交通省令で定める料金を除く。を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
2 国土交通大臣は、前項の認可をしようとするときは、次の基準によつて、これをしなければならない。
 一 能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであること。
 二 特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものでないこと。
 三 他の一般旅客自動車運送事業者との間に不当な競争を引き起こすこととなるおそれがないものであること。
 四 運賃及び料金が対距離制による場合であつて、国土交通大臣がその算定の基礎となる距離を定めたときは、これによるものであること
3 一般乗用旅客自動車運送事業者は、第1項の国土交通省令で定める料金を定めようとするときは、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
4 第九条第六項の規定は、前項の料金について準用する。この場合において、同条第六項中「当該一般乗合旅客自動車運送事業者」とあるのは、「当該一般乗用旅客自動車運送事業者」と読み替えるものとする。

緑色の部分が大事なところとなりますので、確認していきましょう。

まず、一般乗用旅客自動車運送事業者は、旅客の運賃と料金を定めて、国土交通大臣の認可を受けなければならないとされています。

国土交通大臣は、認可をするときは次の基準によるものとされています。

  • 能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであること
  • 特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものでないこと
  • 他の一般旅客自動車運送事業者との間に不当な競争を引き起こすこととなるおそれがないものであること
  • 運賃及び料金が対距離制による場合であつて、国土交通大臣がその算定の基礎となる距離を定めたときは、これによるものであること

認可を下ろす際の審査基準です。これらの基準を満たさないものは認可が下りないということになりますので、注意が必要です。

旅客の利益に及ぼす影響が比較的小さいものとして国土交通省令で定める料金とは

次に黒字の部分の「旅客の利益に及ぼす影響が比較的小さいものとして国土交通省令で定める料金を除く。」ですが、道路運送法施行規則にその詳細が規定されています。

条文を確認してみましょう。

道路運送法施行規則第10条の4(一般乗用旅客自動車運送事業に係る影響が小さい料金の届出)

法第9条の3第1項の国土交通省令で定める料金は、時間指定配車料金及び車両指定配車料金とする。
2 法第9条の3第3項の規定により料金の設定又は変更の届出をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した料金設定(変更)届出書を提出するものとする。
 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
 二 設定又は変更しようとする料金を適用する営業区域
 三 設定又は変更しようとする料金の種類、額及び適用方法(変更の届出の場合は、新旧の料金(変更に係る部分に限る。)を明示すること。)
 四 実施予定日

一般乗用旅客自動車運送事業が定める「時間指定配車料金及び車両指定配車料金」については、認可までは求められていません。「認可ではなく、届出で足りる」ということがここには書かれています。

一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の認可申請について

では、実際の運賃及び料金の認可申請手続きについて見てみましょう。認可申請についても道路運送法施行規則に規定があります。

道路運送法施行規則第10条の3(一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の認可申請)

第10条の3 法第9条の3第1項の規定により、一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の設定又は変更の認可を申請しようとする者は、次に掲げる事項を記載した運賃及び料金設定(変更)認可申請書を提出するものとする。
 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
 二 設定又は変更しようとする運賃及び料金を適用する営業区域
 三 設定又は変更しようとする運賃及び料金の種類、額及び適用方法(変更の認可申請の場合は、新旧の運賃及び料金(変更に係る部分に限る。)を明示すること。)
 四 変更の認可申請の場合は、変更を必要とする理由
2 前項の申請書には、原価計算書その他運賃及び料金の額の算出の基礎を記載した書類を添付するものとする。
3 申請する運賃及び料金が地方運輸局長が前項の書類の添付の必要がないと認める場合として公示したものに該当するときは、同項の書類の一部又は全部の添付を省略することができる。

重要部分は緑色の文字の部分です。

一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の設定の認可を申請しようとする者は、運賃及び料金設定認可申請書を提出しなければなりません。変更を行う場合も同様です。

申請書には次の事項を記載します。

  1. 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
  2. 設定又は変更しようとする運賃及び料金を適用する営業区域
  3. 設定又は変更しようとする運賃及び料金の種類、額及び適用方法(変更の認可申請の場合は、新旧の運賃及び料金(変更に係る部分に限る。)を明示すること。)
  4. 変更の認可申請の場合は、変更を必要とする理由

なお、運賃及び料金設定認可申請書には、原価計算書その他運賃及び料金の額の算出の基礎を記載した書類を添付しなければなりません。

福祉(介護)タクシー事業者の運賃及び料金の認可についてはどのように規定されているのか

一般乗用旅客自動車運送事業のうち、福祉(介護)タクシー事業の運賃及び料金についての設定が可能となるよう取扱いがなされています。また、運賃の設定については、弾力的な取扱いを行うこととされています。

その詳細は、下記通達に規定が置かれています。

福祉輸送運賃とは

上記通達では、福祉(介護)タクシー事業者に係る運賃及び料金として、福祉輸送運賃というものを定めています。全部で3つです。

  1. ケア運賃
  2. 介護運賃
  3. 民間救急運賃

まとめ

今回は、副タクシー事業者も含まれている一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金認可について見てきました。基本的なところですので、福祉(介護)タクシー事業をはじめようと考えている方は、当然押さえておかなけらばならないポイントになります。

福祉(介護)タクシー事業者の運賃及び料金についての詳細は、また後日、別の記事で解説していきたいと思います。

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行政書士津田拓也プロフィール

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