日本政策金融公庫《新創業融資》2つの審査ポイント(事業計画と実現可能性)を認定支援機関がわかりやすく解説

新創業融資の審査を通すポイントは2つです。

日本政策金融公庫が審査を行うにあたり、具体的に何に注目し、何を重要視しているかを理解することで、融資の確率は格段に上がります。

当記事では、このポイントについて、詳細かつわかりやすく解説いたします。

ポイント1.事業計画の妥当性

創業融資の場合、そもそもまだ事業は行っておらず、実績もありません。

ですから、融資担当者は事業計画書の中身を信用するしかありません。

融資担当者は、具体的に事業計画書のどの部分を見て、信用するか否かを決めるのでしょうか。

次の2点です。

  1. 現実的で、かつ、実現可能性がある事業計画を立てているか
  2. 数字のつじつまがあっているか

公庫の融資担当者は、当然ですが毎日のように、ありとあらゆる業種の事業計画書に目を通しています。

業種・業態ごとの売上や経費といった平均値は、把握しています。

ですから、適当に取り繕った根拠の無い数字を羅列した事業計画書は、即、見破られます。

売上見込みや経費見込み(人件費その他)の数字は大雑把ではなく、客観的かつ具体的に説明ができるものでなければなりません。

例えば、貿易業をはじめる場合で商品を輸入して国内で販売するとします。

「商品Aを月に100個は販売できる予定ですので、月間売上は100万円になります」

これでは、信用してくれません。

誰に、どのチャネルを使って、いくらずつ、商品を販売していくのか、具体的に説明できなければなりません。

販売先や取引先が既に決まっているのであれば、取引先の会社名とともに、取引先ごとの販売見込みなども事業計画書に記載します。

融資の可能性が高まる事業計画書の作り方については、別記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。

なお、実際に事業計画書を作成する際には、下記に紹介する本も非常に役に立ちます。マンガですので、読みやすい上に、事業計画書の記載に必要な事項が網羅されています。おすすめです。

弊社別サイトにて、書評を書いておりますので、参考にしてください。

ポイント2.返済原資の妥当性

事業計画書の数字を100%実現できるのであれば、それに越したことはありませんが、残念ながら、そうはならないケースが大半です。

公庫の融資担当者もそのことは当然、理解しています。

「もし事業計画書通りにいかなかったらどうするのか?」

その答えを事業計画書上でこちらから先回りして示しておけば、当然ですが、審査は通りやすくなります。

例えば、売り上げから経費を引いて、税金を払い、残ったお金(税引後利益)から返済を行うわけですが、事業計画書上ではこの税引後利益を100万円としていたケースで、実際は75万円しか利益が出なかった場合。

足りない25万円をどこでどう賄うのか?

ここをきちんと説明し、納得してもらえれば、融資の可能性はぐんと高まります。

直接事業に使うお金である自己資金以外にも、あなたに資産(不動産や金融資産)がある場合は、融資担当者に提示しておくと良いでしょう。

担保までは取らなくても、公庫からすれば一定の資産を持っている人の方が、お金は貸しやすいです。

いざとなったら資産を処分してでも、返済をしてくれるかもしれませんので。

なお、日本政策金融公庫の新創業融資については、担保も保証人も必要ありません。

ですが、仮に担保や連帯保証人が用意できるのであれば、それだけ融資実行の可能性は高くなります。

金利が安くなるケースもあります。

要は、公庫も公的機関であるとは言え、貸したお金は耳を揃えてきっちりと返してほしいと思っています。

ですから、借り手側としては、実現可能性の高い事業計画書と返済原資の提示によって、公庫を安心させてあげる必要があるのです。

難しいことはありません。公庫であっても、銀行であっても、この人にお金を貸しても大丈夫だろうと安心さえしてくれれば、お金は貸してくれます。

公庫と言えど、担当者や決済を行うのはいち人間ですから。

事業計画書は金融機関に安心してもらうための唯一のツールであり、大きな武器になります。

事業計画書の作成なんて難しそうだし自分では書けそうにないと思われている方もいると思いますが、それではいけません。

貸し手の立場になって考えてみてください。事業計画すら自分で考えられないような人にお金を貸したいと思いますか?そうは思わないと思います。

面談も事業計画書をもとに進められる

新創業融資制度で事業計画書を作成する場合は、以上のことに留意しつつ、具体的かつ実現可能性のある事業計画を作成し、その上で、融資の面談に挑んでください。

融資の審査において事業計画書と同等に重要なのがあなたの人柄・経歴です。

経営者としての資質、業界に対する知見と見識、業務経験なども融資審査では大きなウェイトを占めます。

当サイト内でも解説してきたとおり、融資審査に入る前に必ず面談が行われます。

そこでは、事業計画書の内容と合わせて、あなたの人となりや信用に値する人間かどうかなども、審査されます。