特定事業所加算

特定事業所加算とは?

当記事では、訪問介護事業所における加算のひとつである特定事業所加算について解説いたします。

特定事業所加算は1~5の、5つの区分に分類されています。

  1. 特定事業所加算1
  2. 特定事業所加算2
  3. 特定事業所加算3
  4. 特定事業所加算4
  5. 特定事業所加算5

事業所の体制や現況によって、どの加算を取得できるかは異なってきます。

多くのサイトや役所の案内資料では、特定事業所加算の種類を一覧表にして掲載しているケースが多いですが、それが逆に制度の理解を妨げているように感じます。

表を見ても、結局のところ何と何を行えば、どの加算が取れるのかが分かりづらいと感じている方は多いと思います。

ですので、当ページでは、特定事業所加算の5つの種類を一覧にするのではなく、1~5の区分を一つひとつ解説していきます。

当ページでは、「特定事業所加算3」について、解説します。

これらすべての基準を満たしている事業所は届出を行うことによって、特定事業所加算3が適用され、所定単位数の100分の10に相当する単位数が加算されます。

特定事業所加算1~5の中で、特定事業所加算1が最も加算率が高くなっており、特定事業所加算3はその次に加算率が高く設定されています。

その分、満たすべき条件、すべき施策も最も多くなっていますので、加算の難易度も高いです。

とはいえ、既存の訪問介護事業所さんであれば積極的に取得も狙っていけると思います。以下、ご参考くださいませ。

特定事業所加算3とは

特定事業所加算3の加算を行うためには、事業所において、次のすべての項目(1)~(5)にある基準を満たしておく必要があります。

(1)指定訪問介護事業所の全ての訪問介護員等に対し、訪問介護員等ごとに研修計画を作成し、当該計画に従い、研修を実施又は実施を予定していること。
解説

ここで言う訪問介護員等には、サービス提供責任者や、いわゆる登録型ヘルパーさん、派遣のヘルパーさんなども含みます。また、常勤・非常勤を問いません。個々人の訪問介護員ごとに研修計画を作成する必要があります。研修については、法人内部で行っても良いですし、外部機関の研修でも構いません。研修はすでに実際に実施しているか、または、実施する予定があれば、それでもOKです。

(2)指定訪問介護事業について、次の2つを満たす運用が行われていること。

1.会議の定期開催

利用者に関する情報若しくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達又は当該指定訪問介護事業所における訪問介護員等の技術指導を目的とした会議を定期的に開催すること。

2.サービス提供責任者と訪問介護員による訪問介護の適切な提供

指定訪問介護の提供に当たっては、サービス提供責任者が、当該利用者を担当する訪問介護員等に対し、当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項を文書等の確実な方法により伝達してから開始するとともに、サービス提供終了後、担当する訪問介護員等から適宜報告を受けること。

解説

1.会議の定期開催

●利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項の伝達
●訪問介護員等の技術指導

上記を目的とした会議を、定期的に開催しなければなりません。

2.サービス提供責任者と訪問介護員による訪問介護の適切な提供

●訪問介護の提供に当たっては、サービス提供責任者が、当該利用者を担当する訪問介護員等に対し、当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項を文書等の確実な方法により伝達してから、開始する
●サービス提供終了後、担当する訪問介護員等から、サービス提供責任者が、適宜報告を受けること

上記の運用によって、訪問介護サービスの提供を行わなければなりません。

なお、「当該利用者に関する情報やサービス提供にあたっての留意事項」とは、

・利用者の ADL や意欲
・利用者の主な訴えやサービス提供時の特段の要望
・家族を含む環境
・前回のサービス提供時の状況
・その他サービス提供に当たって必要な事項

などとされています。

(3)当該指定訪問介護事業所の全ての訪問介護員等に対し、健康診断等を定期的に実施すること。
解説

訪問介護員等に、定期的に健康診断等を実施しなければなりません。労働安全衛生法により定期に実施することが義務付けられた「常時使用する労働者」に該当しない訪問介護員等も含めて、少なくとも1年以内ごとに1回、事業主の費用負担により実施する必要があります。新たに加算を算定しようとする場合は、少なくとも1年以内に当該健康診断等が実施されることが計画されている必要があります。

(4)指定居宅サービス等基準第29条第6号に規定する緊急時等における対応方法が利用者に明示されていること。
解説

運営規程に規定している緊急時等における対応方法を利用者に明示しておく必要があります。

(5)前年度又は算定日が属する月の前3月間における利用者の総数のうち、要介護状態区分が要介護4及び要介護5である者、日常生活に支障を来すおそれのある症状若しくは行動が認められることから介護を必要とする認知症(介護保険法(平成九年法律第百二十三号。以下「法」という。)第五条の二第一項に規定する認知症をいう。)である者並びに社会福祉士及び介護福祉士法施行規則(昭和六十二年厚生省令第四十九号)第一条各号に掲げる行為を必要とする者(当該指定訪問介護事業所が社会福祉士及び介護福祉士法附則第二十七条第一項の登録を受けている場合に限る。)の占める割合が100分の20以上であること。
解説

前年度又は算定日が属する月の前3月間における利用者の総数のうち、
●要介護状態区分が要介護4及び要介護5である者
●日常生活に支障を来すおそれのある症状若しくは行動が認められることから介護を必要とする認知症である者
●社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第1条各号に掲げる行為を必要とする者(※)
上記の者の占める割合が100分の20以上という基準を満たしておく必要があります。

※社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第1条各号に掲げる行為とは次の行為を指します。
●口腔内の喀痰吸引
●鼻腔内の喀痰吸引
●気管カニューレ内部の喀痰吸引
●胃ろう又は腸ろうによる経管栄養
●経鼻経管栄養