所要資金

当記事では福祉(介護)タクシー経営許可を受けるための要件のひとつである資金要件について解説いたします。

福祉(介護)タクシー事業における資金とは

福祉(介護)タクシー事業者は、タクシー事業を適切に運営していくために、一定基準を上回る資金を確保しておかなければなりません。

このタクシー事業を適切に運営していくための資金についてですが、いつの時点で必要なのでしょうか。答えは許可申請「時点」です。

許可申請のために必要な調査を行い、書類を作成し、申請を行う「時点」で一定基準を上回る資金を確保していることを、銀行の残高証明書等で証明することになります。

資金要件に関する詳細は、全国の各運輸局長が公表している「審査基準」というものに、規定されています。

各運輸局によって、費用項目やその考え方などが若干異なることもありますので、事前に必ず確認しておくようにしましょう。

なお、大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県の管轄は近畿運輸局、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県、茨城県、栃木県、山梨県の管轄はそれぞれ関東運輸局になります。

それでは、どんな資金がどのくらい必要なのかを見ていきましょう。

所要資金と事業開始当初に要する資金

まず、福祉(介護)タクシー経営許可における資金は、大きく2つに分けることができます。

  1. 所要資金
  2. 事業開始当初に要する資金

所要資金については50%以上、事業開始当初に要する資金については100%以上の資金を、申請日時点で手元に置いておかなければなりません。

所要資金とは

所要資金とは、次の項目に要する資金の合計額となります。

つまり、これらの合計額の50%以上の資金が申請日時点で必要になるということです。

  1. 車両費
  2. 土地費
  3. 建物費
  4. 機械器具及び什器備品
  5. 運転資金人件費、燃料油脂費、修繕費等
  6. 保険料等
  7. その他創業費等開業に要する費用

細かく見ていきましょう。

車両費

車両費とは、その名の通り、福祉(介護)タクシー事業に使用する車両に要する費用になります。

車両費については、原則として、取得価格(未払金を含みます)そのものを計上します。購入代金全部ということですね。

購入ではなく、リースの場合は、1年分の賃借料等を計上します。

車両の購入費が200万円であれば200万円。車両をリースする場合でリース代が月4万円であれば、4万円×12ヶ月で48万円になります。

なお、もともと車両を所有している場合はゼロ円でOKです。

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土地費

車庫

「営業所」、「休憩、仮眠又は睡眠のための施設」、「車庫」の土地代です。※通常は車庫に要する費用になります。

福祉(介護)タクシー事業をはじめるために土地を購入するケースは稀だと思いますが、購入する場合にはその取得価格(未払金を含みます)を計上します。

賃借する場合は1年分の賃借料等を計上します。1ヶ月分の家賃×12ヶ月ですね。

通常は賃貸になるでしょうから、1年分の家賃を想定しておくと良いでしょう。

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建物費

「営業所」、「休憩、仮眠又は睡眠のための施設」、「車庫」の建物代です。※通常は営業所、休憩、仮眠又は睡眠のための施設に要する費用になります。

福祉(介護)タクシー事業をはじめるために建物を購入するケースは稀だと思いますが、購入する場合にはその取得価格(未払金を含みます)を計上します。

賃借する場合は1年分の賃借料等を計上します。1ヶ月分の家賃×12ヶ月ですね。

通常は賃貸になるでしょうから、1年分の家賃を想定しておくと良いでしょう。

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機械器具及び什器備品

福祉(介護)タクシー事業の運営に必要な機械器具と什器備品の取得価格を計上します。これらは単純に購入費を計上します。代表的なものとしてはタクシーメーターなどです。

※近畿運輸局の場合、タクシーメーター代については「車両費」に含めるなど、管轄運輸局によって若干の扱いが異なりますので注意してください。

運転資金人件費、燃料油脂費、修繕費等

運転者や運行管理者の人件費等、その他、想定されるガソリン代、エンジンオイル代、車両の修理代等の2ヶ月分を計上します。ここは、1年分の計上では無いことに注意しておきましょう。

保険料等

租税公課

保険料等とは、車にかかってくる保険料と租税公課(税金)を言います。

具体的には、自賠責保険料、任意保険料、自動車重量税、自動車税、環境性能割、登録免許税です。これらを計上します。

自賠責保険料と任意保険料の1年分の保険料、自動車重量税、自動車税は1ヵ年で課される税金、環境性能割は全額。

登録免許税は定額で30,000円です。この登録免許税は、福祉(介護)タクシー経営許可に要する税金で、定額です。許可取得後に納付します。

その他創業費等開業に要する費用

許可後必要になるであろう次の経費を計上します。

具体的には、各種広告宣伝費(チラシ、HP制作費等)、看板台、車両購入雑費、車体ペイント代、各種台帳類の整備など。これらに要する費用の全額を計上します。

事業開始当初に要する資金とは

事業開始当初に要する資金とは、次の項目に要する資金の合計額となります。つまり、これらの合計額以上(100%以上)の資金が申請日時点で必要になるということになります。

項目自体はさきほど見た所要資金と同様です。ですが、計上する金額が異なってきます。

  1. 車両費
  2. 土地費
  3. 建物費
  4. 機械器具及び什器備品
  5. 運転資金人件費、燃料油脂費、修繕費等
  6. 保険料等
  7. その他創業費等開業に要する費用

車両費

車両を一括購入する場合は、取得価格(購入代金)全額を計上します。

分割購入の場合は、「頭金+分割支払い金の2ヶ月分」を計上します。

リース契約の場合は、月額リース代金の2ヶ月分を計上します。

なお、もともと車両を所有している場合はゼロ円でOKです。

土地費

所要資金で計上した土地費について、購入する場合は、全額。

賃借の場合は、「賃借料の2ヶ月分+敷金」を計上します。

建物費

所要資金で計上した建物費について、購入する場合は、全額。

賃借の場合は、「賃借料の2ヶ月分+敷金」を計上します。

機械器具及び什器備品

所要資金と同額を計上。

運転資金人件費、燃料油脂費、修繕費等

所要資金と同額を計上。

保険料等

所要資金と同額を計上。

その他創業費等開業に要する費用

所要資金と同額を計上。

まとめ

以上、いかがでしたか。

細かい規定が多く理解しにくい部分もあったと思いますが、下記ページでは、「では、福祉(介護)タクシー事業をはじめるには、実際のところいくら必要になるのか?」を具体的な数字を交えて解説しています。

さらに理解を深めたいという方は、参考にしていただければと思います。

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行政書士津田拓也プロフィール

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