介護タクシーの種類
行政書士津田拓也プロフィール
当記事では、福祉(介護タクシー)における許可・届出の種類について、一つひとつ、わかりやすく解説いたします。

いわゆる福祉(介護)タクシーと呼ばれているものの類型は、次の4種類の許可と、1種類の登録に分けることができます。

さっそく見ていきましょう。

①介護タクシー

根拠法:道路運送法第4条
通称:一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送限定)許可

道路運送法第4条に基づく許可。4条許可などと呼ばれることもあります。そのうち、福祉輸送に限定して許可を得るものをここでは「介護タクシー」とします。

介護保険法等による事業者の指定手続きも不要で、開業までの期間はその他の種類に比べると短く、必要な資格も少なくなっています。後述するその他の事業形態とは異なり、法人格も不要です。

個人で開業できるのが大きなメリットと言えます。

  • 法人格必要なし。
  • 個人・法人どちらもOK。
  • 介護保険法による訪問介護事業所又は障害者総合支援法による居宅介護事業所等の指定は不要。
  • 輸送範囲は自由(営業区域内であれば)。
  • 輸送旅客の対象は身障者、要介護者等。
  • 2種免許必要。
  • 緑ナンバー。
  • 福祉車両で輸送を行う必要あり。

福祉(介護)タクシーとは?道路運送法にはどのように規定されているのか?を行政書士がわかりやすく解説

②介護保険タクシー

根拠法:道路運送法第4条
通称:一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送限定)許可

道路運送法第4条に基づく許可。4条許可などと呼ばれることもあります。そのうち、福祉輸送に限定して許可を得て、かつ、行政庁から介護保険等の事業所の指定を受けるものを、ここでは「介護保険タクシー」とします。

①との最大の違いは、介護保険の適用が有るか、無いかです。

介護保険が適用されることによって、利用者負担は減り、事業者側も国からの報酬が入りますので、経営上のメリットは大きいと言えます。

介護保険法等の適用を受けるには、介護保険事業者等の指定申請を行い、行政庁から指定を受ける必要があります。

個人での開業はできません。

介護保険タクシーを行うには、法人格が必要となります。

  • 法人格が必要(介護保険法又は障害者総合支援法における事業者指定には法人格が求められる)。
  • 介護保険等の事業者指定が必要。
  • 介護保険が適用されると施設または病院への送迎等にかかる「通院等乗降介助」や「身体介護」などの介護保険制度も利用できるようになる。
  • 輸送旅客の対象は身障者、要介護者等。
  • 営業区域内であれば輸送範囲は自由。介護保険等を適用させるには、ケアプランに基づく輸送を行う必要あり。
  • 2種免許必要。
  • 緑ナンバー。
  • 福祉車両で輸送を行う必要あり。

参考:通院等乗降介助とは?介護タクシー許可との関係性などをわかりやすく解説

③介護保険等のサービス利用者限定タクシー

根拠法:道路運送法第43条
通称:特定旅客自動車運送事業許可

道路運送法第43条に基づく許可。旅客の範囲、営業区域が特定されていなければなりません。不特定多数の旅客をタクシーに乗せることはできません。

旅客の範囲は、介護事業所等であって個々のサービス事業所の利用者「限定」です。輸送範囲も限られています。

介護保険法等の適用を受けるには、介護保険事業者等の指定申請を行い、行政庁から指定を受ける必要があります。

個人では開業はできず、介護保険等のサービス利用者限定タクシーを行うには、必ず法人格が必要となります。

ただし、旅客の対象が極めて限定されるため、①や②の許可に比べると許可要件は緩和されています。

  • 法人格が必要(介護保険法又は障害者総合支援法における事業者指定には法人格が求められる)。
  • 介護保険等の事業者指定が必要。
  • 介護保険が適用されると施設または病院への送迎等にかかる「通院等乗降介助」や「身体介護」などの介護保険制度も利用できるようになる。
  • 介護保険事業者とサービス利用契約を行っている特定の旅客のみが対象。
  • 輸送範囲はケアプランに基づく必要あり。その他、介護施設や公的手続きなどの施設にも輸送は可能だが、介護報酬の支払い対象である必要あり。ケアプランに基づかない輸送には利用できない。輸送範囲や旅客の範囲は、①、②よりも限定的。
  • そもそも特定旅客自動車運送事業は、旅客・輸送範囲ともに特定されていなければならない。つまり、介護保険事業者が行う特定旅客自動車運送事業は、必然的に法人しか取り組めないということになります。
  • 輸送範囲は自由(営業区域内であれば)。
  • 2種免許必要。
  • 福祉車両でなくても輸送が可能。
  • 緑ナンバー。

道路運送法に規定されている特定旅客自動車運送事業とは?許可を取るにはどんな手続が必要?行政書士がわかりやすく解説

④ぶら下がり許可(自家用自動車有償運送許可)

根拠法:道路運送法第78条第3号
通称:ぶら下がり許可

道路運送法第78条3号に基づく許可。大前提として、②、③いずれかの許可を得ておくことが必要になります。

その上で、介護保険法による訪問介護事業所又は障害者総合支援法による居宅介護事業所等の指定を受けた②や③が、その契約する訪問介護員等の自家用自動車を使用して、そのヘルパーに有償の運送を行なわせることができるようになります。

法人格が必要(介護保険法又は障害者総合支援方における事業者指定には法人格が求められる)。

②と③の4条許可に基づく許可であるため、必然的に法人格は求められていることになります。

  • 介護保険等の事業者指定が必要。
  • 介護保険が適用されると施設または病院への送迎等にかかる「通院等乗降介助」や「身体介護」などの介護保険制度も利用できるようになる。
  • 営業区域内であれば輸送範囲は自由。介護保険等を適用させるには、ケアプランに基づく輸送を行う必要あり。
  • 訪問介護員等がドライバーとなる場合は2種免許不要。
  • 福祉車両でなくても輸送が可能。
  • 白ナンバー。

福祉(介護)タクシーと「ぶら下がり許可」について行政書士がわかりやすく解説

⑤福祉有償運送の登録

根拠法:道路運送法第79条
通称:福祉有償運送

タクシー等の公共交通機関によっては要介護者、身体障害者等の移動制約者に対する十分な輸送サービスが確保できないと認められる場合において、NPOや一般社団法人等が実費の範囲内であり、営利とは認められない範囲の対価によって自家用自動車を使用して法人の会員に対して行う原則としてドア・ツー・ドアの個別輸送サービスです。

  • 介護保険法による訪問介護事業所又は障害者総合支援法による居宅介護事業所等の指定は不要。
  • NPOや一般社団法人等が、交通移動困難者としてその特定非営利活動法人等の会員として加入している一定の範囲の者の輸送のみを行う。
  • 車両は福祉車両または自家用自動車(乗車定員11人未満)。
  • 運営協議会において福祉有償運送の実施が必要である旨の合意が必要。
  • 地域の実情により、運営協議会で要件が厳しくなる場合あり。
  • 運営協議会で合意を得た場合のみ、運輸支局に対して登録の申請を行う。
  • 原則2種免許が必要。1種免許保有者で国土交通大臣が認定する講習の修了者もOKな場合もあり。
  • 自家用自動車(セダン等)を使用する場合は、介護福祉士や指定研修終了者を乗務させる必要がある。
  • 3年間の有効期限あり(更新可)。
  • 白ナンバー。

自家用自動車に有償で旅客を乗せるには?どんな手続が必要?自家用有償旅客運送とは?行政書士がわかりやすく解説

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