当記事では、福祉(介護)タクシー事業者が行うことのできる「救援事業」について解説いたします。
※まずは福祉(介護)タクシーについて詳しく知りたいという方は、下のページを参考にしてください。
救援事業とは?
救援事業。耳慣れない言葉ですよね。
救援事業とはどういった事業を言うのでしょうか。
九州運輸局のHPに分かりやすい記述がありますので、見てみましょう。
《救援事業》
タクシーの合間等に本来業務を妨げない範囲内において、タクシーの機動性を活用し、ホームセキュリティ等の「緊急支援システム」、または他人に対し役務提供等を行う「タクシー便利屋」といわれる新しいサービスです。
緊急支援システムは「緊急通報システム」を利用し、一人暮らしのお年寄り等が24時間安心して生活できるようにサポートする体制を言います。
「緊急通報システム」は契約した利用者宅に通報ボタンを備え、非常時にそのボタンを押せば、タクシー会社に通報され、タクシー乗務員が利用者宅に駆け付けるというものです。
タクシー便利屋はタクシー事業に影響が出ない範囲内で役務提供等を行うものです。
タクシー便利屋、又は、便利屋タクシーという言葉は聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。
テレビ局のニュース番組等でも取り上げられていたこともありましたよね。
簡単に説明しますと、救援事業とは、福祉(介護)タクシー事業者を含むタクシー事業者が、本来のタクシー事業に支障が出ない範囲内で、かつ、他の法令等に抵触しない範囲内で、様々なサービスを提供する事業を言います。
ホームセキュリティ等の「緊急支援システム」に関してはすぐすぐ取り組めるようなものではないかもしれないのですが、便利屋タクシーでしたら、ドライバーさんの乗務時間の合間などに気軽に行うことができそうです。
救援事業の具体例
便利屋タクシーの具体例としては、九州運輸局のサイトでは、
- 病院への診察申し込み・薬取り・順番取り
- 買い物代行
- 忘れ物受取り
- 電球交換
- 100円玉両替
- 香典・御見舞返し代行
- 公共料金の払い込み
- ガスの元栓確認等
などが挙げられています。
これらはあくまでも例示であり、サービス提供地域やタクシー利用者の特性によって、個々のタクシー事業者独自のサービスを提供することも可能です。
その他、生活支援輸送サービス、こども110番タクシー、エスコートサービス、廃棄物不法投棄事案発見通報、110番協力タクシー、通学巡回車、徘徊者検索システムなどのサービスを行い、地域貢献を行っているタクシー会社もあるようです。
当然ですが、救援事業を行うには一般乗用旅客自動車運送事業の許可を取得し、タクシー業を営んでおかなければなりません。もちろん、福祉(介護)タクシー事業者もタクシー事業者ですから、これらの救援事業を行うことが可能です。
救援事業をはじめるには、管轄の運輸支局に対して、「届出」を行わなければなりません。具体的には、サービスの詳細(サービス内容や料金)等を決めて、事業計画書の提出を行います。
救援事業を行う際の注意点
なお、先述のとおり、本来のタクシー事業に支障をきたさない程度の規模で救援事業は行わなければならず、その基準についても、公開されていますので、下記に挙げておきます。
次の条件・基準を遵守しつつ、救援事業を行うようにしてください。
- 本来のタクシー事業の遂行を妨げるものでないこと。
- 救援事業は、タクシー事業ではないが、タクシーの事業用施設を使用して行うものであるので、これらの救援事業に使用するタクシー車両、事業運営方法等を記載した計画書を陸運支局長あて提出すること。
- 救援事業の業務遂行のために走行する場合はタクシーメーターを使用しないものとし、「救援」の表示をすること。
- 救援事業の営業区域は、タクシー事業区域を越えるものでないこと。
- 救援事業遂行中の走行キロは、タクシー事業の走行キロに含めてはならないこと(区分して記録すること。)。なお、救援事業に関連して旅客輸送の申込みがあり、これに応じて旅客輸送を行った場合には、通常のタクシー事業における実車として取り扱うものとすること。
- 救援事業の会計処理はタクシー事業とは明確な区分経理を行うこと。
1.救援事業の収入は、タクシー事業の運賃・料金収入等とは明確に区分して処理すること。
2.救援事業に関連する人件費、車両運行費、減価償却費等の共通経費は、原則とし
て所要時間比率で配分すること。 この場合の所要時間比率の算定のため、救援事業遂行中の時間をタクシー事業遂行中の時間と区別して記録しておくものとすること。
3.資産・負債等についても同様とすること。 - 当該事業の営業実績を記載した報告書等を定期的に陸運支局長あて提出すること。
- 救援事業の料金は、タクシー運賃・料金とは無関係とすること。
- タクシー利用者の利便に影響を及ぼす程救援事業のウエイトが大きくなってきた場合は、当該事業専用の施設を設備すること。
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