貸借対照表(バランスシート)とは?
貸借対照表は、会社の財務状態を表した決算書です。
貸借対照表は、「資産」「負債」「純資産」から構成されています。
簡単に言いますと、
「負債」は、借入金、買掛金など会社が返済しなければならないもの
「純資産」は、資本金や利益など会社に返済や支払い義務のないもの
となります。
資産は、負債と純資産を足した額と必ず一致するようになっています。
資産=負債+純資産
例えば、手持ち現金が1万円あって(純資産)、銀行から2万円借りている場合(負債)、会社の「資産」は3万円になります。
会社の「資産」には「純資産(手持ち現金)」はもちろんのこと、「負債(借金)」も含まれています。
逆に「資産」から「負債(借金)」を引くと会社の「純資産」が分かります。
この純資産が「マイナス」だと、会社には利益が出ていない事がわかります。この状態を「債務超過」といい、債務超過の会社は融資を受けるのが難しくなります。
銀行は自己資本比率を見る
自己資本比率とは、どのぐらい自分の会社の力だけで経営をしているのかを示す値であり、下記の計算方法で算出できます。
自己資本比率(%)=純資産÷総資産×100
上記の例で言うと
1万円(純資産)÷3万円(資産)×100=自己資本比率33%
になります。
自己資本比率は、ここで言う純資産(手持ちの現金)が少なければ少ないほど、数値が下がります。
逆にが多ければ多いほど、数値は高くなります。自己資本が高いほうが財務基盤が安定しているというわけですね。他人資本である銀行等からの借入が少ないということですから。
このように、会社の財務基盤が安定しているかどうかは、自己資本比率を見るとわかるのです。
一般的に自己資本比率が30%以上であれば優良な財務状態であると言われます。
自己資本比率がマイナスの場合は「債務超過」の状態(会社が保有している全ての資産を売り払っても借金を返すことができない状態)ですから、倒産リスクが高く、銀行は融資を控えます。
流動資産の中身に気を付けよう
流動資産とは、資産の中でも比較的早くに現金化できる資産を言います。具体的には決算日から1年以内に現金化される資産のことです。
流動資産には次のようなものがあります。
- 現金
- 預金
- 売掛金
- 受取手形
- 有価証券(株式など)
- 棚卸資産(商品・製品・原材料など)
- 繰延資産
- 前渡金
- 短期貸付金
- 未収金
- 仮払金
- 立替金
- 前払い費用 etc
金融機関は、これら流動資産の中身の数字が正確性もチェックします。
例えば、
現金預金については、本当に保有しているのかどうか(見せ金ではないか?自己資金じゃないのでは?)、
売掛金や貸付金に関しては、回収の見込みはあるのかどうか(あるいは売掛金の回収サイトは適正か、貸付金は誰にどのくらいの利率で貸しているのか)、
有価証券は適正な評価のもとに計上されているか、
棚卸資産に関しては在庫額や評価は適正か、
繰延資産に関しては開発費などの計上できる範囲が曖昧になっていないか、
固定資産に償却漏れはないか、
などを細かく見てきます。
金融機関からこれらの事項について質問された場合は、正確に返答できなければなりません。
そんなのよくわからないな・・・という方は、顧問税理士と打ち合わせを行っておく必要があります。
経営者であるあなたがこれらの質問に対してしどろもどろになって返答に窮するようでは正直融資は難しいと言えるでしょう。
なお、売掛金や貸付金については可能であれば融資の相談へ行く前にできるだけ回収しておくのが賢明です。
負債の中身に気を付けよう
負債には次のようなものがあります。
- 買掛金
- 未払い費用
- 仮受金
- 役員借入金
- 短期借入金
- 長期借入金 etc
前述の流動資産同様、銀行は「負債」項目についても中身を疑います。
買掛金の回転月数に偽りはないか、高利貸しやノンバンクからの借入は混じっていないか、仮受金と称して事業と関係のない個人からの借入や、税金の滞納なども含めていないかなど。
なお、役員借入金については、負債ではなく、自己資本としてみてくれるケースもありますので、さほど心配する必要はありません。
債務超過の会社であっても、役員が債務免除を行うことによってバランスシートが改善されるのです(とは言え、債務免除益による税負担が発生する場合もありますので、債務免除を行う場合は税理士に相談しましょう)。
債務超過の会社にはお金を貸さない?
当然ですが、銀行は負債が多い会社にはお金を貸したがりません。債務超過だと尚更です。このような会社は追加融資がないと資金繰りが回らなくなることがほとんどです。
とは言え、借入が多いからと言って絶対に融資をしないわけではありません。
借入金月商倍率や本業の儲けが出ているのであれば、運転資金として貸付を行うケースもあります。
決算書の他に、キャッシュフロー計算書や資金繰り表、収支計画書なども用意して、具体的な数字を示して借入が多くても返済可能だという説明ができれば、融資の可能性はゼロではありません。
まとめ
このように金融機関にとっての貸借対照表は、その会社が融資を受けるに値する安全な会社のか、倒産リスクがあるのかどうかなどを瞬時に読み取ることができる重要資料です。
この重要資料を手弁当で専門家も雇わずに作成し、融資に臨もうとされる経営者がいらっしゃいますが、極めて融資の可能性は低いのが実情です。
金融機関の融資担当者は数字に粉飾がないかも細かくチェックしています。疑いの眼で見ているのです。
専門家も介さず素人が作った貸借対照表など、まず信用されないと言っても過言ではありません。
貸借対照表作成の専門家は税理士になります。
もし、まだ顧問税理士を付けてない場合は、速やかに税理士と顧問契約を結び、会社の財務状況を整えた上で、融資申請に臨むようにしましょう。